中国は2030年にアジア経済への影響力で米国を超えるか―中国メディア

人民網日本語版    2019年12月6日(金) 9時10分

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これまで長い間、アジアに対する米国の影響力は、「米国がくしゃみをすれば、アジア全体が肺炎になる」などと形容されるほどのものだった。しかし今、そのような状況が変わりつつある。写真は中国製の靴。

これまで長い間、アジアに対する米国の影響力は、「米国がくしゃみをすれば、アジア全体が肺炎になる」などと形容されるほどのものだった。しかし今、そのような状況が変わりつつある。中国新聞社が伝えた。

日本経済新聞の報道によれば、「米国依存だったアジアの経済構造が大きな転換期を迎えている。2030年ごろには、中国のアジア諸国(日本を含む)に及ぼす経済波及効果が米国を圧倒し、域内経済の『中国化』が加速しそうだ」という。

この結論は日本経済研究センターの田原健吾主任研究員が経済協力開発機構(OECD)の国際産業関連統計を用いて試算して得られたもので、「30年に中国の東南アジアや日本への経済波及効果は……米国より4割も大きくなる」と指摘した。

中国商務部国際貿易経済協力研究院地域経済協力研究センターの張建平(ジャン・ジエンピン)センター長は取材に答える中で、「これからは中国がくしゃみをすれば、アジアが風邪をひくことになる」と述べた。

■中国はどのようにアジア経済に影響力を及ぼすか?

アジア経済に対する中国の影響力は日増しに高まっており、そのことは金融危機発生後に目に見えるようになった。

日経新聞によれば、「戦後(第二次世界大戦後)、アジア諸国にとっては世界最大の消費地である米国が、長らく輸出先のトップに君臨してきた。ところが、東南アジア諸国連合(ASEAN)からの中国向け輸出額はリーマン・ショック後の10年間で米国向けを逆転した」という。

その一方で、「日本をみると、17年11月の時点で対中輸出が累計で13兆3800億円と、これまでのピークだった14年の実績を上回り、最高を更新した」。

日経新聞のさきの報道によると、日本の対中輸出には14年7-8月期から約3年ぶりに、2カ月連続で米国を上回る状況が出現した。「こうした逆転現象は米中ともに経済が堅調な状態で起きており、日本の輸出で中国の存在感がより大きくなっていることを浮き彫りにしている」という。

消費と投資でも中国の動きがことのほか目を引く。田原氏の試算では、30年に中国の消費や投資(いわゆる最終需要)がそれぞれ1%増えた場合、輸出などを通じたASEAN主要5カ国(ASEAN5)の実質国内総生産(GDP)に対する押し上げ効果は33億ドルに達する。30年時点で米国の押し上げ効果は中国の3分の2弱の19億ドルにとどまるという。

指摘しておかなければならないのは、日経新聞が指摘するように、「日本では15年時点ですでに中国の波及効果が米国を若干上回っている」ことだ。30年にはこの開きがさらに拡大し、「中国の日本への波及効果は需要1%あたり46億ドルと15年比で6割増える」という。

張氏は、「中国は世界最大の製造業センターであり、アジア各国のハイテク製品、プラント設備、重要部品、中間製品、農林牧畜産品、資源・エネルギー製品に対するニーズが、各国の経済成長をけん引していく。中国の多くのアジア諸国にとって最大の物品貿易パートナーであり、アジア各国における中国の投資規模は絶えず拡大しており、多くの雇用チャンスを生み出し、特に『一帯一路』(the Belt and Road)建設が各国に多くの新たな協力プラットフォームをもたらした」と述べた。

張氏は続けて、「2030年には、中国がGDPの絶対的規模でもほぼ米国を追い抜くとみられ、その時点で、中国はすでに世界最大のエコノミーとなり、アジア各国に対する影響力では米国と日本を超えるだろう」と述べた。

しかし同研究院国際市場研究所の白明(バイ・ミン)副所長からみると、「2030年に、中国経済のアジアに対する影響力は確かにさらに拡大し、多方面で米国とともに重要な役割を発揮するとみられるが、アジアについて言えば、米国を超えるかどうかには、なお多くの不確定性がある」という。

また白氏は、「米国を超えるためには中国の発言権を急速に高める必要があり、国際関係の中における駆け引きだけでなく、自国の土台の発展にも注意を払わなければならない」と指摘した。

■世界経済への寄与度は維持できるか?

中国経済はアジア経済に対して重大な影響を与えるだけでなく、ここ数年は中高速成長にともなって、世界経済成長への寄与もますます大きくなっている。

国際連合の発表した年次報告書「2018年世界経済状況・予測」は、グローバル経済成長が強い勢いをみせ、東アジアと南アジアが引き続き世界で最も経済の活力に富んだ地域となり、中国は17年のグローバル経済への寄与で約3分の1を占めたという。

また同報告書は、中国経済の成長、力強い個人消費、高い輸出額、緩やかなマクロ経済政策にけん引されて、地域経済は引き続き相対的に安定し、中国は18年は5.8%、19年は5.9%の成長率を保つと予想する。

清華大学国情研究院の胡鞍鋼(フー・アンガン)院長は、「中国の輸入の高度成長が世界各国の中国に対する輸出の伸びをけん引し、鉄鉱石、原油、天然ガス、石炭といった大口商品の輸入量及び価格の伸びをもたらした。グローバル貿易額は14年にピークに達すると、そのあとは2年連続で減少し、17年に成長の曲がり角を迎えて成長率は3.6%に達したとみられる。この成長率に対する中国の寄与度は10%を超える」と指摘した。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスのマネージングディレクターのマイケル・テイラー氏は、「金融危機が発生して以降、グローバル経済の成長の3分の1は中国が担ってきた。過去10年間で、グローバル経済の発展の重心は目に見えてアジアに移り、アジア経済の未来の発展の見通しは引き続き楽観的なものであり、多くの分野で成長が続くとともに、新たな成長のポテンシャルが見えてくるだろう」と指摘した。

張氏によれば、「短期的には、中国経済は引き続き6.5%前後の経済成長率を維持するとみられる。世界2位のエコノミーとして、この成長の規模は世界で確かに1番であり、寄与度30%のレベルがこれから数年は続くだろう」という。

しかし白氏の見方では、「世界経済への中国の寄与度が上昇を続けるのはおそらく難しい。上昇すればするほど、これまでの成長ペースを維持するのが難しくなるからだ。他国も発展しており、その発展ペースも早く、未来の中国が30%前後の寄与度をずっと維持し続けられるとは限らない。今後は発展の質をめぐってより努力する必要がある」という。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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