人民元レートが急上昇したのはなぜ?―中国メディア

人民網日本語版    2020年9月4日(金) 13時30分

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数カ月前に人民元を米ドルに両替した人は、ここ数日は悔やんでも悔やみきれない気持ちかもしれない。というのも、ここ数日は人民元が値上がりし続ける一方で、ドルが値下がりしているからだ。

数カ月前に人民元を米ドルに両替した人は、ここ数日は悔やんでも悔やみきれない気持ちかもしれない。というのも、ここ数日は人民元が値上がりし続ける一方で、ドルが値下がりしているからだ。(現在、1元は約15.6円、1ドルは約106.2円)中国新聞網アプリが伝えた。

5月29日の人民元の対ドルレート基準値は1ドル7.1316元だったが、9月2日は6.8376元になった、7.1316から6.8376への変化は何を意味するかというと、たとえば5万ドルを換金する場合、5月29日なら35万6580元が必要だったが、今なら34万1880元でよく、1万4700元の「節約」になるということだ。

データをみると、人民元の対ドルレート基準値はすでにここ1年余りの高水準に達している。

中国人民銀行(中央銀行)が権限を授与した中国外貨取引センターの発表によると、2020年9月2日の銀行間外国為替市場の人民元対ドルレート基準値は1ドル6.8376元で、前取引日より122ベーシスポイント(bp)上昇した。基準値はすでに7日連続で上昇しており、19年5月14日の1ドル6.8365元以来の最高を更新した。

取材に答えた専門家は、人民元レート上昇の主な原因として次の3点を挙げた。

1つ目は米ドル指数の低下だ。

一般的に、ドル指数の強弱は人民元をはじめとする非米ドル通貨と逆の関係にある。

ドルが強ければ他が弱くなり、ドルが弱ければ他が強くなる。

データをみると、今年5月下旬以降、ドル指数は低下傾向が始まり、最近はさらに低下して92を割り込み、18年5月初旬以降の最低を更新した。

中国民生銀行の温彬(ウェン・ビン)首席研究員は、「米連邦準備制度理事会(FRB)が極めて大量の資金を注入したため、市場に米ドル下落の予想が広がる中、米ドル指数が低下を続け、人民元を含む非米ドル通貨が値上がりする流れになった」と述べた。

中信証券固定収益部門の明明(ミン・ミン)首席アナリストは、「FRBは新型コロナウイルス感染症が発生して以来、かつてない大規模な金融緩和政策を打ち出したと同時に、金融政策の枠組みを調整し、『平均インフレ目標』を導入した。7月にはそれまで低く抑えられてきた米国債権の利回りがさらに低下したと同時に、ドル指数も「ドル不足」が終わってから第2段階の著しい低下傾向が始まった」と述べた。

2つ目は中国経済の基本面の持続的改善だ。

温氏は、「中国は感染症の予防・抑制で目に見える成果を上げ、中国経済も持続的に回復・改善し、主要経済指標は徐々に好転し、第2四半期(4-6月)の中国はプラス成長を実現した唯一の主要エコノミーになった。このことは人民元にとって力強い支えになる」と述べた。

国家統計局のデータでは、7月の中国経済は引き続き安定に向かい、回復を続け、中でも同月の商品小売高増加率は今年初めてマイナスからプラスに転じ、輸出増加率は2けたに達した。

このほど発表された8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)、非製造業ビジネス活動指数、製造業と非製造業を合わせた総合PMIの3大指標をみると、いずれも6カ月連続で景気・不景気のボーダーラインとなる50%を上回った。

明氏も、「人民元レートの上昇は中国経済の基本面に対する見方の反映でもある。製造業PMIの動きをみると、2月に断崖から落ちるように急激に低下した後、中国経済の景気レベルは回復を続け、世界銀行と国際通貨基金も中国は今年に経済のプラス成長を達成できる数少ない国の1つになるとの予測を示した。そのため感染症後の中国国内の基本面の状況は人民元レートに重要な支えを提供している」との見方を示した。

3つ目は人民元建て資産の人気だ。

温氏は、「中国は今、金融市場の開放を持続的に推し進めているところで、世界の投資家は中国経済の見通しと人民元建て資産を高く評価しており、海外の資本は中国資本市場に流入し続け、こうしたことが人民元の値上がりにプラスに働いた」と述べた。

国家外貨管理局がこのほど発表したデータでは、今年7月には、外資による中国国内の上場株と債権の買い増しの規模は前年同期の2.4倍になり、外貨準備高は4カ月連続で増加を達成した。

明氏は、「世界の中央銀行が緩和政策を維持する中で、中国の中央銀行は感染症の流行中に金融政策の慎重さを保ち、定力を維持し、米中の金利差は高水準を保ち、人民元建て資産の魅力が目に見えて増強され、こうしたことも人民元レートの上昇を後押しした」と述べた。

8月28日時点で、米中の代表的な10年物国債の利回りの差は230bpを超えており、金利差が拡大した。人民元建て資産の収益率が高いことから外資が絶えず中国に流入し、人民元レートの上昇を推進する役割を果たした。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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