感染拡大する新型肺炎、中国当局は危機感強め対策本格化、武漢“封鎖”、SARS大流行が反省材料に?

Record China    2020年1月25日(土) 6時10分

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新型コロナウイルスによる肺炎が拡大する事態を受け、中国当局は危機感を強め、対策を本格化した。SARS大流行が反省材料とみられ、発生地の武漢市は事実上“封鎖”された。写真は武漢の海産物卸売市場。

新型コロナウイルスによる肺炎が拡大する事態を受け、中国当局は危機感を強め、対策を本格化した。2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が大流行した際、対策が後手に回り、国際的な非難を浴びたことが反省材料になっているとみられ、習近平国家主席は感染拡大防止を指示し、発生地の武漢市は事実上“封鎖”された。

SARSは02年11月に広東省で最初の犠牲者が出た。しかし、中国当局が世界保健機関(WHO)に未知の伝染病を報告したのは翌年2月になってからで、その時点ですでに近隣諸国・地域で数千人が感染していた。

WHOの報告によると、香港を中心に8096人がSARSに感染し、37カ国で774人が死亡したとされている(致死率9.6%)。香港では02年2月に香港へ到着し、九龍のホテルに宿泊した本土の医師(その後死亡)がウイルスを持ち込んだとみられ、16人の宿泊客に感染を広げた。ここで感染した宿泊客は香港国際空港から旅客機でカナダ、シンガポール、ベトナム、台湾などに向かい、到着先で感染をさらに拡大させた。

武漢市で昨年12月に発生した新型肺炎は中国国内で北京、上海天津重慶などに広がり、患者数が増え続けているほか、日本、韓国、タイ、米国などにも飛び火した。中国国営新華社通信によると、事態を重視した習主席は「感染の予防と制御をしっかり行うことが非常に重要である。感染情報を速やかに発表し、国際的な協力を深化させなければならない」などと指示。李克強首相もWHOや関係国などとの意思疎通や協調をしっかりと行い、緊密に協力して感染のまん延を断固防ぐよう求めた。

中国のトップ2人が特定の疾病に言及するのは異例。武漢市は現地時間23日午前10時(日本時間同11時)から、市内の路線バス、地下鉄、フェリー、長距離バスの運行を一時停止し、市外に向かうための空港や鉄道駅も一時閉鎖すると発表した。市民にも特別な事情がない限り、市外に出ないよう指示した。

今回の新型肺炎を中国国家衛生健康委員会は伝染病予防法に基づき、コレラやペストなど「甲類伝染病」に次いで危険性が高い「乙類」に指定した。SARSも「乙類」に分類されていた。22日に記者会見した同委の李斌副主任は呼吸による人から人への感染の証拠が確認されたことを指摘。「ウイルスには変異の可能性があり、さらに拡散するリスクがある」との見解も示した。医療従事者の感染も確認されたという。

中国では24日から春節(旧正月)の大型連休を迎え、約30億人が「民族大移動」する。武漢以外にも全土に発症者が拡散しており、国を挙げての封じ込めがどこまで功を奏するかは予断を許さない状況だ。(編集/日向)

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