内巻



   

中国語:内卷

【解説】


社会学・人類学用語の「involution」の訳語。近年では中国のインターネットスラングとして広まり、「閉鎖的な環境における内部の過度な競争によって全体が疲弊する状態」を指す言葉として使われている。具体的には、限られた資源や機会を巡って人々や企業が激しく競争するものの、その努力が生産性向上や利益増加につながらず、むしろ全体の効率が低下し、誰も得をしない状況を意味する。

似た言葉に「過当競争」があるが、「過当競争」はもうからないほど激しい競争、「内巻」は誰も得しない競争のインフレ。「過当競争」が進み労力や投資がエスカレートするものの報わず、社会や業界全体として疲弊した状態が「内巻」とされる。

【現状】


中国では2020年前後から若者を中心に「内巻」という言葉が急速に普及し、現在では社会問題や経済現象を表すキーワードとして広く定着している。個人レベルでは、受験競争や「996労働」(朝9時から夜9時まで週6日働く)などの過酷な環境に対する不満や諦めを表す言葉として使われている。

一方、企業や産業レベルでも「内巻」は深刻化している。特に製造業や電気自動車(EV)分野では、企業の過剰参入によって価格競争が激化し、利益を削り合う消耗戦が発生している。過剰な設備投資や値下げ競争が常態化し、経済全体の効率低下やデフレ圧力を招いていると指摘されている。

近年では、中国政府や業界団体がこの「内巻」を問題視し、「反内巻(過当競争の是正)」に向けた政策や規制の強化も進められている。

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