<ボイス>日本は弱者に冷たい社会になるのか?―入管職員の罵声で感じたこと

Record China    2020年10月19日(月) 14時0分

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日本で暮らす中国人から、外国人留学生に対する日本人の無理解を嘆く声が出ている。日本は弱者に優しくない社会になってしまうのではとの懸念だ。

日本で暮らす中国人から、外国人留学生に対する日本人の無理解を嘆く声が出ている。神戸大学の博士課程で日本の古典文学を学んだ張さんは入国管理局で目撃した光景に衝撃を受け、日本には弱者に優しくない社会になってしまう懸念があり、弱者のために声を発する人が見当たらない社会は怖いとSNSに投稿した。

日本は「単純労働者は受け入れない」を建て前としてきた。しかし実際には、いわゆる外国人研修生や留学生などの「外部からの安い労働力」が、日本社会を支える力になっていることは否定できない。

張さんは、「最近は日本のスーパーや飲食店などではベトナム人留学生が頑張っている姿をよく見かけます」と紹介し、中国人留学生も同様だったと指摘。「日本経済を支えている途上国から来た留学生たちを忘れてはならない」と主張した。

張さんだけではない。「中国人留学生は日本社会に貢献してきたはずだ」と考える中国人は多い。本稿筆者も、同様の話をしばしば聞いた。「留学生活を続けるためには、バイトに精を出すしかない。勉強の時間を確保するために睡眠時間を削ることになる」状況になり、「自分は日本に、安い労働力を提供しているだけの存在ではないか」と考え込んでしまったことがあるという中国人もいた。

張さんは最近になり入国管理局で目にした光景で、心を痛めている。ある国の留学生が、留学生ビザの延長は認められたが「資格外活動許可」は与えられなかった、つまりアルバイトが認められないことになったという。張さんによれば、在学期間をオーバーしてしまったことが原因である可能性があるという。

とすれば、例えば4年生の大学に入学したが、年限通りに卒業できなかったといったケースだ。そして入管職員は「アルバイトをしなければ生活できないなら、母国に帰れ!」と、その留学生を怒鳴りつけたという。

いくらなんでも、この言い方はひどすぎるのではないか。ひょっとしたら入管職員には、「どうせ勉強もせずにアルバイトばかりしていたから、在学期間をオーバーすることになった」との決めつけがあったのかもしれない。もしかしたら、そうだったのかもしれない。しかし、やむをえない事情があったのかもしれない。そして、外国人留学生の情況を知らずに大声で怒鳴ることが、はたしてよいことのか。

そもそも外国人留学生とは本来、“知日派の卵”であるはずだ。日本をよく知る外国人が増えれば、誤解に起因する不毛な対立を少しでも減じることができるのではないか。そのことは日本の国益にもかなうはずだ。外国人留学生に対する心ない罵詈雑言は、そんな芽を摘んでしまう恐れがある。

張さん自身も、「お金がないのに、何で留学?」と言われたことが何度もある。口には出さなかったが、「えっ!? 貧しい人は教育を受ける権利はないの?」と思ったという。そして入管で目撃した外国人留学生については、「この先、アルバイトが認められずに、日本での留学生活をどうやって続けていけばよいのだろう?」と、自分の過去の経験に照らし合わせて、心配でたまらなくなってしまったという。

張さんはさらに、「裕福な家に生まれるか、貧しい家に生まれるか」は、自分自身で選べないと指摘。途上国から来た留学生は、自らの努力で現状を変えようとしている称賛すべき存在であるという考えを示した。

張さんはまた、「爆買い」をする外国人観光客を大歓迎する一方で貧しい留学生に冷たいようでは、日本は弱者に優しくない社会になってしまうと懸念している。さらに、弱者のために誰も声を発することのない社会は怖いと主張した。(如月隼人

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