<直言!日本と世界の未来>大阪非常事態を憂慮、医療崩壊抑止優先を―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2020年12月6日(日) 6時30分

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新型コロナの感染状況が日々悪化。特に厳しい状況に直面している大阪府は、独自の基準に基づいて「医療非常事態」を宣言した。政府や地方自治体は、感の急拡大を抑えるための一貫した対策を打ち出してほしい。

新型コロナの感染状況が日々悪化している。特に厳しい状況に直面している大阪府は、独自の基準に基づいて「医療非常事態」を宣言。吉村洋文知事は、府民に不要不急の外出を控えるよう要請した。私は大阪生まれで京都に戦後に引っ越すまで同地で育ったので、深く懸念している。

大阪は目下政府の分科会が示した6指標の大半がステージ4(感染爆発段階)に該当する状況で、重症者の数が急増。コロナ対応を優先するため、通常の医療の停止や延期を余儀なくされることもあるとされる。医療態勢のこれ以上の逼迫を防ぐため宣言に踏み切ったという。この重大局面を乗り切るには、政府はもちろん他の自治体の支援も不可欠だろう。連携を密にし、住民や医療現場への説明を尽くしつつ対応を急がねばならない。

吉村知事は近畿各府県などでつくる関西広域連合と全国知事会に対し、看護師の派遣を要請している。今月中旬に運用を始める「大阪コロナ重症センター」に所定の人数を集められないためというが、スタッフ確保の見通しが甘かったようだ。「都構想の是非を巡る住民投票(11月1日)に注力した結果、コロナ対策が後手に回った」という批判があるというが、事実なら「人命」よりに政治的な思惑を優先した「失政」であり検証が必要だろう。

今春、大阪市が市街地にある市民病院を、コロナ専門病院に転換させたことも「医療崩壊」に繋がったとの声がある。全国初の試みとして注目されたが、松井一郎市長の決定を突然知らされた病院側は当惑。入院患者を急きょ転院させるなどして新たな役割を果たしてきたものの、医師や看護師の負担は重く、離職者が相次いだという。

未知の感染症相手に試行錯誤は避けられないが、楽観論を排し最悪の事態を想定して次に打つ手を考え、実現に向けて最適な施策を推進していただきたい。

全国的にも、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、重症者は500人超に上っている。1日当たりの死者も過去最多を更新。医療体制が逼迫しており、医療崩壊を防ぐための対策が急がれる。

東京都などでも医療従事者の確保が追いついていない。コロナ患者への対応のため、手術が必要な他の病気の治療に影響が出始めているという。医療機関の負担を減らすためには、感染者数を減少に転じさせなければならない。

政府の専門家分科会は、感染者が急増している地域との往来をなるべく控えるよう提言している。旅行需要喚起策「Go to トラベル」について、国と東京都は高齢者や持病のある人に限って東京発着の利用自粛を呼び掛けた。重症化リスクが高いためだというが、「中途半端」の感は否めない。高齢者以外には旅行を推奨しているという誤ったメッセージになりかねないと思う。

分科会の尾身茂会長は「個人の努力だけに頼るステージは過ぎた」と警鐘を鳴らしている。今こそ、政府や地方自治体は、感染の急拡大を抑えるための一貫した対策を打ち出してほしい。

<直言篇142>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。



■筆者プロフィール:立石信雄 1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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