「人工蜘蛛の糸」「人工筋肉」…南開大学の若手教授がイノベーションを起こす―中国

人民網日本語版    2020年6月8日(月) 20時50分

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南開大学の若手教授がイノベーションを起こしている。

スマート材料で作られる服は、肌表面の湿度を感知できる。汗をかくと長袖が半袖になり、汗が乾くと元通りになる。大重量に耐えられる人工蜘蛛の糸は、ゆっくりと伸びるが輪ゴムのように急に元に戻ることはない。高層ビルで火災が発生した際に、人々はこれを利用し自力で地上に下りることができる。南開大学化学学院の80年代生まれの教授で、博士課程指導教員の劉遵峰(リウ・ズンフォン)氏の実験室内で、この摩訶不思議な新材料はすでに現実のものになっている。サイエンス誌などの国際的に権威ある学術誌が劉氏の複数の研究成果を掲載した。人民日報が伝えた。

劉氏は2013年にスマート材料の研究を開始した。材料の特殊構造の分析と利用を通じ、材料の新たな性質を発見し、新たな応用を見出すことが現在の科学研究・イノベーションの主なアプローチだ。

劉氏は、革新的な発想は自由に行えるが、応用の際には地に足がつかなければならないと考えている。「人工筋肉」は人や動物の筋肉を模倣し、医学や航空・宇宙などの分野で高い応用の将来性を持つ。だがこれまで作られた「人工筋肉」の繊維は主にナノカーボン材料などを採用しており、高コストで加工が複雑で快適性が低かった。劉氏はチームを率いて独自路線を歩み、従来のナノカーボン材料の代わりに天然の100%の生糸を利用し、化学修飾や添加剤を使用せず、一般的な工業の製作工程によりスマート衣料品を作ることにした。

劉氏は「蜘蛛の糸は引っ張られた後、湿気や水に触れると最初の長さに戻る。これにより獲物の衝撃を受け引っ張られた後、自動的に修復し再利用可能になる。こうしたことは蜘蛛の糸に高い機械的性質があることを証明している。研究チームは、実験室で一種の繊維材料を人工合成し、蜘蛛の糸のさまざまな優れた性能を持ちながら量産化することを構想した」と述べた。

劉氏は「人々は生糸のタンパク質を用い人工蜘蛛の糸を作ろうとしたことがあり、一定の成功を収めていたが、この方法は規模化が困難だ。合成方法を使用し、蜘蛛の糸の上述した特性を模倣することが難題として残っていた」と話した。

劉氏のチームは試験を繰り返し、非常にシンプルな方法を採用し、ハイドロゲル繊維による「人工蜘蛛の糸」の作成に成功した。この新材料は天然の蜘蛛の糸にほぼ相当する力学的性能を持つ。劉氏によると、ハイドロゲル繊維はポリアクリル酸で作られる。ポリアクリル酸には芯鞘構造があり、2価イオンを混ぜ加撚することで一定のより数を獲得し、その強度を大幅に高めた。この繊維の引張強度は895MPa、伸縮性は44.3%、ヤング率は28.7GPa、靭性は370MJ/m3、減衰効率は95%に上る。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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