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日中は科学研究で積極的な連携を―野依良治(名古屋大学特別教授、科学技術振興機構研究開発戦略センター長)

配信日時:2019年6月3日(月) 6時30分
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日本は生命科学、環境問題など、多くの分野でリーダーを輩出し、ノーベル賞受賞者も毎年のように出している。

それからもう1つ。科学や科学技術は、社会全体において相当に普遍的な意味をもちます。決して専門家、大学や企業などの組織、あるいは特定の国家だけのものではありません。ですから、多くの国民がいかにそれを理解し、支援し、さらに活動に参加するかが、未来の健全な社会の形成に寄与し、同時に国力の根源にもなるのです。安全・安心社会の基盤でもある。例えば、原子力利用の問題や生命技術、情報通信技術、人工知能などの社会実装の是非についても、一般人には分かりませんからすべて専門家にお任せしますということは無責任です。国民全体がそれらの意味を合理的に理解し、意思決定に参加することが国力の基盤をつくるのです。

この観点から、科学と言葉の関係、特に母語(mother tongue)がものすごく大事になります。科学の内容は母語で説明しないと、普通の人には分からないことが多いからです。私が中国に大変敬意を表するところは、現在、科学技術の情報のおそらく90%以上が英語を経て伝わっているにもかかわらず、全ての専門的術語を中国語に翻訳し、一般社会で使っていることです。これはすごいことで、中国人全体として、科学技術を英語でも中国語でも考えている。一方、英米人はほぼ英語でしか考えられない。中国の英知の幅は、英米に比べて圧倒的に広いと思います。

最後に1つ提案をします。中国、日本、韓国を中心とした漢字圏の科学技術振興です。文字の国・中国の方の指導を仰ぎつつ、まず共通の漢字の術語、専門用語の辞典をつくって、この一般社会への浸透を図ってはどうでしょうか。この共同作業をきっかけに、科学技術を越えて、アジア諸国のさらなる相互理解が深まると思うのです。(提供/『人民日報海外版日本月刊』)

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