「米中がもしも戦争になったら…」―キッシンジャー元米国務長官

Record China    2021年7月13日(火) 5時20分

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北京市内では9日「キッシンジャー秘密訪中50周年記念活動」が開催された。オンライン方式で参加したキッシンジャー元米国務長官は、米中関係についての懸念を示した。写真は北京・天安門広場の毛主席記念堂。

米国キッシンジャー元国務長官が「隠密行動」により中国に足を踏み入れたのは1971年7月9日だった。中国・北京市内では9日「キッシンジャー秘密訪中50周年記念活動」が開催された。キッシンジャー元長官はオンライン方式で同活動に参加した。ドイツメディアのドイチェ・ベレによるとキッシンジャー元長官は「米中の戦争は、筆舌に尽くせない災難をもたらす」などと述べた。

キッシンジャー元長官は戦前のドイツ出身だ。1923年生まれで、現在は98歳だ。キッシンジャー元長官の一家はユダヤ系だったので、ナチス・ドイツによる迫害を逃れるために30年代に米国に移住した。その後、キッシンジャー元長官はハーバード大学で外交史を学んだ。

69年に就任したニクソン米大統領はキッシンジャー氏を安全保障問題担当の大統領補佐官に登用し、73年には国務長官にも抜てきした。フォード政権に交代後もキッシンジャー氏は国務長官に留任した。

ニクソン政権は発足直後から中国との関係構築を模索していたとされる。キッシンジャー氏は、ニクソン大統領の訪中の道筋をつけるなどのために、極秘で訪中した。

キッシンジャー氏が北京で中国の周恩来首相と交渉したことなどの成果として、ニクソン米大統領は72年2月に訪中。79年1月にはジミー・カーター政権下の米国と中国(中華人民共和国)は国交を樹立した。キッシンジャー氏は米中国交正常化の道筋をつけ、その後も米中関係を重視する発言を続けたとして、中国では今も「中国人民的老朋友(中国人民の旧友)」などと呼ばれている。

9日の記念活動で、キッシンジャー元国務長官は「米中の衝突は世界全体を分断するだろう。他の国を中国と米国の間で争わせようとすれば、圧力はさらに大きくなり、状況をさらに困難にするだけだ」と発言した。

元国務長官はさらに、中国に秘密訪問した71年当時の状況を振り返り「米中双方が、対立点は棚上げした上で、対話によって緊張状態を緩和しようと望んでいた」と説明した上で「今日の米中関係に置いて、米中による当時の選択は、参考にする大きな価値がある」と述べた。

元長官はさらに「50年後の今日、米中両国が協力する必要性は減少していない。両国関係は依然として極めて重要だ。71年と比べても、もっと重要ですらある」と表明した。

元長官はまた、「全ての問題が迅速に解決できるわけではないが、米中の戦争は、筆舌に尽くせない災難をもたらすことは、しっかり心にとどめておかねばならない。これが前提だ」と述べたという。

9日の記念活動には中国の王岐山副主席も出席し、キッシンジャー氏の71年の秘密訪中とその成果について「当時の盛大の両国指導者の非凡な政治の知恵と極めて高度な外交芸術を具体化した」と称賛した。しかし王副主席は一方で「米国にとっての最大の試練は中国ではなく米国自身だ。米国の対中戦略は、ミスリードや誤判断による悪性の循環を避けねばならない」と、現在の米国に対して「注文を付ける」発言も行った。(翻訳・編集/如月隼人

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