「日本人はひどすぎ!」なぜ彼は誤解したのか―中国人学生

日本僑報社    2020年1月12日(日) 14時0分

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日本語と中国語には、字面は同じでも意味が異なる漢字が多数存在する。

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昨年7月18日発生した京都アニメーション放火殺人事件をめぐり、ネット上である動きが起こった。それは、中国語で寄せられた「加油(頑張って)」という応援メッセージを翻訳するもの。ガソリンをまいて火をつけるという事件性から、「加油」という言葉が誤解されかねないという配慮からだ。日本語と中国語には、字面は同じでも意味が異なる漢字が多数存在する。青島大学の邰華静さんはある誤解をきっかけに、そうした単語をピックアップしている。以下は、邰さんの作文。

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「これはどういう意味??日本人はひどすぎ!!!」

1年前のある朝、ウィーチャット(「微信」、中国SNS)から友人Aさんの怒鳴り声が聞こえてきた。相当怒っているらしい。目覚めたばかりで、まだ寝ぼけていた私はびっくりして、さっそく一緒に届いた写真を見た。

「青い空を目指し、中国必死」

日本の新聞記事のタイトルが目に飛び込んだ。「中国必死」の四文字には赤い丸印までついていて、非常に目立った。短気な彼が何を誤解したのかがすぐ分かり、苦笑するしかなかった。

「怒らないで、平気平気、深呼吸して……日本語の必死って一生懸命頑張ることなのよ(※中国語では「必ず死ぬ」)。自分勝手に解釈しないでよ」

私の説明を見て、彼は驚いたようだった。「へえ、そんな意味だったのか……」。納得したのか、恥ずかしそうな顔の絵文字が届いた。この日本の新聞記事のタイトルはネットで大騒ぎを起こしたそうだ。私がその記事を見た時には、もう日本語が分かる人からの説明が書いてあって、幸いなことに誤解は解けていた。

このことは深く印象に残って、今でもはっきり覚えている。「必死」のような中日同形語に理解が足りないからこんなことが起こるのだと痛感した。

中日同形語には中国と日本で意味のまったく異なるものも多い。日本語の勉強を始めたばかりのころ、中国語で「無理をする」という意味の言葉「勉強」は日本語では「学習すること」だと知って、みんなが「やはり日本人は賢くて正直だなあ、勉強って確かに無理だよ」と冗談を言った。翻訳の授業で、「彼は地道に研究している」という日本語を、自信満々で「他在研究地道」(彼は地下道を研究している)と中国語に訳した人がいて、みんなが爆笑した。

中日同形語を誤解しても笑い話になるだけで、別に大したことじゃないと思っていたが、両国民の友好関係を損ないかねなかった1年前の騒ぎで、私は中日同形語について真剣に考えるようになった。

中日両国でともに使われている漢字は相手の国の言葉での読み方は分からないが、ある程度意味が理解でき、いわば両国民の相互理解に役立つ架け橋であると言える。しかし、意味がまったく同じであるとはかぎらず、「必死」「勉強」「地道」のように意味がまったく異なる中日同形語もある。誤解しても笑い話になるだけならばいいが、中日両国で使われている漢字が両国民相互の誤解を招く落とし穴になってしまってはいけない。

祖先からいただいた漢字という宝物を両国民の間の架け橋にするために、私にはやりたいことがある。それは常用中日同形語の意味分別リストを作ることだ。中日同形語の意味の違いをしっかり研究して、中日両国の人々に分かりやすく示せばきっと役に立つだろう。思い立つ日が吉日、実は1年前、友人Aさんの「必死」問題が起こったその日にリストの作成に取り掛かっていた。

始めたばかりのころ、多分つまらなくて面倒くさいと思う日が来るだろう、そしてもうやめようとする自分を「頑張って!」とこっそり励ます場面まで想像していたが、実際にやってみると面白くて、達成感があって、やればやるほど言葉には魔力があるなあと感じている。今はもう日常よく使われる言葉を1000語ぐらい収集し、両国語における意味の異同を詳しく分析した。日本の「中国語の日」(日本僑報社が提唱、毎年8月8日を想定)までにはもっとたくさんできると思うが、その日にネットにアップして、皆とシェアしたい。

影響は大きくなくても、まずは日本の皆さんが中国語って面白いなあ、ちょっと勉強してみようかなと思ってくれればと願っている。中途半端にやると他人のマネになる。とことんまでやれば他人にはマネできないものになる。将来、それがきっと大きな力になれると信じて、やり続けようと思う。(編集/北田

※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、邰華静さん(青島大学)の作品「日本の『中国語の日』に私ができること」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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中国人の日本語作文コンクール受賞作品集はコチラ
http://duan.jp/item/267.html

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