<コラム>ニュース中国語事始め=日本語化に苦労する単語、人名について

配信日時:2019年1月30日(水) 0時20分
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ところで、中国で外国人名を紹介する場合、最初の文字に「中国人の姓として用いられる文字」を利用する場合がよくあります。例えば経済学者・思想家の<馬克思 Ma3ke4si1>(マルクス)です。中国では<馬>という姓が多く、<馬克思>という姓名の中国人がいてもおかしくありません。<華盛頓 Hua2sheng4dun4>(ワシントン)の<華>、<林肯 Lin2ken3>(リンカーン)の<林>、<牛頓 Niu2dun4>(ニュートン)の<牛>も、姓として使われる文字です。

マルクスの場合、フルネームはカール・ハインリヒ・マルクス(Karl Heinrich Marx)で、「マルクス」は姓の部分なのですが、中国語で<馬克思>と書けば、これだけで姓+名のようにも見えてしまいます。<華盛頓>や<林肯>、<牛頓>についても同様です。もっとも、<華>の文字は<中華 zhong1hua2>のような一般的な用法では2声で読むのですが、姓として用いる場合には<華国鋒 Hua4 Guo2eng1>のように4声で読みます。<華盛頓>の場合には2声で読んでいるようです。

話は変わりますが、漫画やアニメで登場する動物のキャラクターにはミッキー・マウスとかドナルド・ダックという“個人名”+「動物名」という命名がありますよね。私は以前から、英語圏のこういった命名では、同じ動物は同一のファミリーということで、動物名を「姓」の扱いにしているのではないのかと思っていました。

この稿を書くのにあたって、英語のQ&Aページを検索してみたのですが、「ミッキーマウスとミニーマウスは同じ姓だ。結婚しているのか?」という書き込みがありました(実際には「永遠の恋人」という設定だそうです)。欧米人で少なくとも一部の人は「ミッキーマウス」の「ミッキー」は名で、「マウス」は姓だとの感覚を持つようです。

さて、このミッキーマウスは中国語で<米老鼠 Mi3 Lao3shu3>、それからドナルドダックは<唐老鴨 Tang2 lao3ya1>と訳されています。後ろの部分の<老鼠>と<老鴨>はそれぞれ「ネズミ」「アヒル」なのですが、問題は<米>と<唐>の部分です。中国ではどちらも「姓」として使う文字なのです。そのため、私は中国人はミッキーマウスという名について「姓は『米』、名は『老鼠』」といった感覚があるのでは、と思っています。

もっとも、「ピーターラビット」が<彼得兔 Bi3de2 Tu4>と訳されている例もあるので、キャラクターの名の最初の文字を必ず姓として使う文字にするのではないようです。

外国人の名を「中国人の姓名風に書く場合が結構多い」ということを忘れていて、私は大失敗をしたことがあります。2010年のことですが、男子バスケットボールの中国・ブラジル戦で選手同士の乱闘が発生しました。最初に暴行に及んだのは中国側の監督で、しかも自分のチームの選手をけしかる行為もあったとして、大問題になったことがあります。

その監督の名が「トウ華徳」と報じられていました。「トウ」は「登」の右側におおざとで、政治家の「トウ小平」の名でも知られている、中国では比較的多い姓です。なお、本シリーズでは中国語の漢字を日本で一般的に使われている漢字に直して表記していますが、「トウ」については機械の環境によって正しく表示されない場合があります。そのため<トウ>と書きますが、本来は「登+おおざと」の文字だとご了解ください。

さて、日本語記事で監督名を「トウ華徳」と紹介してしまったわけですが、大失敗でした。中国人ではなくて米国人の「ボブ・ドンワルド(Bob Donewald)」氏だったのです。中国語では<鮑勃・トウ華徳 Bao4bo2 Deng4hua2de2>と書きます。中国の記事では<トウ華徳>という「姓」のだけを書く場合も多く、私は「トウ・カトク」という中国人姓名と思い込んでしまったわけです。

たちどころに「間違っている!」というご指摘を受けました。文面を拝読すると、バスケットボールの熱心なファンで、米国人のドンワルド氏が中国のナショナルチームの監督に就任されたこともよくご存じだったようです。まったくもって赤面の至りでした。私はその後、中国語の記事に出てきた見慣れぬ人名については画像検索もして確認するように、少しばかり用心深くなったのでした。

ピンインの表記について:本コラムでは中国語を<>の中に、日本語の常用漢字の字体で表示しています。以下の部分のピンインについては、ローマ字表記の直後に声調を算用数字で添えます。軽声は0とします。 u の上に2つの点を添えるピンインには v を用います(例:東西=dong1xi0、婦女=fu4nv3)。

■筆者プロフィール:如月 隼人
日本では数学とその他の科学分野を勉強したが、何を考えたか北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは編集記者を稼業とするようになり、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。同時に、経済記事や政治記事、解説記事などにも注力。
※掲載している内容はコラムニスト個人の見解であり、弊社の立場や意見を代表するものではありません。
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