<写真特集>胎動―複眼で捉える生命の育み

榮榮&映里   2016年7月8日(金) 15時10分

中国人写真家の榮榮と日本人写真家の映里によるユニット「榮榮&映里」は、国籍・性別を異にする2人の文化をぶつけあい、融合させて、新たな創作スタイルを生んだ。その表現媒体は主に作者自身の身体である。

中国人写真家の榮榮(ロンロン)と日本人写真家の映里(インリ)によるユニット「榮榮&映里」は、2000年の結成以来、自然のありさま、社会の現実、日常生活を通じた自己観察などを、主に作者自身の身体を媒体として表現している。

それぞれが独立した写真家としての創作姿勢や主題を持っていたはずだ。国籍・性別を異にする2人は、それぞれの文化・生活背景・個人的な行動や経験に照らし合わせた作品を制作してきたが、その2人が出逢うことで、自身の文化と他者の文化がぶつかりあい、溶けあって、新たな創作スタイルを生んだ。2人の作品展を企画したキュレーターの馮博(フォン・ボー)氏はそれを「複眼的方式」と呼んでいる。単なる主観的視点ではなく、立体的かつ多面的な目線で創作に取り組めるという意味である。

作品の主要な被写体となっている2人自身の肉体に、新たな被写体が加わった。08年の作品「無題2008」シリーズでは、映里のお腹に宿った新しい命の育みのプロセスを追っている。自分の命が引き継がれていく神秘を宇宙に喩えたような作品となっており、膨らんだ腹部はまるで惑星のようなフォルムでクローズアップされている。母親個人の喜びややさしさというよりは、もっと強烈な自然界の脈動を前面に押しだしたエッセンシャルな作品だ。(文/山上仁奈)

●榮榮&映里(ロンロン&インリ)

中国人写真家の榮榮と妻で日本人写真家の映里によるユニット。2000年に結成。「富士山」「私たちはここにいる」「六里屯」などのシリーズ作品が国内外で注目を集める。人と生存環境、人と自然の関係などを題材にした作品が多い。2007年に中国初の写真専門の民間現代アートセンター「三影堂写真アートセンター」を設立。

榮榮(ロンロン)

1968年生まれ、福建省ショウ州市出身。1992年に北京の中央工芸美術学院で写真を学ぶ。翌年、北京郊外の東村に移り住み、若手前衛アーティストを長期にわたり撮影。1996年に雑誌「新撮影」を創刊。

映里(インリ)

1973年生まれ、神奈川県出身。1994年に東京の写真専門学校を卒業後、朝日新聞社出版写真部で報道カメラマンを務める。1997年、フリーの写真家として創作活動を開始。

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