<羅針盤>天皇陛下の「即位礼正殿の儀」のおことばに共鳴―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2019年10月27日(日) 5時50分

拡大

天皇陛下が即位を宣言される「即位礼正殿の儀」が10月22日に行われた。皇居での式典に国内外から多くの方々が参列し、即位を祝福した。陛下は国際社会の友好と平和に尽くされるお考えを示された。

天皇陛下が即位を宣言される「即位礼正殿の儀」が10月22日に行われた。皇居での式典に国内外から多くの方々が参列し、即位を祝福した。

陛下は「おことば」の中で、上皇さまについて「いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その御心(みこころ)を御自身のお姿でお示しになってきた」と言及され、その姿に改めて深く思いを致すと述べられた。戦場となった沖縄や大災害の被災地をはじめ全国を訪れ、国民の中に分け入った上皇さまのように「国民に寄り添いながら」象徴の役割を行動で果たそうとの強い意志を感じる。

陛下は、憲法にのっとり、国民統合の象徴としての務めを果たすと誓われ、さらに国際社会の友好と平和に尽くされるお考えも示された。新しい時代に向けたおことばとして共鳴した。

陛下は5月の「即位後朝見の儀」で、憲法を重視する姿勢を明らかにし、8月の全国戦没者追悼式でも上皇さまの「深い反省」との表現を踏襲した。昭和の「負の遺産」と向き合い、憲法下の象徴像を模索した歩みを引き継ぐお気持ちの表れだ。

 

陛下は平成の時代を「人々の生活様式や価値観が多様化した」と振り返り、「多様性と寛容の精神」が大切だと述べられた。こうした新しい時代感覚を基にした象徴像が生まれるのかもしれない。

昭和、平成時代を駆け抜けてきた筆者にとっても、令和時代は感慨深い。メディアが報じるニュース映像などを観て、皇室が国民統合の象徴として敬愛されていることを改めて実感した。

筆者は、会合などで皇太子時代の新天皇にお会いしたことがあるが、品格や伝統に裏付けられた立ち居振る舞いで外国からの賓客と交流を深められていた。若き日の英国留学では多くの国の人たちと交流し、平和主義と民族多様性を尊重する考えを学ばれたと聞く。

多くの国と友好関係を築いてきた「皇室外交」の意義は大きい。陛下は皇太子になる前、英国に留学し、海外の空気に触れた。外交官出身の皇后雅子さまと共に国際経験を生かし、諸外国との交流に一層力を尽くしていただきたい。

<羅針盤篇47>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携