日米欧が外資の審査を厳格化、中国はどんなカードを切れるか―中国メディア

人民網日本語版    2019年8月21日(水) 22時20分

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米国と欧州連合に続き、日本も海外からの投資の審査を厳格化する見込みだ。資料写真。

米国と欧州連合(EU)に続き、日本も海外からの投資の審査を厳格化する見込みだ。日本経済新聞が19日に伝えたところによると、日本は今年秋から、日本企業への外資の出資規制で、これまでの取得株式数を基準にしていたやり方を議決権ベースに切り替え、規制対象となる企業の範囲を広げるという。中国新聞社が伝えた。

日本の現行の規定では、外資が日本の原子力や半導体などを手がける上場企業の株式を10%以上取得する場合、外資企業に事前の届出を義務づけ、審査している。基準が取得株式数から議決権ベースに変わることは、敏感な産業で外資への管理コントロールを厳格化するということだ。

たとえば、ある日本企業で議決権ありの株式が1000株、議決権なしの株式が200株の場合、外資が100株を取得しても株式ベースでは8.3%で対象から外れる。議決権ベースなら10%となり規制をかけられる。

米国はすでにより厳格な外資審査の新規定を実施している。これには外資がキーテクノロジー、カギとなるインフラ、米国国民のプライバシーに関わるデータを手がける場合、すべて審査が義務づけられること。外国政府がコントロールする投資家が米国企業に株式の25%を超える投資を行う場合は、強制審査報告の対象となること。審査期間がこれまでの30日から45日に延長されたこと、などが含まれる。欧州議会も今年、外資に対する安全保障関連の審査についての法案を賛成多数で可決しており、これから通信や人工知能(AI)などの分野の外資による買収への審査を強化するという。

アナリストは、「日米欧がそろって外資への審査を厳格化するのは、全ての国を平等に扱うようにみえて、実は背後に中国への狙いが隠されている。これから中国企業の海外投資がより大きな挑戦に直面する可能性がある」との見方を示した。

ここ数年、製造業は中国企業の対外投資の人気分野だ。特にハイテク産業の人気が高い。公式のデータによると、2017年末現在、中国の情報伝達・ソフトウェア及び情報技術(IT)サービス産業の海外直接投資(FDI)ストックは2189億ドルに達し、中国のFDIストック全体のうち12.1%を占める。製造業のFDIストックは1400億ドルを超え、このうち設備製造業が45.8%を占める。

中国企業は欧米製造業への投資が最も多い。17年末現在、中国企業の欧州製造業へのFDIストックは246億ドルに達し、欧州へのFDIの30%近くを占める。米国では、中国企業のFDIストックが100億ドルを超える産業が2つあり、製造業が172億8000万ドルで首位に立ち、25%以上を占める。相対的にみて、中国企業の対日投資は少なく、17年末時点でFDIストックは30億ドルほどしかない。

投資障壁が増加した影響で、ここ1-2年は中国の対外投資が目に見えて冷え込んでいる。今年上半期の中国の対米投資額は前年同期比20%以上も減少した。

中国社会科学院世界経済・政治研究所の王永中(ワン・ヨンジョン)研究員は、「先進エコノミーは中国の技術の進歩への警戒や恐れから、外資が技術をもった自国企業を合併買収する場合の政策を大幅に引き締めており、これは今後、中国企業が合併買収や投資などの方法で技術を獲得することが一層難しくなったことを意味する」と述べた。

中国はこれまで、中国企業を含む各国の投資家のためにオープンで、透明で、円滑な投資ビジネス環境を創出すべきだと繰り返し述べてきた。学者は、投資の保護主義が蔓延する中、今の中国にとってより現実的な選択は、「国内のこと」を迅速にしっかり行い、高いレベルの開放によって技術力を向上させることだとする。

王氏は、「企業の革新への原動力をかき立て、中国内外のハイレベルの人材を誘致することが、中国の目の前に横たわる重要な任務だ」と指摘した。

中国国際経済交流センターの張燕生(ジャン・イエンション)首席研究員は「現在、中国は革新にとってプラスになる一流の市場環境、ビジネス環境、法治環境を早急に創出し、革新が駆動する企業をより多く早急に育成しなければならない」と述べた。

中国マクロ経済研究院の陳東●(チェン・ドンチー、●は王へんに其)首席専門家も、「中国は対外開放をさらに積極的に拡大し、先端技術とハイレベル人材を誘致し、国内と海外と2つの市場のマッチングと融合を通じて、世界の先端技術を学び、新技術と新経済の最先端に位置する多国籍企業をより多く生み出すよう後押しするべきだ」と指摘した。

上海自由貿易区の新ブロック全体プランがこのほど提起され、基礎的な優位性を備えた集積回路、人工知能(AI)、バイオ医薬などの重点産業のカギとなる中核部分を手がける企業を税金面で優遇し、産業の加速的発展を奨励する構想が打ち出された。アナリストは、「中国はこれからさらに多くの措置を次々打ち出していくだろう」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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