【観察眼・2020総括編】(6)時代が求めるのは“新時代にふさわしい中日関係” 地球規模の課題解決へ

CRI online    2020年12月30日(水) 19時40分

拡大

激動の2020年が終わりを迎えようとしています。世界は様々な未曾有の事態に直面しましたが、危機の中でも相互に理解することが大切なのだと、改めて噛み締める一年でもありました。写真は東京。

激動の2020年が終わりを迎えようとしています。世界は様々な未曾有の事態に直面しましたが、危機の中でも相互に理解することが大切なのだと、改めて噛み締める一年でもありました。

日本語部オリジナルの評論コーナー「観察眼」ではこの一年、中国国内の話題を紹介し、中日間の問題や国際問題への見解を示すことで、読者の皆様に中国への理解を深めてもらおうと努めて参りました。

2020年の締めくくりとして、今年のキーワード「新型コロナ」、「中日関係」、「環境保護」、「電子ビジネス」、「対外開放」、「貧困脱却」をテーマに、評論員たちがこの一年を総括します。

第六回テーマ「中日関係」

時代が求めるのは“新時代にふさわしい中日関係” 地球規模の課題解決へ

心温まる中日交流はパンデミックのさなかでも

新型コロナ感染症のパンデミック、そして百年に一度の大変革を経験した激動の2020年において、中国と日本は新時代にふさわしい両国関係の構築に向けて着実な一歩を踏み出した。

まず、冬場に始まった新型コロナとの戦いでは、民間から政府レベルまで、両国間の心温まる交流シーンが感動と共に人々の記憶に刻まれた。

「山川異域、風月同天」

「青山一道、同担風雨」

日本から始まった、マスクを送り合う動きの中で注目されたこれらの詩は、助け合いながら難関を共に乗り越えようとする両国民の気持ちを凝集した句と言える。そして、政府関連の動きとしては、3月に新型コロナウイルス感染症に関する中日韓外相テレビ会議が、4月にASEAN+3(中日韓)特別首脳テレビ会議や特別保健相会議が、そして5月には中日韓特別保健大臣会合が相次いで開かれた。二国間・多国間での感染症対策の経験の共有、意見の交換、一致団結した対応が功を奏し、北東アジアおよび東南アジアにおけるパンデミックの影響は比較的限定されたものに抑えられた。

中日協力はコロナ対策にとどまらず

両国協力は新型コロナ対策にとどまらない。グローバルガバナンスにおける協力もまた、両国のトップ同士の予てよりの共通認識だ。それは、この一年間でも多くの場で確認された。9月に行われた習近平国家主席と菅義偉首相の電話会談では、習主席が「中日には世界の平和・安定・発展を守る上で重要な、共通の責任がある」と発言したのに対して、菅首相は「両国の安定した関係は日中両国のみならず、地域・国際社会にとっても重要。共に責任を果たしていきたい」と呼応した。

経済面での関係については印象的だったのは、11月5日に上海で開かれた第3回国際輸入博覧会において、出展企業数が最多の国が日本だったことだ。出展を取りまとめる日本貿易振興機関(JETRO)の関係者も、輸入博を大変重視していると話し、日本にとっての中国市場の重要性を改めて示した。同じく11月には王毅国務委員兼外交部長が、中国政府の要人としては感染拡大後初めての訪日を実現した。茂木敏充外相との会談で、双方は感染症との戦い及び医療と薬品の分野における協力推進などについて5つの共通認識に、また、ビジネス往来の再開、海洋問題に関するハイレベル協議の開催などについては6項目の成果に達した。これは、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)署名後に中日間で行われた初めての対面式会談であったことから、両国のさらなる経済・貿易のつながりの強化も期待されている。

オンライン交流が示した中日の絆

コロナ禍により両国間の往来がままならない中で、双方の地方、シンクタンク、産業、文化、学術、青少年など各界は、既存の交流イベントをオンライン実施に切り替えて対応した。北京―東京フォーラムや、中日省エネ環境フォーラムなどがその代表で、形式こそ変わったものの、十年以上にわたる連続開催が滞ることはなかった。一方で、中日オンライン作家交流会、中日和合文明フォーラムなど、コロナ禍以降に新たに立ち上がったプラットフォームも少なくない。パンデミックに阻まれるかに思えた中日関係は、時代の技術を活用することで、その強靭な絆を示すこととなった。

