西湖大学にまた注目!独自開発の新技術が市場で融資獲得

人民網日本語版    2020年7月10日(金) 22時30分

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設立されてからそれほど時間の経っていない西湖大学が、再びスポットライトを浴びることになった。

設立されてからそれほど時間の経っていない西湖大学が、再びスポットライトを浴びることになった。同大科学者チームが独自開発した新型の赤血球治療技術が、このほど1億元(1元は約15.3円)近い融資を獲得し、まもなく臨床試験を開始するという。

小さな採血管1本の血液で病気の治療が可能に

同大のチームがこのほど開発した新型赤血球治療技術の原理は、患者の末梢血から造血幹細胞を取り出し、生物工学の方法によって医薬品成分を運搬する「治療型」の赤血球に改造し、体外で大規模に培養した上で体内に戻し、患者の治療を行うものだ。

同技術を開発した同大の高暁飛特任研究員は、「改造後の赤血球を1艘の船だとイメージしてみるといい。いろいろな医薬品の成分を積み込んで人体にこぎ出し、さまざまな疾病の治療に役立つのだ。拡張能力を備えた技術プラットフォームだといえる。この技術は痛風からがんや希少疾患まで多くの疾病の治療で大いに効果を発揮すると期待される。痛風を例にすると、患者は将来、30ミリリットル程度の血液を採取すれば治療ができるようになり、人体への負担はほとんどないと予想される」と述べた。

もう1本の補助「コース」がこのように敷かれた

製薬業界では、新薬の開発には「10年の時間、10億元単位の資金」が必要になることも珍しくない。新型赤血球治療技術は同大初の独自科学技術成果産業転化プロジェクトであり、実験室から市場へ第一歩を踏み出したのは、同大が設立を認可されてからわずか2年3カ月後のことだった。

同大成果転化弁公室の責任者である王廷亮さんは、「特許の出願、法律に関するコンサルティングから投資家との交渉まで、当弁公室がすべて関わり、プロジェクトの実施ペースを大幅に加速した。実験室の外では、もう1本の『補助コース』が、プロジェクトが発表される頃に密かに敷かれていた」と述べた。

技術転化チームは同大がある杭州市10区の資源、政策、産業集積を詳しく調査し、最終的に西湖区をプロジェクト実施先に選んだ。それから商業化チームを立ち上げ、プロのマネージャーを探し、成果応用シーンを分析し、各側の投資家と交渉し……1歩ずつ細心に、1つずつ着実にプロジェクトを進めた。

専門家には専門に従事してもらおう

王氏は、「西湖大学は注意力を基礎研究に集中させるが、これは成果の転化を軽視しているということではない」と述べた。

実際のところ、中国は科学研究の論文発表数が世界一であり、保有する特許も世界2位だが、譲渡・転化できる特許成果の割合は非常に低い。それに比べて、米国スタンフォード大学は特許の転化量が出願量の40%に達する。

業界関係者の見方では、現在の中国のハイテク企業のイノベーションモデルはビジネスモデルのイノベーション、他国のコア技術を導入してのリイノベーションに多く集中し、一定の競争力を備えたコア技術をもつハイテク企業はまだ少ない。西湖大学のこのような専門家チームが早くから関わる補助モデルは、独自のイノベーション能力を備えた企業を育成する「深化型インキュベーション」のモデルになると期待されるという。

「深化型インキュベーション」とは何か。実はこれはスタンフォード大の長年の成功体験でもある。同大には40数人からなるオフィス・オブ・テクノロジー・ライセンシング(技術転化オフィス、OTL)というチームがあり、メンバーの半分近くは基礎科学分野の博士号をもち、ビジネス教育を受けている。専門的訓練によって新しい技術がどれくらい先端レベルのものであるか、応用の価値はどれくらいあるかを判断することができるだけでなく、象牙の塔の中で生まれた思いつきをどのように売り出すかもよりよく考えることができる。

西湖大学をみると、今の中国で「深化型インキュベーション」を推進しようとするなら、専門家に専門に従事してもらうことがカギだ。技術を発明する科学者は必ずしも企業の運営に力を注ぐ必要はなく、成果転化の仕事は関連する実務経験が豊富な人材をより多く呼び込んで、イノベーションが価値を生み出す壮大なドラマを一緒に作り上げればよい。言い換えれば、同大の施一公学長が述べたように、「こうすることで、大学の教員と学生が真に科学研究に専念し、コア技術分野での重大なブレークスルー達成に向けて自分の能力を捧げることが保証されるようにもなる」のだ。(編集KS)

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