<直言!日本と世界の未来>男女平等指数で日本は世界121位、中韓の後塵を拝す―立石信雄オムロン元会長 

立石信雄    2019年12月22日(日) 7時10分

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世界各国の男女平等の度合いを示した「ジェンダー・ギャップ指数」が発表され、日本は調査対象153カ国のうち、121位で過去最低となった。106位の中国、108位の韓国の後塵を拝しショッキングである。

世界各国の男女平等の度合いを示した「ジェンダー・ギャップ指数」(世界経済フォーラム=WEF)が発表され、日本は調査対象153カ国のうち、121位で過去最低となった。106位の中国、108位の韓国の後塵を拝しており、いささかショッキングなランキングである。

この指数は女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析し、ランキング化している。安倍内閣発足後の13年と今回を比較すると、経済は104位から115位へ、政治は118位から144位へと順位を大きく下げている。特にリーダー登用の遅れが目立つ。経済分野の女性管理職比率と、政治分野の閣僚女性比率が特に順位を下げた要因となった。経済は男女の収入格差が大きい上に、専門職や技術職で女性が少ないことも影響したという。

女性の活躍推進は、なかなか難しい問題だが、コーポレート・カルチャー(企業文化)を受け入れる土壌が職場にあるかどうかにかかっていると思う。私はやはり、経営者の意識の持ちようとリーダーシップに負うところが大きいと考えている。

法制度の側面では、ここ十数年でかなり前進しており、企業も人事諸制度の整備を進めてきている。しかし、実態があまり伴っていないのが現状である。法制度や企業の育児支援制度など、器は立派なものがかなり整ってきているが、肝心の中身がない。あるいは中身をいっぱいに満たそうという“志”に欠けているように思う。

経済産業省の研究報告は女性の活躍と会社の業績の関係をデータ分析し、「女性管理職比率の高い企業は業績がよい」という結論を導き出している。この報告書によると、「女性の活用を促す企業風土”が根づいていることが、従業員のモチベーションを高め、生産性が高まって好業績につながる」という。

 

業種や業態などの事情があり、単純に比率だけをみることは問題があろうが、私はこの見方に同感である。企業経営者が女性の活躍を促す企業文化、企業風土を醸成するよう努力しているかどうかがもっと問われるべきだと思う。

世界経済がグローバル化し、国際競争力がますます激化するなど、企業を取り巻く環境が大きく変化している中、個々の企業にとって、他社と違った技術、商品、サービスを開発し市場に送り出していく上で、従業員という人の存在はますます重要になってきている。

そうした中で、女性の活躍推進は企業経営上、極めて重要な課題のひとつである。私は女性が働きやすい環境は、男性にとっても生活の豊かさを実感できる社会であり、経済システムであると考えている。“心の時代”に踏み出したこれからの企業経営においては、こういった人間視点を持つことが不可欠である。

<直言篇105>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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