中国アニメ「伍六七」、胸を張って海外進出

人民網日本語版    2020年1月23日(木) 16時10分

拡大

中国のオリジナルアニメ「伍六七(シザー・セブン)」の英語、スペイン語、フランス語、日本語の4カ国語の吹き替え版、さらに、29言語の字幕版が現在、約190カ国・地域で配信されている。

中国のオリジナルアニメ「伍六七(シザー・セブン)」の英語、スペイン語、フランス語、日本語の4カ国語の吹き替え版、さらに、29言語の字幕版が現在、約190カ国・地域で配信されている。そして先ごろ米動画配信大手・Netflix(ネットフリックス)での配信も始まった。中国青年報が報じた。

中国アニメは近年、自国のアニメファンを楽しませるだけにとどまらず、胸を張って海外にも進出している。「伍六七」のほかに、「ナタ~魔童降臨~(原題:哪吒之魔童降世)」や「西遊記 ヒーロー・イズ・バック(原題:西游記之大聖帰来)」などの作品も海外で公開され、中国アニメが世界に羽ばたいている。

鮮明な中国の要素を備えながら世界に通じるスタイルで描写

「伍六七」について、ネットフリックスのアニメ担当者は、「製作クオリティにも、独特のストーリーにも、強いインパクトを感じた。世界中のアニメファンが共感を覚え、ヒットすると信じている」と自信に満ちたコメントを寄せている。

「伍六七」は、主人公の伍六七が、失った記憶を必死に取り戻そうとする姿を描いている。伍六七が、人助けをしたり、記憶を取り戻す努力をしたりしながら、愛を通して、憎しみや偏見を克服していくストーリーだ。

「伍六七」のシーズン1「刺客伍六七」は、2018年4月に中国で配信が始まり、再生回数は10億回を超えたほか、コミュニティサイト・豆瓣のレビューも8.9ポイントと、好評を博した。シーズン2の「伍六七之最強ヘアデザイナー」は2019年10月に配信され大ヒット。第25回上海白玉蘭賞の最優秀アニメ作品、最優秀アニメ脚本にもノミネートされた。「伍六七」シリーズの監督、脚本を担当した何小瘋氏は、「『伍六七』は、中国の市場での『テスト』に合格したうえで、海外進出した作品」と話す。

近年、世界に進出する中国アニメがますます増えている。不完全な統計ながら、2018年以降、少なくとも中国アニメ約20作品が海外進出したり、海外進出の計画を発表している。中国国家広播電視総局の范衛平副局長は、「世界は今、中国アニメに注目している。中国アニメは今まさに国際市場に溶け込もうとしている。中国アニメは今、高い品質の発展、国際競争に深く参加する発展の段階に突入している」との見方を示す。

どのようなストーリーなら、海外のアニメファンの心を捉えることができるのだろう?「伍六七」のプロデューサーを務めた、啊哈娯楽の鄒沙沙・最高経営責任者(CEO)は、「中国アニメが海外進出するためには、ヒューマニティ、文化、美的センスの3つの面を世界に合わさなければならない。ストーリーに中国文化を盛り込み、鮮明な中国の要素、地域的特色を備えながら、それをグローバル化したスタイルで描写し、世界に通じる美的センスで、中国の文化をそこに包み込み、一人でも多くの海外の視聴者に今の中国を理解してもらわなければならない」との見方を示す。

「海外進出」のためには一層のコンテンツ重視が必要

中国アニメは現在、海外市場で一層認められるようになっているものの、興行収入が絶好調で大人気になっている中国国内市場と比べると、そのフィードバックにはまだ一定の差がある。アニメーション映画「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」や「紅き大魚の伝説(原題:大魚海棠)」などは、中国で記録的な興行収入となったものの、その興行収入をそのまま海外に波及させることはできなかった。また、「ナタ~魔童降臨~」は、北米市場で公開された当初、ネット上で翻訳をめぐる議論が起きたこともある。

では、どのように中国人にも、世界の人にも共感を覚えてもらえる中国アニメを作ればいいのだろうか?

中国文聯電影芸術センターの饒曙光センター長は、「中国国産アニメや映画などの文化商品は慎重に海外進出を進めなければならず、海外市場に合わせすぎて、二兎を追うものは一兎をも得ない状態は避けなければならない。つまり、中国アニメが『海外進出』に成功したいのであれば、コンテンツそのものを重視しなければならないということだ。本当に優秀なコンテンツというのは世界共通なのだから」と指摘する。

若手監督の施佳欣氏は、「ストーリーを設定する際、人に共通する感情を探すというのがカギとなる。米アニメ『リメンバー・ミー』を例にすると、ストーリーは家族との間の感情が中心。家族を大切に思う気持ちなどは世界の人々が抱いている共通の感情であるため、世界中の人が共感を覚え、中国でも人気を博した。私はそれが、作品が成功するための最も重要な要素だと思う」と語る。

鄒CEOは、 「言葉のギャグだけが売りのコメディ作品の海外進出が難しいのは、ギャグを翻訳するのは至難の業だからだ。そのような作品を、世界の人々が共鳴を覚えるようにするには、1から作り直さなければならない。『伍六七』のコメディ要素は、キャラクターに盛り込まれている。主人公の伍六七と梅花十三は、それぞれの性格に基づいて行動する。同作品は、ギャップがあり、キャラの強いキャラクターが同じシーンに登場していろんなハプニングが起き、ドラマチックなストーリーとなっている。そのため、同作品は、構造的な意味でのコメディ作品で、コメディを超えたコメディ作品。世界中で好評を博すことができる」と説明する。

そして、「現在、若いクリエーターが台頭しており、中国の短編アニメの成長が著しく、世界レベルに達している作品もある。しかし、短編アニメを長編アニメへと成長させるには、さらに多くのチームが必要で、たくさんの経験を積まなければならない。『伍六七』が積んでいる経験を他の作品にも生かし、中国の若い世代のアニメ関係者が啓発を受けることを望んでいる」と語る。(編集KN)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携