菅外交がスタート、強固に見える日米同盟に「潜在的な不確実性」が?―中国専門家

Record China    2020年9月25日(金) 18時20分

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24日、中国紙・環球時報は、日米安全保障条約に存在する潜在的な不確実性について指摘した中国社科院日本研究所の龐中鵬副研究員の文章を掲載した。写真は在日米軍嘉手納基地。

2020年9月24日、中国紙・環球時報は、日米安全保障条約に存在する潜在的な不確実性について指摘した、中国社科院日本研究所の龐中鵬(パン・ジョンポン)副研究員の文章を掲載した。

龐氏は、「菅内閣が発足し、さっそくトランプ米大統領と電話会談を行い『菅外交』がスタートした」と紹介。「日米同盟を強化することで一致したが、菅外交が直面している内外の状況を見ると、日米安全保障条約には微妙なシグナルが見られる」とした。

その一つが「安倍政権時代にはすでに日米関係に亀裂が見られ、菅内閣の対米外交は平たんではなく、米国からより多くの圧力を受ける」ことだとした。龐氏は「米国はアメリカ・ファーストを掲げて日本という同盟国の利益を幾度も脅かしている」と指摘。「在日米軍駐留経費の負担増を米国は求めており、撤退もちらつかせていることから、日米同盟は思うほど強力ではないことが明らかになった。これは日本にとって難しい交渉になる」と論じている。

二つ目には「日本は外交的な自主権をより追求し、米国はさらに日本をコントロールして利用しようとする」ことを挙げた。龐氏は「菅内閣の対米外交には、自主権をより強く求め武器の自主開発により米国依存を減らす、日米同盟の枠組みの中でインド太平洋地域におけるさらなる利益を獲得する、米国の同盟国としての役割を忠実に果たし米国指導による世界戦略の任務を実行する、の三つの可能性がある」と分析。「この三つが交互に交じりながら対米外交が進んでいくだろう」と予想した。

三つ目は「日米同盟にある相違や潜在的な対立が将来的な発展にとって不確実性をもたらすことになる」こと。龐氏は「この不確実性が蓄積されて一定数になってから放出されると、インド太平洋地域にその結果が現れる」と見る。「米国が日本に圧力を加えることや、日本がさらなる自主権を要求することが、日米同盟の枠組みを傾けさせ揺らぐものとなり得る」と指摘している。

龐氏はさらに、この「不確実性」について三つの点が考えられると分析している。その一つが日本の「対中外交」。「日本が対中関係を改善させる方向を続けるなら、強固な日米同盟に影響を与えるものとはならないとはいえ、米中関係が悪化する中で日本が米国による圧力に対抗する助けになるほか、日本のアフターコロナの経済復興にも役立つ」とした。

二つ目は「日露関係の改善」。龐氏は「日本は北方領土交渉を進めたいと思っているが、日露関係改善の大きな障害になっているのが日米同盟だ」と指摘。「日米関係に亀裂が生じれば、日本はロシアとの関係を改善して領土問題解決の糸口とするだろう」としている。

三つ目は「日米豪印の枠組みに与える影響」。龐氏は「菅内閣が対中関係改善や対露関係改善などを幅広く考慮するなら、日本はアジア版NATO(北大西洋条約機構)に対して慎重な姿勢を示すだろう」と予想した。(翻訳・編集/山中)

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