地球規模で争奪戦!トイレットペーパー、なぜ売り切れNO.1?―中国メディア

人民網日本語版    2020年3月24日(火) 15時30分

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新型コロナウイルスによる肺炎が世界に広がると、一部の国では人々がパニック買いをしたり買いだめをしたりするようになった。

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新型コロナウイルスによる肺炎が世界に広がると、一部の国では人々がパニック買いをしたり買いだめをしたりするようになった。しかしこうした人々が争って買い求め、時には殴り合いまでして手に入れようとしている商品が、マスクでもインスタントラーメンでもなく、トイレットペーパーであるとは予想だにしなかった。ネットユーザーからは、「一体どうしてトイレットペーパーにあれほど執着するのかわからない」という困惑の声が聞かれる。中国新聞網が伝えた。

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■「トイレットペーパー争奪戦」が地球規模で拡大!

トイレットペーパーが海外で争って買われるようになると、いろいろな現象が生まれた。

トイレットペーパー争奪戦が最初に注目を集めたのは日本だ。2月末に日本のネットに、「衛生紙製品とマスクは同じ原料で作られているので、これから衛生紙製品がなくなる」というデマが流れた。その結果、各地で人々が店に押し寄せて争奪戦を繰り広げることになった。2月28日に東京の大手スーパー数店舗を取材した時には、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ウエットティッシュを含むあらゆる生活用の紙製品が売り切れていた。

その後、オーストラリアなど各国のトイレットペーパー争奪戦も注目を集めることになった。

オーストラリアの戦いはことのほかハードだ。澳洲網の今月9日付報道によれば、オーストラリアではトイレットペーパー争奪戦に起因する暴行事件が多発している。今月7日午後には、シドニー南西部のスーパーから「49歳の女性が襲われた」との通報が入った。その後、60歳の母親と23歳の娘が女性を殴打したとして集団的暴行罪の疑いで告発された。

トイレットペーパー争奪戦は米国でも起こり、買えなかった人々が警察に通報して助けを求める現象も起きている。環球網の報道によれば、ニューポート市の警察は今月15日、SNSにスレッドを立て、市民に向けて「トイレットペーパーがないことを理由に緊急通報電話911に電話するのはやめてほしい」と訴えた。「我々の助けがなくても生活していける」と発信し、歴史上の人物たちがトイレットペーパー不足を解決した方法を紹介するなどした。

一部の企業はトイレットペーパー不足に商機を見いだした。オーストリアの企業の中には「家を買えばトイレットペーパーをプレゼント」するところもある。中央テレビ網の報道では、オーストラリアの新聞社で白紙を8ページ分はさみ、切り取り線まで印刷して、読者が「緊急時」に使えるようにしたところもある。同社によると、「いつもより新聞の売れ行きがいい」という。

英紙デイリー・ミラーの8日の報道によると、「新型肺炎への懸念から、英国国民はパニック買いをするようになり、瞬く間に店のトイレットペーパーが売り切れた。イースト・ライディング・オブ・ヨークシャーのゲームセンターでは、オーナーのエディ・チャップマンさんが店の入り口にあるUFOキャッチャーの景品をトイレットペーパーに変えた。1回約40円でプレイできる」という。

異常なパニック買いに直面して、地方自治体の中には安穏としていられないところも出てきた。たとえば2月28日、日本政府は関連の業界団体と一緒に状況を説明し、国民に冷静な行動を呼びかけた。南アフリカ政府は現地時間の3月19日、「感染症流行中の価格詐欺を防止するため、トイレットペーパーやマスクなどの物品を対象に緊急の価格統制を行う」と発表した。

日本から欧米諸国まで、くまなくトイレットペーパー争奪戦が行われている。メディアが取材しても、誰が一番最初にパニック買いをしたのかわからず、「どうして慌てて買ってしまうのかよくわからない」という人が多かったが、スーパーで真っ先に空っぽになるのはいつもトイレットペーパーの棚だ。

