日本はなぜ「デジタル・ニューディール」を強く推進するか―中国メディア

人民網日本語版    2020年1月19日(日) 15時30分

拡大

日本政府は昨年末、2019年度補正予算案に「デジタル・ニューディール」関連予算約9550億円を計上することを決定した。写真は中国で開催されたサムスン5Gスマートフォンに関するイベント。

日本政府は昨年末、2019年度補正予算案に「デジタル・ニューディール」関連予算約9550億円を計上することを決定した。予算には中小企業のIT(情報技術)化支援のための3090億円、学校のICT(情報通信技術)応用の2318億円、「ポスト5G」時代の情報通信基盤強化の約1100億円が含まれるほか、若い科学研究者への最長10年間、毎年平均約700万円の研究費助成及び量子科学技術研究機関とスーパーコンピューター分野への投資なども含まれる。経済参考報が伝えた。

予算の投入先をみると、日本の目標が情報化、スマート化、基礎研究などの分野で世界の潮流に追いつくことにあるとすぐにわかる。日本がこうした分野への投資に力を入れることから、日本が抱えるリスクや不安もうかがえる。

中小企業の情報化強化を例にすると、総務省が行った「2018年通信利用動向調査」によれば、モノのインターネット(IoT)と人工知能を両方導入、またはどちらかを導入した日本の製造業企業は16.6%にとどまった。日本経済新聞が昨年8月に伝えたところでは、「あらゆるモノがネットにつながる『IoT』の波に国内の工場が乗り遅れている。原因の一つはサポートの切れた『老害パソコン』が数十万台規模で稼働していること」という。

別の1組のデータからも日本の「デジタル・ニューディール」推進の動機がみえてくる。日本生産性本部の19年のデータでは、18年の日本の労働生産性は先進7カ国(G7)の中で最下位で、米国の6割にとどまり、経済協力開発機構(OECD)加盟国36カ国の中では21位だ。高齢化少子化が深刻化する中、日本の中小企業の未来は情報化とますます切り離せなくなっている。

学校のICT化は、デジタル・ニューディールの重要な内容だ。計画では、24年までにすべての小中学に1人1台パソコンを支給する予定で、今後4年間で関連費用は計4300億円に達するとみられ、このうち2318億円が補正予算案に組み込まれた。青少年への投資を増やしてIT人材の育成を強化しようとする日本の方針は明らかだが、ハードウェアへの投資だけでITの人材不足という日本の現状をすぐに変えることはできない。なぜなら、日本の学校はIT教育を担う教員の不足といった問題に直面しているからだ。

5G分野で、日本は「準備は早かったが、市場化には乗り遅れた」といえる。日本は世界的にも早くから5G技術の研究を進めてきた国で、13年にはNTTドコモが5Gネットワークの概念を打ち出し、15年にはドコモが5Gネットワークの実証実験を成功させた。しかし5G技術の開発競争の中で、日本は中国や韓国などに後れを取った。現在、日本は「ポスト5G時代」に注目するが、この時代に焦点を当てるのは日本だけではなく、企業の中には早々と6Gの研究を始めたところもある。

同様に、量子科学技術の分野では、日本は基礎研究のスタートは早かったが、商用化と応用研究の面では中国、米国より遅れている。デジタル・ニューディールの関連予算には、量子研究とスパコンへの数百億円の投資が含まれるが、米中両国の人材や予算の投入と比べると取り立てて多いわけではない。

基礎研究をみると、日本は今世紀に入ってからほぼ毎年ノーベル賞受賞者を出しているが、受賞までに平均30年近くかかっており、受賞が必ずしも日本の現在の環境や科学研究の水準を直接反映しているわけではない。たとえば19年の受賞者の吉野彰氏の研究成果は1980年代に得られたものだ。現在、日本は基礎研究の分野で強い危機感を抱いている。18年度「科学技術白書」は、「日本は基礎科学研究、人材育成、資金確保など各方面で多くの問題に直面している」とした上で、「政府に科学研究分野への資金の投入を強化し、若い研究者によりよい研究環境を提供するよう提起する」としている。

日本はAI、量子計算、情報通信、基礎研究などの分野で一定の技術力があり、世界の科学技術勢力図の中で重要な一角を占めるが、競争力低下のリスクにも直面する。日本政府が資金の投入を増やし、デジタル・ニューディールの推進に力を入れるその意図ははっきりしており、インダストリー4.0の時代のチャンスをしっかつかまえ、デジタル経済が未来の日本の経済成長と社会変革を牽引する新たな原動力になるようにすることにある。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携