<新安保法制>不戦国家から軍事力行使国家への大転換であり、他国の戦争に巻き込まれる―元自民党重鎮4氏が緊急会見で「反対」表明

八牧浩行    2015年6月12日(金) 16時40分

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12日、山崎拓・元自民党幹事長、亀井静香・衆院議員、元新党さきがけ代表で官房長官を務めた武村正義氏、元民主党幹事長で蔵相を務めた藤井裕久氏の4人は緊急記者会見を開き、安保法制に「反対」を表明した。写真は右から山崎拓氏、亀井静香氏、藤井裕久氏、武村正義氏。

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2015年6月12日、防衛庁長官などを務めた山崎拓・元自民党幹事長と、自民党時代に政調会長を務めた亀井静香・衆院議員(無所属)、元新党さきがけ代表で官房長官を務めた武村正義氏、元民主党幹事長で蔵相を務めた藤井裕久氏の4人(いずれも元自民党員)は日本記者クラブで緊急記者会見した。4氏は安倍政権が推進し衆院で審議中の安全保障関連法案に対し、「不戦国家から軍事力行使国家へとの大転換を意味する」「仮想敵国をつくることであり、他国の戦争に巻き込まれてしまう」などとして反対する意向を表明した。

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与党が進めている安保関連法案について、山崎氏は「不戦国家から軍事力行使国家へとの大転換を意味し、国策を大きく誤る」と指摘。「新安保法制によって、これまでの『専守防衛』から大きく踏み出し、他国の戦争につきあうことになる。自衛隊員のリスクが増大する」との懸念を表明した。その上で、「今の自民党員は2期、3期目が多く小選挙区制のもとで、国民の関心が低い安全保障は勉強していない。権力にひれ伏し、(上ばかり見ている)ヒラメ議員が多い」と嘆いた。

 

亀井氏は「日本が戦争に負けて以来、いま最大の危機にある。平和憲法下、普通の国でない平和国家を国是としてやってきた。憲法の解釈を一内閣の恣意(しい)で変更することは認め難く、黙っているわけにはいかない」と指摘。「どの世論調査でも圧倒的多数が新安保法制に反対している。このまま強行採決などで突っ走ったら自民党は参院選や次の総選挙でしっぺ返しを食らうだろう」などと強い口調で語った。

藤井氏は「『世界の警察官』の役割を果たせなくなった米国が日本に多くの肩代わりを求め、自衛隊が出動する地域が世界中に広がることになる」と断じた上で、「実質的な軍事同盟だが仮想敵国をつくることであり、他国の戦争に巻き込まれてしまう」と危機感をあらわにした。

武村氏は「安倍政権は、70年続けてきた日本の平和主義を、海外で武力を行使しない国から行使できる国へ、がらりと変えようとしている。日本が外国で戦争に巻き込まれる可能性が格段に高くなる」と警告。その上で、「今回の進め方は一貫性がなく荒々しい。13年12月の総選挙の頃は、憲法改正を前提にしていたのではないか。選挙の後憲法96条の改正を考え、断年した。最後に出てきたのが閣議決定による解釈改憲の道であった。憲法は国際紛争への自衛隊派兵を禁止しており、明らかに違憲である。憲法を勝手に解釈し、議論が未成熟なまま一挙に手をつけようとしていることに、国民は大きな疑問を感じている」と厳しく批判した。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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