ポストコロナ時代、バイト経済が雇用を支えるトレンドとなるか―中国メディア

人民網日本語版    2020年5月31日(日) 6時0分

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今年に入ると、新型コロナウイルス感染症の影響で、中国経済は下ぶれ圧力が増大し、多くの業界や企業が大きな圧力を受けて、雇用情勢が非常に厳しくなった。

今年に入ると、新型コロナウイルス感染症の影響で、中国経済は下ぶれ圧力が増大し、多くの業界や企業が大きな圧力を受けて、雇用情勢が非常に厳しくなった。このような大きな背景の中、バイト経済がひそかに流行している。

■バイト経済=アルバイト?

新型コロナウイルスの流行中には、微商(SNSを利用した電子商取引)と個人メディアの2業界が突然、非常に人気の高い分野になった。短期的に仕事に復帰できない多くの人々が、副業を開拓する道を歩むようになったのだ。

実際には、バイト経済は昔からある。世界経済フォーラムの報告によると、人々の仕事をつなぐデジタル形態は新しいが、一時的なバイト自体は決して目新しいものではない。ジャズ奏者でもコンサルタントでも、イラストレーターでも、どこかの分野での継続期間が不確定な仕事はすべてバイトと呼ぶことができる。バイトは雇用が柔軟で、時間を自分でコントロールでき、決まった雇用主がいない。こうしてみると、インターネットのライブコマースから兼業のネット配車事業、客員の講師からアウトソーシングのコードを編集するプログラマー、軽食の屋台オーナーから時給や日給で働く労働者まで、バイト経済のカバー範囲は確かに広く、規模の大きさは軽視できない。

バイト経済の本質は短期的な労働形態というところにある。これまで長い間、多くの人の認識では、「バイトをする」ことはレベルが低く、収入が低く、保障がない仕事の代名詞だった。しかし現在提唱されているバイト経済は単に「バイトをする」のではなく、個人の技能や知識の交換であり、空いている時間を利用して、他人の問題解決を手助けし、そこから報酬を得るというのが本質だ。また、一部の企業がコストを節約するために、弾力的な求人スタイルを選択し、会社の人的資本をぎりぎりまで削るというケースもある。

インターネットが急速に普及してバイト経済に極めて大きな発展の可能性をもたらした。モバイルインターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、モノのインターネット(IoT)、プラットフォーム経済、共有経済などの新経済(ニューエコノミー)、新産業、新業態が急速に発展して、大量の新たな雇用機会を生み出し、バイト経済の普及が可能になった。知識・技能共有型の「スラッシャー」(複数の肩書を持つ人)から、各業者のO2O(オンラインツーオフライン)プラットフォームでのデリバリー配達員まで、こうした人々は新しい雇用モデルの中で登場したバイト経済の例だ。また中国雇用研修技術指導センターがこのほど発表した「発表予定の新職業の情報の公示に関する公告」には、インターネットマーケティング担当者やバイオリン・オンラインレッスンコーチなどの職業があり、これもバイト経済の範疇に入る。

■バイト経済が新たな雇用チャンスを

科学技術プラットフォームの発展、仕事に対する考え方の変化、消費スタイルの多様化といった要因の後押しを受けて、近年はバイト経済が急速に発展している。2017年に米国で行われた調査によると、バイト経済に従事する人は労働者人口の35%前後を占め、米国経済への寄与は毎年約1兆4000億ドルに達し、27年には労働者人口の半数以上を占めると予想される。こうした人々の中には、バイトで収入を補う人もいれば、バイトが主な収入という人もいる。肉体労働など低収入の仕事をする人もいれば、クリエーティブ、コンサルティングなど高収入の仕事をする人もいる。

米国では、学校を卒業した人が働く場所ではバイトが約30-40%を占め、バイトをする人たちの中には顧問、フリーの請負人、フリーター、パート、臨時のバイトなどがいる。このような経済の中、一時的な労働者の増加率は従来型のフルタイム労働者を上回り、今後も引き続き増加する見込みだ。最近の情報の指摘によると、グーグル社員の大部分はフリーの社員と臨時の社員で、フルタイムの社員ではないという。

注目されるのは、企業の運営スタイルの変化によりバイト労働者のニーズが増加したことだ。これまで多くの企業が長期雇用スタイルを選択していたのは、長期雇用の労働者は企業の文化、製品、サービス、業務プロセスをより熟知し、仕事の効率がより高くなると考えられていたからで、製造業を含む多くの従来型業界がこの雇用スタイルの特徴に合致していた。しかし研究者が指摘するように、従来型の職業スタイルは工業化時代のニーズに合わせて設計されたもので、知的労働ではプロジェクト式の方がマッチする。今やプロジェクト式が多くの企業の管理スタイルとなった。これには企業内部で異なる部門から社員を選んでプロジェクトチームを結成するというやり方もあれば、外から専門的人材をより多く、短期的に引き入れるというやり方もある。こうすることで人件費を節約できるだけでなく、より大きな競争環境の中で適切な人材を見つけることができ、企業がめまぐるしく変化するビジネス環境に追いつくようサポートすることになる。

■雇用の補完から広大なブルーオーシャンへ

バイト経済は社会の「毛細血管」に「血液」を注ぎ込む。バイト経済の登場は、人々が労働報酬を得るルートを広げるのを後押ししただけでなく、雇用を促進し国民生活を安定させる有益なルートにもなった。20年にある機関がまとめた研究報告では、36年には中国でバイト経済に従事するフリーターが4億人に達すると予想した。雇用の促進が現在のさまざまな取り組みの中で最も重視される環境の中、奨励政策によってこうした多様化した雇用スタイルを奨励することは、雇用の基本面を安定させ、雇用を拡大する重要な方法でもある。

バイト経済は雇用を補完するために必要なだけでなく、企業の発展の強力な後押しにもなる。一部の雇用主に業務拡大の中で新たな人材ニーズが生まれると、バイト経済の中でよりよい人材を選択することができる。

こうした新しい雇用形態では、誰もが受益者だと言える。雇用機関にとって、バイト経済は人件費とリスクを最大限軽減することができ、仕事の効率を向上させることができる。バイト経済に従事する大勢の労働者にとっては、才能、効率と収入との交換を実現できるだけでなく、さまざまな仕事の兼業が可能になり、より多くの収入を得て、自由に使える時間をより多くもてるようになる。バイト経済によって社会全体の労働力が活かされていないケースや浪費されるケースを少なくすることができ、決まった仕事がない人や一時的に失業している人に雇用ルートを提供することができ、一部の雇用主も新たな人材ニーズを見いだし、新たな発展ルートを見つけることができる。このように「みんなに利益がある」ことから、バイト経済は急速に成長して雇用の新トレンドになった。

しかし、バイト経済は登場してからそれほど時間がたっておらず、制度やメカニズムの保障という点では一層の向上が必要だ。習近平(シー・ジンピン)主席は23日に行われた中国人民政治協商会議経済界委員合同グループ会議で、関係委員による「新雇用形態」についての発言を聴取した後、「今最も突出しているのは『新雇用形態』の労働者の法的保障の問題、消費者の合法的権利をしっかり保護する問題などだ、速やかに追跡研究し、法律の不足点を補い、変化の中で絶えず改善する必要がある」と強調した。

バイト経済の推進は新たな時期に直面する新たなチャンスであり、企業と個人がこのプロセスでいかに観念を転換させ、絶えず刷新し、よりよい発展のルートを見つけるか。関連当局が適度な柔軟性があり、実行して効果のある保障制度を速やかに打ち出せるかどうかが、バイト経済が良好な発展を達成するためのカギになる。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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