天津での米中会談から伝わるメッセージ―中国メディア

人民網日本語版    2021年7月29日(木) 12時10分

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中国の王毅外相は謝鋒外務次官に続き、26日午後に天津でシャーマン米国務副長官と会談した。

中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外交部長(外相)は謝鋒(シエ・フォン)外交副部長(外務次官)に続き、26日午後に天津でシャーマン米国務副長官と会談した。アンカレジ対話に続く中米間の重要な対面での意思疎通であり、両国各界と国際社会の注目を集めた。新華社が伝えた。

■他国との対等な付き合い方を米側に教える

シャーマン訪中は米側が提案し、双方間の調整を経て行われたものだ。だが米側は訪中前も引き続き、いわゆる「実力と地位」から中国側との対話を続けたいと主張した上、一連の問題において中国への封じ込めと抑え込みを強化し、中国の譲れぬ一線への挑戦を試み続けた。

これについて王部長は、「もし米国が今日に至るもなお、他国との対等な付き合い方を学んでいないのなら、われわれにはこの事について国際社会と共に、米国にしっかりと補講をする責任がある」と明確に指摘した。

アナリストは、「自ら訪中を求めておきながら、再び居丈高な姿勢を示す米側の矛盾したやり方は、その覇権優位性の減衰への焦りを反映しており、反対に、世界を同じ高さでまっすぐに見るという態度で中米関係を扱う中国は、積極的でオープンな自信と度量、安定した強い戦略的揺るぎなさを示した」と分析する。

謝副部長は会談で、米中関係が現在膠着状態に陥り、深刻な困難を抱えている根本的原因は、米国の一部が中国を「仮想敵」と見なしていることにあると指摘した。中国国際問題研究院の阮宗沢(ルワン・ゾンザー)常務副院長はこれについて、「中国側は、中米間の問題の根本的原因をはっきりと指摘し、対中認識の偏りを改めるよう米側に要求した。一言で核心を突いたと言える」とする。

米国の一部政治屋が鼓吹する「中国脅威論」に対して、中国側は天津で、「中国の発展は米国への挑戦ではなく、米国に取って代わるためでもない。中国はかねてより米国との勝ち負けに興味はないし、中国の発展も米国の凋落を前提に築かれるものではない」と明瞭かつ明確に米側に告げた。

中国国際問題研究院米国研究所の蘇暁暉(スー・シャオフイ)副所長は、「米国も中国を『同じ高さでまっすぐに見る』ことを学び、その一貫したいじめの姿勢を改め、健全かつ正常な心理で中国と交流して初めて、中米関係は正しい道を安定的に遠くまで前進することが可能となる」と指摘する。

■米中関係の方向性を正しい方法で再構築

中国は天津での会談中と会談終了後、直ちに一連のメッセージを対外発信した。そのうち、「米側の『競争・協力・対抗』という3点法は中国を抑圧し、封じ込めるための『目くらまし』だ」「悪事の限りを尽くしながら、利益は独り占めしようとする。世界のどこにそんな道理があるのか」「『脅迫外交』の発明権、特許権、知的財産権はいずれも米国以外に所有者がいない」といった中国の発信内容は各界から幅広く注目された。

アナリストは、「これは、中国が米国との交渉において、米側の設けた議題に受動的に応じるのではなく、中米関係の大局と長期的発展の観点から、主導的に声を上げ、米側に方針転換を促し、交渉プロセスの舵取りをしたことの表れだ」と分析する。

蘇氏は、「これまでの中米間のインタラクションの過程においては、米国が故意に世論をミスリードするのが常だった。今回のシャーマン訪中の前にも、米側はミスリーディングな情報を発表することで、中国に圧力をかけようとした。そのため、中国側が精確で力強い声を上げることが必要であり、肝要だ」と指摘する。

会談で中国は米側に2つのリストを提示した。1つは、米国に是正を要求する誤った対中政策・言動のリスト、もう1つは中国が関心のある重点事案のリストだ。

蘇氏は、この2つのリストを米側へ提示したことも、中国側が「中米関係における『ガードレール』の設置は、平等互恵原則に従い、双方の利益の維持を指針としなければならない」と強調したことも、中米関係の方向性を正しい方法で再構築しようと中国が尽力していることの表れだと指摘する。

阮氏は、「2つのリストは米側による一連の具体的な誤った言動を列挙しており、中国側の示した協力の条件だ」とし、「今後の中米関係の改善と発展には、米国が2つのリストの具体的事項から着手し、関係改善の誠意を中国に示すことが必要だ」との考えを示した。

■米中関係を正常な軌道に戻すには長期的努力が必要

今回の天津会談を中国外交部報道官は「踏み込んだ、率直なもの」と評価し、米国務省のプレスリリースも「率直かつオープンなもの」と形容した。だが、アナリストは「米側の対中姿勢にまだ根本的変化は見られないため、両国関係の実質的緩和は当面見込めず、正常な軌道に戻すには双方の持続的努力がなお必要だ」と分析する。

「米国が対中抑圧政策を簡単に放棄することはあり得ず、封じ込めと反封じ込め、抑圧と反抑圧をめぐる両国間の対立が短期間に消失することもあり得ない」。蘇氏はこう分析した上で、過去数カ月の間、米国の新政権は国内の政治的圧力、新型コロナウイルス感染の再拡大、景気低迷といった問題を抱えてきたため、中国に対するネガティブ政策が国内問題を回避するための選択肢になったと指摘する。

双方間の溝をうまく管理・コントロールし、米中関係の一層の悪化、さらには制御不能化を防ぐため、中国は今回の会談で米側に対し、「中国の特色ある社会主義の路線と制度への挑戦や中傷をしてはならず、さらにはその転覆を企ててはならない」「中国の発展プロセスの妨害、さらには断ち切ることを企ててはならない」「中国の国家主権を侵害してはならず、ましてや中国の領土的一体性を損なってはならない」という、3つの譲れぬ一線を明確にした。

中国の発展と振興は歴史的必然であり、米国は国際問題でより大きな役割を発揮するようになった中国と平和的に共存し、協力・ウィンウィンを図る方法を学ぶ必要があると、アナリストは指摘する。米中関係が立て直されるか否かは、米側が中国に対する心理と誤った言動を根本的、具体的に改めるか否かにかかっている。

中国人民大学国家発展・戦略研究院の刁大明(ディアオ・ダーミン)研究員は、「中国は良好で安定した、かつ前進し続ける中米関係を期待している。これは両国民の利益にかない、国際社会の普遍的期待とも一致するからだ。その一方で、中国が米国の対中姿勢を変えるために米側の圧力に屈することは断じてない。このことを、米国ははっきりと認識すべきだ」と語る。(提供/人民網日本語版・編集/NA)

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