【CRI時評】「INF全廃条約」の失効は全世界の安全リスクを激化させる

CRI online    2019年8月2日(金) 16時55分

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 米国が宣言した「INF全廃条約」放棄までの6カ月の期間が過ぎたことで、全世界の安全に重要な意義を持つ「INF全廃条約」が2日、正式に失効した。米国が同条約からの離脱に固執したのは、一国主義と覇権主義政策のあらわれの一つであり、大国間の戦略的安全の相互信頼を弱めるものであり、注目...

 米国が宣言した「INF全廃条約」放棄までの6カ月の期間が過ぎたことで、全世界の安全に重要な意義を持つ「INF全廃条約」が2日、正式に失効した。米国が同条約からの離脱に固執したのは、一国主義と覇権主義政策のあらわれの一つであり、大国間の戦略的安全の相互信頼を弱めるものであり、注目を集める地域における軍拡競争を加熱し、世界の安全構造に新たなリスクを加えるものだ。

 「INF全廃条約」は1987年に締結された。その全称は「中射程および短射程ミサイルを廃棄するアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦の間の条約」だ。同条約は、両国が射程500キロメートルから5500キロメートルまでの地上発射型の巡行ミサイルと弾道ミサイル、発射装置を保有・生産せず、試験発射も行わないことを定めた。同条約は冷戦期における最も成功した軍備制限合意であり、米ソ(米ロ)の戦略バランスの調整、対抗リスクの低減、核拡散防止などの分野で積極的な役割りを果たした。

 「INF全廃条約」は一貫して、米ロの戦略ゲームの焦点の一つだった。米国現政権が発足以来、対外安全政策の明確な調整を行ったことで、米ロのINF全廃条約の矛盾はさらに際立つことになった。今年2月1日、米国のポンペオ国務長官は、ロシア側が長期にわたり「INF全廃条約」に違反し続けているとの理由で、米国は条約義務の履行を停止し、6カ月を要する廃棄の手続きを開始すると表明した。それに対抗し、ロシアのプーチン大統領は3月、同条約の履行を停止する命令書に署名した。

 米国がいわゆる安全上の脅威を口実に条約を一方的に放棄した根本的な目的は、既存の国際的な安全メカニズムの束縛を突破することで軍事力の調整と配備の強化を「フリーハンド」にし、米国が絶対的な軍事威嚇力を追求するという覇権主義の論理を現実化することだ。このことは疑いなく、全世界の安全情勢を何重にも破壊する。

 まず、米ロ関係がさらに傷つく。近年来、米ロ関係は「ロシアゲート」の調査や、ロシアとウクライナの衝突などの要因の影響を受け、谷底に落ち込んだ。「INF全廃条約」の失効にともない、米ロ間の現行の「新戦略兵器削減条約」が期間満了の2021年後にも延長されるかどうか、ますます不明瞭になってきた。次に、米ロの「安全保障ゲーム」の主たる陣地である欧州は、安全上の巨大なリスクを背負うことになる。ロシアと北大西洋条約機構(NATO)の対抗はエスカレートに直面する。第3点として、アジア太平洋の安全形勢が複雑化に向かうことになる。地域における軍拡競争が誘発されるかもしれない。

 米国が「INF全廃条約」の義務履行の中止を一方的に宣言してから、中国は一貫して米ロが対話と協議を通じて、条約の有効性を維持するよう希望を示しつづけてきた。米国は幾度となく、中国を米ロの対話と合意に引き入れようとした。これに対しては、中国は断固かつ明確に反対する態度を示した。米国は世界最大の核武装国であり、軍縮分野では特殊な「優先責任」がある。米国は、まずは現行の条約を着実に履行した上で、さらに一歩、核兵器の大幅削減をし、他の国家が軍縮交渉に加わる条件を作り出すべきであり、他国に責任を押し付けるべきではない。

 中国は一貫して防御的な国防政策を遂行し、消耗的な軍拡競争に巻き込まれることは望んでいない。しかし、外部の安全環境の情勢が悪化すれば、中国は必ずや関連措置を取り、国家の安全と利益を有効に保障する。事実は一度ならず、「協力」をもって「対抗」に代え、「ウィンウィン」をもって「制覇」に代えることだけが、人類社会の共同安全を確保するのに有効であることを証明している。(CRI論説員 任傑)

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