■「海外にいて、トイレットペーパーのパニックを実感した」

「最初の頃は他の人がトイレットペーパーを争って買っているのを見て、友だちと理解できないねと話していた。その後、周りの同僚がパニック買いをするようになった時も、友だちと一緒に馬鹿にして笑っていた。スーパーに行って自分の目でトイレットペーパーの棚がすっからかんになっているのを、初めてパニックを実感した。先々週に1パック買っておいて、本当によかったと思った」。こう話す薛●(シュエ・ジエ、●は女へんに捷のつくり)さんは今、英国で暮らしている。「周りの友だちも大体私と同じで、最初は他の人がどうしてパニック買いするのか理解できなかったが、売り切れの状況を見て慌てだした」という。

薛さんの目からみると、トイレットペーパーの買いだめでは、ほとんどの人が受け身で消費しており、薛さん自身も、「最初は本当は買おうなんて思わなかったが、今買わなかったら買えなくなると思った」のだという。

カナダに暮らす萌萌さんは「トイレットペーパーをめぐるパニック」を実感したという。これまでモノをストックする習慣がなかったところ、数日前にあやうく紙がなくなるところだった。

萌萌さんは、「スーパーに行って、本当にびっくりした。近くのスーパーは毎日店が開くと真っ先になくなるのはトイレットペーパーで、私も早起きして並び、4日目にやっと1パック買えた」と振り返った。

トイレットペーパー争奪戦が始まったばかりの頃、喜碧さんは日本の店で働いていた。当時、大勢の日本人客が早い時間に店にやって来て商品の入荷時間をたずね、入荷時間まで店の前で待っていたという。

喜碧さんは、「あの頃、自分が働いていた店では、1家族につきトイレットペーパーは1パックまでと制限していた。何人で来店しても、1グループで買えるのは1パックだけだった。自分が見た感じでは店内は整然として秩序が保たれていた。購入制限に気づかないでレジに2パック持ってくる人もいたが、店員に注意されると1パックはすぐにあきらめ、クレームをつけることもなかった」と話した。

■トイレットペーパーが売り切れ商品のトップに立つのはなぜ?

「心配を解消するには、買いだめするしかない」。マスク争奪戦の騒ぎが収まってきたと感じている中国のネットユーザーたちは、トイレットペーパー争奪戦をいまひとつ理解できない。「買いだめは理解できる。でもなんでトイレットペーパーなの?食べられないし、命にも関わらないし、場所も取るのにどうして?」。

経済学の「バンドワゴン効果」(多くの人が選択している現象によりさらに選択する人が多くなる効果)でトイレットペーパー買いだめ現象を説明する人がいる。体積の大きなトイレットペーパーは視覚的にインパクトが強いという。

英BBC放送の報道によれば、オーストラリアのグリフィス大学のグレーズ教授は、「想像してみると、50ロールのトイレットペーパーがあっと言う間に棚から消えた後の空虚感は、朝食用の豆の缶詰50缶や消毒液50本が消えた場合よりも目を引く。よってトイレットペーパー争奪戦では人々は無計画な後追いの行動を取りやすくなる」と説明した。

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のガーグ准教授は、「出遅れることへの恐怖」が原因であるとする。「他の人が何かの商品を争って買い求めている時に、きっと何か理由があるのだと考え、自分が出遅れることが心配になる」という。

周りの人がみなトイレットペーパーを買いだめしている時、自分は1ロールも買いだめしないでいることに耐えられるだろうか。買いだめという発想がなかったとしても、他の人が全部買ってしまって、自分が本当に必要な時に買えなくなることを心配しないだろうか。心配しているうちに、矢も盾もたまらず家から出て列に並んでしまわないだろうか。

ガーグ氏は、「大事なことはこの新型肺炎の状況がどうなるか誰もわからないこと、最終的にもっと悪化するかどうかわからないことだ。わからないから人は備えをして憂いを解消しようとする。これがなにがしかのコントロール感を得るためにできる唯一のことだ」と説明した。

トイレットペーパーは日常的な消耗品であり、すべての人にとって必要なものだ。データによると、2019年の世界の生活用の紙製品の売上高は2540億ドル(約28兆670億円)に達した。

トイレットペーパーがなくなって、仕方なく他のもので代用する場合、多かれ少なかれ違和感を感じることは避けられない。また、トイレットペーパーは値段が安く保存もきくため、人々は「買いだめする必要がなくても、後で使えばいい。買いだめして正解だったら、買いだめしてよかったということになる」と考えがちだ。

もともと世界にはトイレットペーパー危機はない。買いだめする人が多くなれば、それが危機になるのだ。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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