首脳会談を推進、日韓貿易戦争は解決したのか?―中国メディア

人民網日本語版    2019年11月27日(水) 7時40分

拡大

日本と韓国の関係は一つの山場を越えて新たな展開をみせた。ついさっきまで怒りに満ちた顔でにらみあっていたと思ったら、今度は首脳会談のタイミングを探り始めている。写真はソウル。

日本と韓国の関係は一つの山場を越えて新たな展開をみせた。ついさっきまで怒りに満ちた顔でにらみあっていたと思ったら、今度は首脳会談のタイミングを探り始めている。先に譲歩したのは韓国で、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長に始まり、妥協のシグナルを発した。しかし韓国に譲歩させたのは日本の強硬な態度ではなく、米国からしばしばかけられた圧力だ。貿易摩擦がエスカレートしてアジア・太平洋の軍事展開に関わるGSOMIAに波及したとき、米国がじっとしていられないのは当然のことだ。北京商報が伝えた。

■協調を強化

23日はGSOMIAが正式に失効1日目になるはずだった。しかし韓国は失効前日に思いがけない決定を下し、条件付きでGSOMIAを延長すること、GSOMIAは引き続き有効であることを発表した。

この決定は日韓間の先鋭化した摩擦に調停の余地があり得ることを意味する。しかし韓国大統領府国家安保室の金有根第1次長は、「双方が輸出規制の問題について話し合っている間は、韓国は世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを一時停止するが、GSOMIAはいつでも破棄できることが前提だ」と述べた。

予想されていた通り、23日には日本の茂木敏充外相と韓国の康京和外相が愛知県名古屋市で会談した。35分間の会談の中で、双方は両国のGSOMIA、日本の対韓輸出規制及び日本に第二次世界大戦中に強制労働させられた元徴用工の問題などについて話し合ったという。双方の態度から、意思疎通を強化しようとする姿勢が非常に明確にみえてくる。

また、外部がさらに注目するのは今回の会談で日韓首脳会談について話し合ったことだ。実際には、今月上旬に日韓両首脳がタイで約10分間の非公式会談を行っている。今後、首脳会談が実現すれば、両首脳は2018年9月に米ニューヨークで会談して以来、1年以上の時間を経て再び正式な会談に臨むことになる。

■強硬から妥協へ

GSOMIAは日韓関係の交渉における韓国の切り札だった。遼寧大学国際関係学院の李家成(リー・ジアチョン)准教授は、「韓国は日韓のGSOMIAを破棄すると言うことで、米国に紛争解決に乗り出してもらおうと考えていた。これまでトランプ米大統領は我関せずの態度を取っていたが、韓国の手の中にある経済カードは相対的に言って限りがあるため、米国に仲裁役を期待していた」と指摘した。

韓国は先週まで強硬な態度を取り続けていた。スイス・ジュネーブの現地時間19日には、日韓両国がWTO協定に基づく2回目の局長級二国間協議を終えたが、双方の溝は縮まらなかった。また韓国は、「日本とのWTOにおける協議を中断する可能性もある」としていた。

協議中止の可能性から意思疎通の模索へという韓国の変わり身の早さに驚かざるを得ない。その背後には、軽視できない米国からの圧力がある。米上院は21日、日韓に信頼回復を促す決議案を可決した。韓国紙「国民日報」は、「韓国政府は米国からの圧力を無視してGSOMIAを終了するとなると、米韓の同盟関係にひびが入り、米国が韓国に不利なさまざまな措置を取るようになる可能性を懸念した。真っ先に考えられるのは交渉が進行中の駐韓米軍の費用負担の問題で、米国が50億ドルの要求にさらに上乗せする可能性がある」と分析した。

中国社会科学院地域安全研究センターの楊丹志(ヤン・ダンジー)センター長補佐は、「米国の仲裁の下、今は(日韓が)和解する可能性がある。主な原因は米国が加える圧力だ。韓国は米韓関係で弱い立場にあり、話し合いの余地はそれほどなく、米韓同盟の安定性という観点からみて、韓国は従来の立場で妥協することにした」と分析した。

■問題の根源を取り除くのは難しい

韓国が妥協したことで硬直した局面が緩和する流れにはなったが、これはすべてが好転することを意味するわけではない。実際、韓国の世論の主流は「GSOMIA延長に反対」だ。22日に発表された世論調査の結果では、「GSOMIA終了に賛成」が51%で、「延長を支持」は29%にとどまった。韓国の複数のメディアが政府の協定延長の決定を批判し、韓国紙の「朝鮮日報」は韓国政府の動きを「無能外交」、「未熟な対応」などと批判し、「東亜日報」も協定に期待される効果や米国が演じる役割に疑問を投げかけた。

世論の怨嗟や不満だけでなく、韓国自身も手持ちのカードをすべて広げたわけではない。両国の外相会談では、元徴用工への賠償問題について、双方の話し合いが実質的な進展を遂げることはなかった。茂木外相は日本政府の「1965年の日韓請求権協定で解決済み」との立場を繰り返した。康外相は「司法の判断を尊重し、政府は判決に干渉する権利をもたない」との一貫した立場を繰り返し、会談終了後には、「この問題における双方の溝は依然として大きい」と認めた。

日本も和解に楽観的な態度を取っているわけではない。日本政府関係者は、「GSOMIAと対韓輸出規制は別の問題という立場は変わらない。今回はGSOMIAを一時的に延長したに過ぎず、これからも日韓両国間の困難な交渉は続く」との見方を示した。

前出の楊氏は、「最初は強硬な態度を取った韓国だが、今は妥協した。このことは未来の韓国が日韓関係に対処する場合にそれほどプラスにはならない可能性がある。韓国の変化はこれまでの関係性の中で日本が強い立場にあったことを物語ってもいる。今後の双方の関係がどうなるかは日韓首脳の相互の動きを見なければならない。具体的に何をどう語るかだ」と述べた。

今後、一歩下がることで世界がより広く開けるかどうかにかかわらず、少なくとも半年近く続いた今回の問題は両国を疲弊させてきた。日本の輸出は10月に3年ぶり最大の減少幅を記録し、対韓輸出は23%も減少した。韓国も相当なダメージを受けており、21日には経済協力開発機構(OECD)が韓国の今年の経済成長率予測を2%に引き下げ、昨年11月の2.8%、今年3月の2.6%、5月の2.4%、9月の2.1%と、1年で相次ぎ4回も予測値が引き下げられた。これは韓国の実際の経済状況が予測よりも悪いことを意味する。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携