台湾映画「祝宴!シェフ」チェン・ユーシュン監督に聞く「素晴らしい食文化、知ってほしい」

Record China    2014年11月3日(月) 14時14分

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1日、台湾映画「祝宴!シェフ」が公開された。コメディーの名手、チェン・ユーシュン監督の16年ぶりの新作だ。作品写真:(C)2013 1 PRODUCTION FILM COMPANY.ALL RIGHTS RESERVED.

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2014年11月1日、台湾映画「祝宴!シェフ」が公開された。1990年代、「熱帯魚」(94)、「ラブゴーゴー」(97)などのヒットを飛ばしたコメディーの名手、チェン・ユーシュン(陳玉勳)監督の16年ぶりの新作だ。今回のテーマは料理。伝説の料理人を父に持つ娘が、究極のメニューを追う姿を描く。監督は「台湾には素晴らしい文化が残ってることを知ってもらいたかった」と語った。

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台湾ではかつて祝い事があると「総舗師(ツォンポーサイ)」と呼ばれる料理人が出張し、屋外宴会「バンド」を取り仕切ったという。料理人は調理器具のみを持参。与えられた食材、宴会のテーマでメニューを考え、出席者と主催者を満足させた。今回の作品の舞台は南部の町・台南。数々の美食が笑いとともに登場し、台湾料理と文化を一度に味わえる映画となっている。

──台湾伝統の食文化の一つ「バンド」を取り上げた理由は。

私も小さいころ、よくバンドの祝宴に連れて行ってもらった。当時の台湾は今のように豊かではなく、ごちそうを食べる機会もあまりなかったが、祝宴がある時はおいしいものをおなかいっぱい食べられた。バンドには自分自身の幼いころへの郷愁、懐かしい気持ちが反映されている。今の台湾はいろいろなことが統一化され、レストランも増え、出張料理の習慣も衰退しつつある。台湾には素晴らしい文化が残ってることを、皆に知ってもらいたかった。

──個性豊かな楽しい料理人がたくさん登場する。モデルは特にいるのか。

私の想像が生んだキャラクターだ。彼らの姿を借り、映画界で出会ってきた先輩、監督たちを描写したかった。

──具体的にどんな監督たちか。

いろいろな人物を混ぜてつくった。ホウ・シャオシェン(侯孝賢)、エドワード・ヤン(楊徳昌)、アン・リー(李安)、ワン・トン(王童)、ワン・シャオディー(王小棣)、ツァイ・ミンリャン(蔡明亮)…。彼らが映画界に果たした功績に敬意を込めて描いた。私は長く劇映画から遠ざかっていたので、今回はいろいろな困難があった。主人公の女性は出会った人たち、先輩の心意気と腕を借りながら夢に近づいていく。私も彼女と同じ。映画界の大先輩の経験を借りて、一つのことを成し遂げたいと思った。

──喜劇をずっと撮っているのはなぜか。

コメディーばかり撮る監督と思われたくないんだ。最初ワン・シャオディー監督の会社に入り、コメディーに出会った。助監督としてついたツァイ・ミンリャン監督の初期作品もコメディーだった。CMを撮るようになり、ほとんどがコメディー・タッチだった。習慣的にそうなり、周りからも「喜劇の監督」と言われるようになったが、ほかのジャンルも撮りたいと思っている。

──新作まで16年も空いた理由は。

「ラブゴーゴー」の後に台湾経済が低迷し、映画業界も不景気になった。私の気持ちにも影響した。どんな脚本を書けば観客が見てもらえるか分からなくなった。当時脚本を2本書いたが「受け入れらないだろう」と思い、自分の道が見えなくなった。そこで「ちょっとCMを撮ってみよう」と思った。2、3年CMのディレクターをやればいいと思ったら、いつのまにか16年たっていた。

──台南を紹介する作品でもある。作品を見て「行ってみたいな」と思う日本人も出てくると思う。監督からみた台南の魅力は。

台湾は一つの色に決められない国。地方それぞれに特色があり、台南といえば誰もが食べ物を思い出す。伝統ある古い街で、日本の京都のよう。軽食の種類が多く有名だ。台南と食べ物は切っても切り離せず、中でもアナゴの炒めものが名物。人情味のある土地柄で、人々は親切。ロケ撮影の半分は台南だったが、地元の人たちはとても協力的でいろいろ助けてもらった。

──今後はどんなテーマを撮りたいか。

ブラック・コメディーを撮ってみたいとずっと思っているが、まだ脚本を書けていない。武侠もののコメディーなどいろいろな撮影依頼も受けている。現在検討中だ。(文/遠海安)

「祝宴!シェフ」(2013年、台湾)

監督:チェン・ユーシュン(陳玉勳)

出演:リン・メイシウ(林美秀)、トニー・ヤン(楊祐寧)、キミ・シア(夏于喬)、ウー・ニエンチェン(呉念真)、クー・イーチェン(柯一正)

2014年11月1日、シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国公開。

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