日米が進める企業の「国内Uターン」が、韓国で難しい理由とは?

Record China    2020年5月5日(火) 6時40分

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1日、韓国・ソウル経済は「韓国内で最近、リショアリング政策を強化すべきだという議論が白熱している」としつつも「韓国では難しいとの見解が出ている」と報じた。写真はソウル。

2020年5月1日、韓国・ソウル経済は「韓国内で最近、リショアリング政策を強化すべきだという議論が白熱しているが、韓国では難しいとの見解が出ている」と報じた。

リショアリングとは、海外に移管・委託した自国企業の拠点を再び国内に戻すことをいう。記事は「新型コロナウイルス感染症問題で中国中心のグローバルサプライチェーンの弱点が露呈したことで新たに供給ネットワークを再編する必要があり、リショアリングも代案になり得る」と伝えている。

記事によると、米国では2010年以降に計3327社が国内に戻った。その結果、アジア地域からの輸入品のうち中国産が占める割合は13年の67%から19年は56%(6月基準)に減少したという。日本もアベノミクスの一環としてリショアリングを進めており、トヨタホンダ日産の自動車会社3社をはじめ、キヤノンなどが日本に工場を戻しているという。

しかし、韓国では専門家の多くが「リショアリングは難しい」と指摘。理由は「高コスト構造」のためだという。記事は、「韓国には資源と核心技術がなく、内需市場が小さいため海外に進出せざるを得ない。海外に売る物は、現地で作らなければ費用を減らすことができない。中国だけでなく東南アジアなどにも供給先を増やさなければならず、これが現実的にリショアリングが難しい理由だ」「米国は税金の補助や土地の無償提供、海外で製造して国内に流入する製品への関税賦課などの措置を取っており、国内にUターンする企業が増えた。日本も核心技術を持っているためリショアリングに有利だ」としている。

また、「中国政府による企業たたきも懸念の一つ」と記事は指摘。低価格品の場合、人件費のためそもそもリショアリングが難しく、高付加価値のある製品は、法人税の削減や税制優遇などのインセンティブを多く与えれば一部可能になるが、政治、経済、環境上容易ではないという。ある専門家は「ただでさえ米中貿易戦争のため、中国脱出の動きがあり、中国政府が神経をとがらせている。こうした状況で中国に背を向けると、中国政府が企業たたきに乗り出す恐れがある。ややもすれば中国市場を諦めなければならない事態に飛び火する可能性もある」と話しているという。

記事ではこの他、費用面も理由の一つに挙げている。

これを受け、韓国のネット上では「貴族労組がいる限り韓国は無理」「国内に戻ってきても、生産した物を輸出しなければならない。それに伴う費用や関税問題のせいで、安定的な輸出が難しい可能性もある。だから韓国と海外を比べるのは難しい」など韓国内の問題を指摘するコメントが寄せられている。

一方で、「先端技術や超精密機器を使用する産業は韓国にある。内需市場は小さいけれど、韓国のイメージは高まっており、韓国内に戻ってくる動きも増えている」「物流費と人件費だけが理由じゃない」など反論コメントも目立ち、「だから北朝鮮との経済交流が必要!内需も広がるし、低コストの労働力と流通網も拡張できる」「それよりも韓国にある企業を育てることに目を向けるべき。そうすれば企業も戻ってくる日が来るだろう」と対策を講じる声も上がっている。

その他、「核心技術がなくて人件費を取る事業は無駄。日本が駄目にならないのは、彼らの技術がないと事業ができないからだよ」「米国企業が戻ってきたのは優遇政策のおかげ?いや、戻ってこなきゃ営業できないように脅迫したから」などの意見も出ている。(翻訳・編集/松村)

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