まるでセウォル号事件?北朝鮮の韓国人射殺事件で文大統領の「空白の時間」が問題に

Record China    2020年9月30日(水) 14時40分

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29日、韓国・ニュース1によると、北朝鮮が韓国人公務員を射殺した事件について、青瓦台が事件発生から報道までの詳細な「対応日誌」を公開したが、野党からは不満の声が上がっている。写真は韓国大統領府。

2020年9月29日、韓国・ニュース1によると、北朝鮮軍が黄海で韓国人公務員を射殺した事件について、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)が事件発生から報道までの詳細な「対応日誌」を公開したが、野党からは「公務員が行方不明だと報告を受けてから、事件について正式に発表するまでの文在寅(ムン・ジェイン)大統領の行動について、もっと詳細に明かすべき」との声が上がっている。

記事によると、文大統領が「延坪島付近で行方不明となった公務員が北朝鮮で発見された」と最初に書面で報告を受けたのは22日午後6時36分で、救助の指示は出していないという。この時、大統領が何をしていたのかが一つ目の疑惑となっている。韓国国防部の発表によると、北朝鮮軍は22日午後9時40分に公務員を射殺している。大統領への報告から3時間は、公務員は存命だったということになる。

文大統領は28日の首席補佐官会議で「今回の事件で最も残念なことは、南北間の軍事通信線が通じていないという現実だ」と述べている。記事は「南北間の通信線が稼働していれば、偶発的な軍事衝突や突発的な事件を防ぐことができたという趣旨の発言」と説明している。しかし、事件発生前の8日と12日に文大統領は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と親書を交換しており、事件後も国家情報院長が北朝鮮からの通知文を受け取っているなど、水面下の対話が続いていたことも明らかになっている。このことから、文大統領が公務員の送還を北朝鮮側に要請することは可能だったはずだと指摘する声が上がり、「少なくとも救助や送還に向け力を尽くせという指示は出すべきだった」との批判も出ているという。

二つ目の疑惑は、公務員の射殺後、日付が変わって23日午前1時~2時30分に、国家安保室長主宰の安保関係閣僚会議が開かれているが、会議終了から文大統領への報告までに6時間かかっていること。これにも「会議後すぐに大統領に報告し指示を仰ぐべきだった」との声が上がっているという。

青瓦台報道官は28日の定例会見で「深夜の会議は2時30分に終わり、事実と確定できない状態だったので、6時間後に正式に報告した」と説明している。しかし、与党「共に民主党」議員が「交戦状態でもないのに深夜に大統領を起こして報告しろというのか」と発言したこともあり、野党側は強く反発しているという。野党「国民の力」の朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表は、「午前1時に閣僚が会議をしているのに、(大統領が)出席しないのは職務放棄に近い。このような重大な状況で大統領を起こせないのは、国家システムに大きな問題があるということ」だと指摘。別の野党議員も「国民の命が懸かっているのに、大統領が寝ているので起こして報告できなかったとは何事か。常識的にあり得ない」と述べている。

三つ目は、事件に関する国防部の公式発表が、文大統領への公務員射殺報告(23日午前8時30分~9時)から26時間後の24日午前11時だったことで、これについても「青瓦台の説明不足」が指摘されているという。

青瓦台報道官は「報告を受けた大統領は、情報の正確性、信ぴょう性を再確認し、事実と判断できれば国民にそのまま公表し、北朝鮮にも必要な手順を求めるよう指示を出した」と述べている。この指示に従い事実確認の作業を進めた結果、1日以上を要したという釈明で、「軍が目で確認し入手した情報のみを根拠に事実関係を推論し、正確性を確認するには時間が必要だった」としているが、野党側は「南北関係の悪化を懸念するあまり北朝鮮の顔色をうかがい、時間がかかったのではないか」と反論しているという。

この記事に、韓国のネットユーザーからは「北に拉致されたのでもなく、自分の意思で北朝鮮に行った人なんでしょ」「大統領にそこまで責任が?」「単なる越境で、国家の重要事件ではない」「自殺を装って北に渡ったが、こんな時勢なので射殺され、コロナのことがあるので遺体が燃やされた。とことん運のない人だ」などの声が寄せられている。

また、「朴槿恵(パク・クネ前大統領)の(セウォル号沈没事故の)空白の7時間についてももっと追及してくれ」「朴前大統領は昼間に報告を受けて、テレビ中継を見て、何をしてたっけ?」「韓国領海で300人余りが水葬される様子を全国民が見守るしかなかった時(セウォル号の事故のこと)は『大統領は悪くない』と言ってたのに、行っちゃいけない北の領海に行った人が死んだら、大統領の責任なのか?」など、セウォル号の事故に絡めたコメントも多く見られた。(翻訳・編集/麻江)

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