八牧浩行 2016年8月29日(月) 16時0分
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29日、写真展「報道写真が伝えた100年―定点観測者としての通信社」が東京国際フォーラムで9月9日(金)まで開催されている。明治天皇大喪儀から今年の熊本地震までの写真75点が展示されている。写真14枚は同展風景。
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2016年8月29日、写真展「報道写真が伝えた100年―定点観測者としての通信社」(公益財団法人 新聞通信調査会主催)が、東京国際フォーラム・ガラス棟ロビーギャラリーで9月9日(金)まで開催されている。入場無料。1912(大正元)年の明治天皇大喪儀から今年の熊本地震までの貴重なニュース写真75点が展示され、この100年を振り返るともに、通信社、新聞社の報道活動が紹介されている。
【その他の写真】
この中には、「関東大震災後の銀座」「犬養毅首相が暗殺された5.15事件」「日本軍、シンガポールを占領」「マニラを行進する日本兵」、「昭和天皇の焼け跡視察」「原爆投下直後の広島」「ミズリー号艦上での降伏文書調印式」「絞首刑判決を受ける東條英樹元首相」など、激動の時代を投影したものが多い。日本と世界の歴史に登場する貴重な写真ばかりだ。
このほか「浅沼社会党委員長暗殺」「3億円事件」「東大安田講堂事件」「日航ジャンボ機墜落」など事件の生々しい記憶も甦る。「初の金メダル織田幹雄」、「本塁打王ベーブルース、喜劇王チャップリン、英ダイアナ妃らの来日ショット」「力道山ブーム」「長島茂雄引退セレモニー」なども興味深い。最近の東日本大震災や熊本大地震の惨状には思わず息をのむ。
日本の通信社が新聞社向けに本格的な報道写真の配信を始めてから1世紀。この間、大正、昭和、平成と3代にわたり、時代が大きく変わる中で、通信社のカメラマンたちは常にニュース報道の最前線に立ち、歴史的な事件の現場や自然災害に苦しむ被災地の惨状、スポーツ競技での歓喜の瞬間など、その時々の状況をありのままに伝える生の写真を読者に届けてきた。
この写真展を主催した新聞通信調査会の長谷川和明・会長(元時事通信社編集局長)は次のように語っている。
この1世紀、わたしたちは戦争という悲惨な経験を経て、改めて平和の尊さを学び取りました。本写真展では、国内で起きたニュース写真に加え、太平洋戦争中、当時の同盟通信社が国民の戦意高揚のため、戦地での日本軍の動向を伝える宣伝報道の一環として全国の学校や工場、商店などに配布した張り出し用の日刊写真ニュース「同盟写真特報」の一部を併せて展示しました。華々しい戦果が伝えられる一方で、多くの兵士たちが過酷な条件下で戦い、犠牲になっていった事実を忘れてはならない、今一度、戦争の実態をしっかり見直し、二度と同じ過ちを繰り返してはならない、との思いからです。これらの写真の中に、皆さまの記憶と重なる情景や忘れられないシーンが何枚かでもあれば幸いです。
◆日本の通信社
明治以降、近代国家としての日本の発展に伴い相次いで設立された通信社は、その後合併と統合を繰り返し、1936(昭和11)年には、当時の2大通信社、日本電報通信社(現在の電通)と新聞聯合社が政府の仲介で合併して同盟通信社が発足。太平洋戦争中、同通信社には国民の戦意を高揚させる宣伝報道を担う役割もあった。
その一環として、日刊写真ニュース「同盟写真特報」を作製、全国の学校や工場、商店などに配布していた。しかし同盟通信社も1945(昭和20)年、終戦を機に解散を余儀なくされ、現在の共同通信社と時事通信社として分離・独立した。新聞通信調査会は共同、時事両通信社と同様、同盟通信社の流れをくむ団体で、総合的な報道機関としての通信社の役割や活動について、さまざまな普及啓発事業を行っている。(八牧浩行)
<写真展「報道写真が伝えた100年―定点観測者としての通信社」>
〜9月9日(金)10:00〜19:00(最終日は18:00まで)、入場無料。
東京国際フォーラム・ガラス棟ロビーギャラリー(JR/地下鉄・有楽町駅より徒歩1分・JR東京駅より徒歩5分)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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