経済の活力を生む宅配便、2020年の業務量830億件に―中国

人民網日本語版    2021年1月12日(火) 12時50分

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2020年の中国の宅配便の業務量は前年同期比30.8%増の830億件に上り、売上高は同16.7%増の8750億元に達した。写真は中国の宅配業者。

「速報値によると、2020年の中国の宅配便の業務量は前年同期比30.8%増の830億件に上り、売上高は同16.7%増の8750億元(約14兆円)に達した」。国家郵政局の馬軍勝(マー・ジュンション)局長は4日に行われた2021年全国郵政管理作業会でこのように述べた。人民日報が伝えた。

中国の宅配便業務量は2020年9月10日に500億件を突破し、それからわずか4カ月で800億件に到達し、年間業務量の記録を再び塗り替えた。

■新原動力の育成加速

2020年、中国は世界で唯一の経済プラス成長を達成した主要エコノミーとなり、国内消費が回復して宅配業の業績がとりわけ目を引いた。

国家郵政局発展研究センターの劉江(リウ・ジアン)研究員は、「ここ数年、オンライン消費が活況を呈し、宅配業の急速な成長をもたらした」と述べた。

データを見ると、20年1-11月には、実物商品のオンライン小売額は8兆8000億元(約140兆8000億円)に迫り、社会消費財小売総額に占める割合が25%に達して、前年同期比4.6ポイント上昇した。

従来の原動力は依然として力強く、新しい原動力も加速的に育ってきている。

農村市場は大きな注目点だ。劉氏は、「20年は農村地域の宅配便集荷・配達量が300億件を超え、前年同期比成長率は都市部を20ポイント以上上回った。特に農産物が加速的に増加して、宅配業の重要な推進力になった。控えめに見積もっても、20年の農産物宅配便業務量は100億件を超えただろう」と述べた。

牛肉・羊肉、上海がに、ビワなど、これまで輸送が難しかった農産物や特産品の「都市進出」がますます便利になった。その背後には、宅配企業が末端の共同配送、複数業態の協力、連携・共同構築などの方法で、サービスネットワークを徐々に小都市や農村部に広げていることがある。また、企業が梱包資材の開発に力を入れ、コールドチェーンの能力を引き上げ、農産物配達サービスネットワークを構築し、農産物の発展をサポートしていることがある。

20年末現在、宅配便ネットワーク営業所の都市部カバー率は98%を超え、村落部のカバー率は急速に上昇した。宅配便が村落部に直接届く割合は50%を超え、工業製品が村落部に進出し、農産物が都市部に進出し、取引額は1兆5000億元(約24兆円)を超えた。

サービスの対象をみると、宅配業のサービス対象が拡大を続け、製造業が「ブルーオーシャン」になった。

広東省広州市の航空会社の航空拠点では、スタッフが毎月、特殊な便を迎え入れる。機内には厳重に梱包された円柱形の何か大きなものが積まれている。

これはなんと航空機のエンジンだ。エンジンは非常に複雑かつ精密な航空機の構成要素で、決まった時期に特定のメンテナンスセンターに送って修理点検を受ける必要がある。これまで宅配業はこの業務に手を広げたいと考えていたものの、能力に限界があった。しかし最近になって宅配業が相次いで航空会社を設立し、貨物輸送機も専用のクルーもそろえて、この市場でシェアを獲得する力を付けた。

劉氏は、「ここ数年、オーダーメイド化した生産、フレキシブル生産の割合が目に見えて上昇し、一部メーカーの消費者向けオンライン売上高の割合が上昇を続けている。宅配便の製造業へのサービス方式が製品の倉庫貯蔵・配送一体化サービスからサプライチェーンでの物流サービスへと広がりつつある」と述べた。

■産業移転が「物」流に影響

宅配業は規模が非常に急速に拡大しただけでなく、地域構造も変化した。

20年1-11月、中部地域の宅配便業務量が全国に占める割合は0.4ポイント上昇し、営業収益が同0.6ポイント上昇した。湖南、河南、江西、山西、安徽の5省は業務量成長率が40%を超え、全国平均を10ポイント以上上回った。

20年には全国の省都都市31カ所の宅配便業務量が合計300億件を超えて、全国に占める割合は15年の49.2%から10ポイント以上低下して36.7%になった。三線・四線都市の、さらには五線・六線都市の宅配便業務量成長率は一線・二線都市を大きく上回った。

宅配業の地域構造の変化は産業移転の変遷をある程度反映するものだ。劉氏は、「宅配便のデータを見ると、東部地域の産業が中部に移転し、中心都市の産業が周辺都市に移転し、こうした流れが持続的に強まっている。中心都市は主に研究・開発・設計と展示・販売を中核業務とし、中部・西部地域は主要生産拠点になる」と述べた。

産業移転は宅配業の地域構造の変遷をもたらし、宅配業の変化は産業チェーンの展開にも影響を与えている。

劉氏は、「一線・二線都市で土地や人件費などのコストが上昇を続けるのにともない、宅配業の運営コストも上昇し、価格も相対的に高くなった。三線・四線都市、さらには五線・六線都市は、運営コストが低く、価格も相対的に低い。宅配便価格が低い地域には、まず企業の集配地が移転し、それから物流倉庫・貯蔵、事務サービス、金融サービスなどの関連要素が徐々に移転し、最終的にメーカーの製造拠点が移転する」と分析している。

粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、マカオ両特別行政区によって構成される都市圏)には、麻湧鎮(広東省東莞市)という小都市がある。ここには各大手インターネット業者の仕分けセンターが置かれ、蘇泊爾や九陽など川下の業者500社が次々進出している。今や珠江デルタ地域のEC集積地であり、毎日1000万個の荷物が発送され、最速のスピードで消費者のニーズに応えている。

麻湧の成功の秘訣は何か。1つ目はちょうどいい地理的位置で、広州市の市街地から29キロメートル、東莞市の市街地から22キロメートルの場所にあり、物流ペースが速く、非常に便利だということがある。2つ目は運営コストの低さ、土地資源の豊富さで、麻湧の宅配便サービスは「高品質・低価格」を実現した。

今日の中国では、消費者は宅配便ルートを通じて全国のものを買えるようになった。生産者も宅配便ルートを通じて全国に製品を販売できるようになり、流通段階が削減され、生産者の意思決定における地理的位置の重要性が徐々に低下した。劉氏は、「将来は、ある地域の宅配業の発展レベルが、生産配置における重要な参考要因になる見込みだ」と予測した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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