<日本人が見た中国>労働者天国の中国、消費者天国の日本

配信日時:2013年8月2日(金) 12時0分
<日本人が見た中国>労働者天国の中国、消費者天国の日本
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日本に帰ると毎回必ずコンビニに行き、新商品をチェックするのをとても楽しみにしている。中でもいつも驚かされるのがビールの棚だ。昔からの定番もあるが、多くの銘柄はわずか3カ月ほどでほとんど様変わりしている。写真は中国のビール工場。
日本に帰ると毎回必ずコンビニに行き、新商品をチェックするのをとても楽しみにしている。

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中でもいつも驚かされるのがビールの棚だ。昔からの定番もあるが、多くの銘柄はわずか3カ月ほどでほとんど様変わりしている。

1品目の新製品を世に出すためには、市場調査をして、製品を企画して、開発して、パッケージをデザインして、広告を作って、流通させるという膨大な仕事が発生する。消費者はいろいろ楽しめて良いが、ビール会社の社員のみなさんはさぞ大変なのではないかと思う。

一方の中国。北京では「燕京ビール」という地元メーカーのビールが大きなシェアを占めている。しかし、燕京ビールが販売しているのは庶民向けの「普通燕京」と高級銘柄の「燕京純生」ぐらい。それも、少なくともこの10年間は味もパッケージも全く変わっていない。ビール好きからすれば、つまらないことこの上ない。

燕京ビールに新製品開発部という部署があるかどうかはわからないが、あったとしても、とてもヒマなのではないかと思う。逆に言えば、燕京ビールは「普通燕京」と「燕京純生」という2ブランドを維持していくだけで、十分な利益を得られるのだ。

消費者が楽しみを享受し、メーカーが苦心する日本。消費者に選択の幅は少ないが、メーカーは気楽な中国。ビール業界に限らず、これは全業界に当てはまる日中の差なのではないかと思う。

消費者にとって、日本はありとあらゆる高品質のモノやサービスが手に入るすばらしい国である。しかし、その豊富な品揃えや高品質は、究極とも言える厳しい競争の中で鍛えられたものであり、その背後にはたくさんの働く人たちの膨大な時間と労力が費やされている。

一方の中国は、以前と比べれば随分と品揃えも増え、モノやサービスの品質も上がってきている。それでも、かゆいところに手が届くような至れり尽くせりの日本と比べれば、まだまだと言わざるを得ない。同時に、燕京ビールのように、放っておけば既存製品の売り上げがどんどん伸びていくような企業もある。

みなさんはどちらの国が良いと思うだろうか?個人的には、中国で労働者として稼いだお金で、日本で消費者として消費したい。

■筆者プロフィール:柳田 洋
永豊有限公司 総経理
1966年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、丸紅で石炭貿易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務所代行サービス会社を設立。その後、クロネコヤマトの海外引越代理店として物流事業を立ち上げる。現在は中国での会社経営経験を生かし、中国で積極展開しようとしている日本企業の社員を対象に、講演・助言などのサポート活動を行う。著書に「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)。
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