朝韓共同連絡事務所を朝鮮が爆破 緊張は一層高まるのか

人民網日本語版    2020年6月17日(水) 18時50分

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朝鮮は16日、開城工業団地にある朝韓共同連絡事務所ビルを爆破した。

朝鮮は16日、開城工業団地にある朝韓共同連絡事務所ビルを爆破した。朝鮮側は、国民感情に従い「脱北者」とその「黙認者」に代償を支払わせるために行った対抗措置だとしている。新華社が伝えた。

最近の朝鮮の韓国に対する強硬的行動は、不満の表明であると同時に、圧力によって対話を促す意図もあるとアナリストは指摘する。朝韓共同連絡事務所は両国関係にとって重要な意義を持つ。朝鮮側のこの行動によって、一度は緩和された朝鮮半島情勢は再び対立局面に陥るだろう。

■対抗を徐々にエスカレート

ここしばらくの間、朝鮮に向けて反朝宣伝ビラを散布する「脱北者」の行動を黙認しているとして、朝鮮側は韓国側を繰り返し非難し、日増しに態度を厳しくしてきた。

金与正・朝鮮労働党中央委員会第1副部長は4日、韓国が相応の措置を取らない場合、開城工業団地を撤去または朝韓共同連絡事務所を閉鎖する他、2018年9月に両国の署名した板門店宣言の軍事分野の合意文書を破棄しさえすると警告した。5日、朝鮮労働党中央委員会統一戦線部の報道官は朝韓共同連絡事務所を閉鎖すると再び警告した。9日、朝鮮側は朝韓間の全ての通信連絡線の遮断を宣言するとともに、対韓政策を「対敵政策」に全面転換すると表明した。13日、金与正氏は「朝鮮側は近く韓国に対して行動を起こす。朝韓共同連絡事務所が散り散りに崩壊する悲惨な光景を近く見るだろう」との談話を発表した。

朝韓共同連絡事務所ビルの爆破は、朝鮮側の対抗行動がエスカレートし続けた結果だと言える。

■圧力による対話促進の狙いがある?

韓国に対する一連の強硬的行動について、朝鮮はいずれも反朝宣伝ビラの問題に対するものだとしているが、より深層の意味があるかもしれないとアナリストは指摘する。

韓国東国大学の金竜賢教授(朝鮮学)によると、韓国の「脱北者」による反朝宣伝ビラの散布は導火線に過ぎない。朝鮮はこの事で韓国政府に激しい怒りを示しているだけでなく、米国に向けて不満も伝えている。昨年2月のハノイでの朝米首脳会談が物別れに終わった後、朝米関係は膠着状態に陥り、朝韓関係も明らかに悪化した。米大統領選が近づく中、朝鮮は米国がより前向きな行動を取ることを期待しているが、現段階で関係改善の突破口を開くのは困難だ。このため朝鮮はまず韓国側にいくらかの行動を期待して圧力をかけている可能性も排除できない。

中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の王俊生研究員も、朝韓共同連絡事務所ビルの爆破は、圧力による対話の促進が最終目的だと考える。朝鮮側は、文在寅政権は4月の総選挙で圧勝したことで、朝韓関係の発展においてさらに大きな役割を果たす能力を得たと考えている。朝鮮側は韓国側に対して、「口先だけで実行を伴わない」対朝政策を今後も続けてはならず、実際の行動を示す必要があると注意を促していると見られる。

■緊張へ向かう朝鮮半島情勢

朝韓共同連絡事務所は両国首脳が2018年4月の板門店会談後に発表した「板門店宣言」に基づき設立された、朝韓の歴史において初の共同連絡事務所であり、この象徴的意義を持つ建築物を朝鮮側が爆破したことで朝鮮半島情勢の緊張が激化したことは間違いない。

王氏は朝韓共同連絡事務所ビルの爆破について、2018年の平昌冬季五輪以降一度は緩和した朝鮮半島情勢が再び対立局面に陥ったことの象徴だと指摘する。

朝鮮人民軍総参謀部は16日、軍は最近の悪化し続ける朝韓関係を注視しており、党と政府の取るいかなる対外措置も軍事面で確実に保障すべく、すでに十分な戦争準備を整えていると表明した。

朝鮮軍当局の最近の姿勢表明は、韓朝国境で軍事的摩擦が発生する可能性が高まり、朝鮮側が今後軍事境界線付近で射撃演習などを行うかも知れないことを意味すると、韓国側のアナリストは考える。

韓国大統領府は同日、国家安全保障会議を緊急招集して対策を協議した。会議後、韓国大統領府は朝鮮による朝韓共同連絡事務所ビル爆破に「強い遺憾の意」を表明する声明を発表し、「これによって引き起こされる全ての事態の責任は朝鮮側が負うことになる。朝鮮側が情勢を悪化させる措置を続けた場合、韓国側は強力に対処する」とした。

「朝韓双方の発言はますます対立的になってきており、朝鮮半島情勢の今後が一層憂慮される。関係各者は歩み寄り、共に努力して、朝鮮半島情勢の一層の緊張激化を防ぐべきだ」と、アナリストは指摘する。(編集NA)

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