“新時代にふさわしい中日関係”を支える経済関係

「新時代にふさわしい中日関係」――これは2019年6月のG20大阪サミットで、習近平主席と当時の安倍晋三首相との間で合意された重要な共通認識だ。これは今年9月に習主席と菅首相が電話会談した際にも確認された。中日関係においては、経済関係が両国の「安定装置」とも称されるほど重視されている。今年も両国の間で様々な行事が開かれてきた背景の一つには、安定した二国間の経済・貿易関係があることが大きい。パンデミックが世界経済に大きな影響を与えた中でも、中国は今年もプラス成長が期待されるほぼ唯一の主要国と見られている。また、日本財務省の統計では、日本の輸出は2020年2月から大幅な下落が見られ、同6月に輸出が昨年同期比26.2%減少したとしているが、対中輸出に限って言えば、下げ幅は0.2%に踏みとどまっている。

「相手国への好感度示す数字」には懸念も……解消策はどこに? 

交流行事の開催、トップ同士の交流、そして経済協力に目を向ければ、中日両国の関係は順調だ。しかし、これまで16年間続けられている中日共同世論調査の最新版から垣間見える、両国関係の脆弱な点も無視できない。中国国際出版集団と日本の「言論NPO」の共同発表によると、中国人の日本に対する親近感は上昇し続けており、45%に達した。しかし、日本人の対中好感度はと言うと、史上最低の約10%にまで下がっている。こうしたねじれの現象に対し、王毅国務委員兼外交部長は年末に開かれた「北京―東京フォーラム」でのビデオスピーチで、「これは、注目し、掘り下げ、その意味を考えるに値する現象だ」と指摘した。そのうえで「私には、日本社会の対中認識には偏りと問題が生じているように見える。特にメディアは真実を求め、善意を伝え、共に未来を切り開くべきだ」と訴えた。

では、両国関係に生じているこうした問題はどう乗り越えればいいのだろうか。中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長が引用した、日本メディアで見たという記事にヒントがありそうだ。

それは、ジャーナリストの池上彰氏が米国の東アジア問題専門家であるエズラ・ボーゲル氏との対談記事だ。その中で池上氏はアフリカ訪問で得た見聞について、「スーダンで現地に滞在する日本人から聞かされたのは、『中国人がインフラ整備で協力することは、何も悪いことではない。日本もこれらの道路を使って経済活動を展開すれば良い。今こそ、我々が考え方を変える時なのだ』ということ。目からうろこだった」と発言している。事実に即して、ウィンウィン思考で、柔軟な姿勢で中国を捉えるべき――それが池上氏の主張である。楊所長はこの主張にこそ、日本人の対中認識改善のヒントが潜んでいるはずだと示唆した。

時代の声に応え、共に地球規模の課題解決を

来る年を展望すれば、人類は引き続き多くの未知の試練にさらされ、また、同じ夢を抱いている。感染症の課題のほか、一国主義や保護主義との戦い、オリンピックとパラリンピックの開催、さらには、今年9月末に開かれた第75回国連総会で両国の指導者が相次いで宣言したカーボンニュートラル目標の実現……地球規模の課題解決とグローバルガバナンスの改善に関わる多くの場面で、中日を含む各国の共同努力が求められている。

「百年に一度の大変革」とは、最近の世界情勢を表現する時によく伝われる言葉である。人類社会の大きなパラダムシフトが行われているさなかに、東アジアの隣人同士である中国と日本は二国間関係のみならず、世界的課題の解決に向けて協力を深めていくべきだ。それは時代の声であると言える。その声に耳を傾けて、両国が中日関係にしっかりと着実に向き合っていく――2021年がそんな一年になることを願いたい。(CRI日本語部論説員)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携