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中国の科学技術はノーベル賞に近づいている―濱口道成(科学技術振興機構理事長)

配信日時:2019年5月9日(木) 15時30分
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変容著しい世界の科学技術を見据えながら、日本のイノベーションを推進先導するJSTの濱口理事長にその抱負を語っていただいた。

釜石市(岩手県)での話ですが、あんなに大きな地震が起こるとは誰も考えていなかった。1000年に一回のことだから、まさかこの私たちが生きているときに起きるとは、誰も思っていなかったわけです。あのエリアでは、何百年も前からたくさんの犠牲者が出ているし、どこまで津波が来たという記録もいっぱいありますから、みんな知識としては持っています。なのに、「まさか自分に」という気持ちが強かった。だけど、釜石市の小中学校ではJSTのサポートで、大学の先生が何年も前から、地震が起きて津波が来たら、とにかく全部放り出して、何も考えずに後ろの山へ登りなさいと教えて、練習してきたのです。そのこともあって、釜石市の小中学校では生徒の生存率が99.8%です。

そういう気持ちの問題をプリペアード・マインド(準備された心)と言うことができます。「幸運というのは準備された心に微笑む(英語:Chance favors the prepared mind)」というパスツールの言葉があって、科学の世界での大発見には、やっぱり神様が支えてくれているような瞬間があるのです。お前の目の前に大発見があるぞ、これをちゃんと見なさいと神様が微笑むときがあるのです。ところが気が付かないと、何も起こりません。

だから、幸福だとか幸せになる、豊かになる、お金持ちになるということだけではなくて、予想していなかったようなリスクだとか、ストレスだとか、起きるかもしれないことに対して私たちがどう向き合っていくかというときは、やはり小中学校のときからプリペアード・マインドを教えるような教育をしていかなければいけないというのが、われわれのやってきた活動の中で、教訓として残ったことでした。

ノーベル賞には適齢期がある>

――21世紀における日本人のノーベル賞受賞者は18人(米国籍含む)で、毎年1人のペースです。先生が総長を務められた名古屋大学でも、6人の受賞者を輩出しています。なぜこれほど多くの日本人受賞者が出ているのでしょうか。

濱口:客観的なデータからお話しすると、ノーベル賞受賞には、結婚と同じで適齢期があります。大体30歳から40歳の間にいい仕事をした人がノーベル賞をもらう確率が高いのです。ノーベル賞の対象になった論文がいつできたかというのを調べると、そこがピークなんです。もう1つの特徴は、ノーベル賞をもらうきっかけとなった論文は、無名の雑誌に載ったものが多いということです。特に名古屋大学の場合は有名な『Nature』とか『Science』に載ったものは1本もありません。ですから最初はほとんどの人は論文に注目しません。なぜかというと、論文を読んでも、そんなことがあるはずがないと思うからです。例えば益川(英敏)・小林(誠)の素粒子の仕事は、素粒子がそれまで2つだと言われていたけれど、数学的に計算すると2つでは合わないので、6つで考えると計算が合うというものです。3倍ですから、常識を超えています。

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