「スラムダンク」中国で人気衰えず、人々が夢中になる理由はどこに?―中国メディア

Record China    2023年4月21日(金) 20時0分

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中国メディアの正観新聞は20日、中国本土で同日に公開された映画「THE FIRST SLAM DUNK」の人気の理由について分析した。

中国メディアの正観新聞は20日、中国本土で同日に公開された映画「THE FIRST SLAM DUNKスラムダンク)」の人気の理由について分析した。

同作は、中国での前売り券の興行収入が1億1560万元(約22億6000万円)を突破し、中国における日本のアニメ映画歴代興行収入1位の「すずめの戸締まり」の前売り券興行収入を上回り、海外アニメ映画の前売り興行収入歴代1位を記録した。

記事は、中国版ラインとも呼ばれる微信(ウィーチャット)のタイムラインが公開日当日、一夜にして「懐かしさ」を表す言葉でいっぱいになったと述べ、「主題歌を聞いて泣きたくなった」、「前にスラムダンクを見た時、私はまだ子どもだったなあ」という声も聞こえてきたと伝えた。

その上で、「27年前に完結したアニメ作品が、なぜ人々を夢中にさせるのか。その再ブレークの裏には、どのようなヒントと道筋があるのだろうか」と疑問を投げ掛けた。

「スラムダンク」は、日本の漫画家・井上雄彦氏が1990年代に描いた漫画だ。記事は、「スラムダンク」は日本のスポーツ漫画の最高峰の1つと紹介した上で、「6年間連載され、27年間も多くの人々の記憶に残っていたが、実は作中で描かれた期間はわずか4カ月。それにもかかわらず、多くの80年代生まれ、90年代生まれが感銘を受けた」と述べた。

当時中国でどれほどの人気があったかについて、記事は「あるネットユーザーによると、中国で『スラムダンク』のアニメが始まったのは1997年。当時は視聴率があまりにも高く、『大学入試後も再放送するので、安心して受験に備えてください』とわざわざ字幕をつけた中国南部のテレビ局もあった。あの頃の若者はみんな『スラムダンク』を見てバスケを知った」と例を挙げて説明した。

その上で、「スラムダンク」の魅力はもはやバスケットボールに限らないと言及。「スラムダンク」が、電子書籍販売サイト「ebookJapan」で「運命を変えた漫画」の1位に選ばれたこと、「新中国60年の最も影響力のある600冊」にもランクインしたことを挙げ、「もはや単なるアニメというよりも、一種の集団懐古的なポップカルチャーであり、当時世代であった若者の成長を投影している」と考察した。

記事は、「なぜ『全国大会で会おう』の一言で、多くの人が27年間も待ちわびていたのか。改めてこの作品を振り返ると、名作はやはり『テンプレ』ではないということがわかる」と持論を展開。「スラムダンク」は最強ではない平凡な人の物語だとし、「『スラムダンク』の世界に完全無欠の最強キャラクターはいない。主人公の桜木花道は少し才能があるだけの平凡なキャラクターで、バスケットボールに触れる前は至る所で壁にぶつかる不運なヤツ。中学からバスケットボールを始めたチームメートと比べると、桜木花道は基礎がなく、最初から大きく後れを取っていた。しかしチームの勝利に貢献すべく、ドリブルの練習からスタートし、日夜練習をした。肝心の1球を逃さないように、1週間で2万回もボールを投げた。だが、漫画の終盤においても彼はまだ『道を歩み始めた』ことに変わりはない」と述べた。

「平凡」なのは主役の桜木だけではないようだ。記事は、「今回の映画版で、井上雄彦氏は桜木よりもさらに平凡な宮城リョータの視点をメインとした。そうすることで、スクリーンの前にいる多くの人々が宮城に姿を重ね合わせるからだ。日常生活で、大多数の人は優れた記憶力もなければ、すさまじい格闘能力を発揮することもできない。われわれは皆、身長168センチの宮城のように努力と奮闘を重ねてこそ、成功に少しでも近づくことができるのだ」と主張した。

加えて「主役も失敗する」点についても言及している。「『スラムダンク』の世界には、『努力すれば成功する』というおとぎ話はない。井上雄彦氏はわずかな手間だけで結末を描いた。湘北高校は全国制覇の夢を実現できず、物語は全ての読者にとって意外な形で突然終わりを迎える。万人が願っても、井上雄彦氏は描き続けることを拒んだ。彼からしてみれば、この終わり方は残念だが十分に現実的なのだ」と評した。

最後に記事は、「この理屈は大人になってから改めて胸に迫るものがある。なぜなら、成長の過程でわれわれは多かれ少なかれ、全力を尽くしても『試合』に負けてしまう失敗を経験してきたからだ。夢が持つ意味は、実現できるかどうかではなく、われわれがより良い自分になれるかどうかということでもある。『スラムダンク』が青春熱血の最高のストーリーになったのは、酸っぱく苦いいちずさのおかげかもしれない」と締めくくった。(翻訳・編集/柳朱音

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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