世帯貯蓄12兆円減少の一方で貸出増加、不動産や自動車のリベンジ的購入か―中国

人民網日本語版    2020年5月15日(金) 9時0分

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今年4月は世帯の貯蓄額が7996億元減少し、1日あたり平均約266億元が人民銀行から「湧き出ていった」ことになる。一方、世帯向けの貸出は6669億元増加した。

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中国人民銀行(中央銀行)が発表した最新のデータによると、今年4月は世帯の貯蓄額が7996億元(約11兆9900億円)減少し、1日あたり平均約266億元(約3990億円)が人民銀行から「湧き出ていった」ことになる。一方、世帯向けの貸出は6669億元(約10兆円)増加した。世帯の貯蓄が減少し、借入が増加した。一体何が起きているのか。中国新聞網が伝えた。

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4月の世帯貯蓄額は一日平均266億元減少、貸出は大幅増加

人民銀行が11日に発表した2020年4月の金融統計データ報告によると、今年4月の人民元建て預金は1兆2700億元(約19兆500億円)増加したが、世帯の貯蓄は7996億元(約11兆9900億円)減少した。

世帯貯蓄額の7996億元減少とは、一体どういうことなのか。これは今年4月には1日あたり平均約266億元(約3990億円)の預金が銀行から「湧き出ていった」ことを意味する。

こうした動きと第1四半期(1-3月)に世帯貯蓄額が大幅に増加した局面とは明らかな対照をなしている。人民銀行の先のデータでは、第1四半期の世帯貯蓄額は6兆4700億元(約97兆500億円)で、1日あたり平均約700億元(約1兆500億円)のお金が銀行に流れ込んだことになる。

世帯の預金額が減少したのと同時に、個人向け貸出が大幅に増加した。

データによると、4月の世帯向けの貸出は6669億元(約10兆円)増加し、このうち個人向け消費者ローンを中心とした短期貸出が2280億元(約3兆4200億円)増加し、個人向け有担保ローンを中心とする中・長期貸出は4389億元(約6兆5800億円)増加した。

裏で何が起きているのか?

貸出の増加は、中国民生銀行の温彬(ウェン・ビン)首席研究員によると、4月になって、中国国内の新型コロナウイル対策が目に見える成果を上げ、企業活動と営業の再開が秩序よく進められ、個人消費にも回復の兆しが見られ、特に不動産、自動車などの販売が第1四半期より目に見えて回復した。

自動車消費

中国自動車工業協会がまとめたデータによると、今年4月には自動車の生産と販売がどちらも200万台を超えており、基本的に感染症前の水準に戻り、販売は21カ月続いた減少局面に終わりを告げた。このうち商用車の生産・販売はいずれも50万台を突破して、単月の過去最高を更新した。

今年のメーデー連休には、北京、上海長沙鄭州など複数地域の4S店(ディーラー)に人々が殺到していた。商務部の王炳南(ワン・ビンナン)副部長は8日の記者会見で、「自動車や家電などこれまで消費を抑制され凍結されていた耐久消費財の売り上げが目に見えて回復した。メーデー連休には、上海市、重慶市、浙江省の重点モニタリング企業の自動車販売額が前年同期に比べ、上海は49.6%、重慶は28.5%、浙江は8.8%、それぞれ増加した」と述べた。

不動産市場の消費

一線都市の分譲住宅の取引量が急速に回復し、上海と深センでは価格1000万元(約1億5000万円)ほどの豪邸を列をなし争って買い求める光景がみられた。中原不動産研究センターの統計では、4月は一線都市の分譲住宅の取引量が前月比45%増加した。このうち上海は57%増加、深センは8%増加、北京と広州は接近しており、いずれも50%以上増加したという。

CRIC(克而瑞)研究センターの統計データでは、一線都市の上海と深センの富裕層顧客の購買力は依然として力強く、二線・三線都市は感染症で抑圧されていた住宅購入ニーズが一気に顕在化し、特に重慶、徐州、杭州青島などの都市でニーズが大きく、同クラスの都市の中で上位に並んだ。

中原地産公司の張大偉(ジャン・ダーウェイ)チーフアナリストは、「全体としてみると、4月は各地の不動産市場の回復傾向が続き、北京、上海、広州、深センはいずれもはっきりとした回復傾向がみられ、不動産の量、契約件数はいずれも感染症前の平均水準に戻った。購入者が相次いで市場に流れ込んだだけでなく、不動産開発業者も一緒になって不動産熱をあおるようになった。不動産市場は春の陽気を迎えた」と述べた。

四川新網銀行の董希●(ドン・シーミアオ、●は品の口が水)首席研究員は、「現在は不動産が回復しつつあり、新築物件も中古物件も取引は活発だ。これは中・長期貸出の増加と密接な関係がある」と述べた。

不動産市場における貸出の大幅増加について、人民銀行や中国銀行保険監督管理委員会などの監督管理当局はしばしばコメントを出してきた。銀保監会は先ごろ、ルールに違反して貸出資金を不動産市場へ投入する行為は断固として是正するよう求めた。人民銀行深セン市センター支店も先に、商業銀行は貸出資金が不動産分野に違法に流れ込んでいないか全面的な個別チェックを行うよう求めた。

一部の預金は投資・資産運用へ

董さんは預金の減少を分析して、「現在、中国経済は徐々に回復しているところで、消費が増加し、個人の投資や資産運用もやっと増加し始めたところで、預金はこれからさらに投資、資産運用などの分野に回されることになる」と述べた。

前出の温さんも、「今は資本市場の動きが比較的安定しており、ファンドの発行規模が増加し、預金の多くがファンド、資産運用、資本市場に流れ込み始めている。これも預金減少の重要な原因だ。このことは、証券会社や保険会社など銀行以外の金融機関の預金が増えていることに現れている」と述べた。

人民銀行のデータでは、4月には銀行以外の金融機関の預金が8571億元増加した。

また温さんによると、季節的要因や銀行預金の「つじつま合わせ」(目標を達成するために一時的に預金を増やすなどの行為)の影響で、過去数年間のデータでは毎四半期後の最初の月に世帯の貯蓄が減少しており、これは銀行の資産運用商品の発売時期の設定と大いに関係がある。通常は資産運用商品は四半期末の3月、6月、9月にバランスシートに記載され、預金として銀行に還流し、締めの時期を過ぎると資金は再び資産運用に流れるという。

データによれば、過去数年間の4月には世帯の貯蓄額が減少した。19年は6248億元(約9兆3700億円)減少し、18年は1兆3200億元(約19兆8000億円)減少し、17年は1兆2200億元(約18兆3000億円)減少した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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