アップルはなぜ5Gの「始発列車」に間に合わなかったのか?―中国メディア

人民網日本語版    2019年7月11日(木) 13時40分

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スマートフォン産業の大手アップルはなぜ、19年の5G端末争奪戦に参戦しないのだろうか。写真は北京のアップルストア。

このほど業界のアナリストが打ち出した予測によると、米アップル社は2020年に5G対応の携帯電話端末2機種を発売するという。一方で、サムスンの5G端末がすでに販売されており、華為(ファーウェイ)、グーグル、小米、OPPOvivoなどの端末メーカーも19年内に5G端末を発売する計画だ。スマートフォン産業の大手アップルはなぜ、19年の5G端末争奪戦に参戦しないのだろうか。(文:左鵬飛・中国社会科学院数量経済・技術経済研究所補佐研究員。「科技日報」掲載)

■特許紛争とネットワークのバックアップ不足により発売を遅らせる

筆者の考えでは、アップルが5G端末の発表を遅らせている主な理由は2つある。

まず、クアルコムとの特許紛争の影響がある。アップルとクアルコムとの特許紛争は17年11月に始まり、19年4月に和解に至ったが、和解まで長い時間がかかったことから、両社の協力に大きな影響が生じ、アップルによるクアルコムのチップの利用にも直接影響が出た。

5G端末の最も重要で、最も中心的な技術・部品は5Gチップだ。アップルはインテルからチップの提供を受けることも検討したが、インテル製品の性能と研究開発ペースはアップルの要求に十分応えられるものではなかった。そこでアップルはクアルコムとの協力を継続し、クアルコムが5Gチップの開発を待たなければならなくなったとみられる。

次に、5Gネットワークが完全に成熟するのを待っているということがある。5G信号の基地局建設には一定の時間がかかり、現在はどの国の5Gネットワークもまだ成熟しているとはいえず、このことが5G端末の利用をある程度制約している。そこでアップルは今5G端末を発売してもネットワークのバックアップが不十分で、端末のもつ機能を存分に発揮できないと考えたとみられる。

■キラーアプリ開発が目下の急務

イノベーションは企業にとって最も大切な生命力だ。アップル端末の発展プロセスを振り返ると、通信技術の変革の最初の波に乗れなかったのは今回が初めてではない。第1世代のアップル端末は2Gネットワークにしか対応しなかったが、当時すでに3Gネットワークは始動していた。

アップルがスマホ分野でリーディングカンパニーになれたのは、スピードゆえではなく、そのイノベーションにある。

現状を眺めると、5Gネットワークと既存の4Gネットワークとで端末の機能にそれほど大きな違いはなく、5Gは4Gより速度が数倍速くなるだけのことだ。そのため、業界には、4Gがより多く提供するのはネットワークの相互接続性、5Gが提供するのはネットワークのプラットフォームという見方が広がる。しかし端末メーカーもアプリケーション開発企業も、5Gの高速ネットワークプラットフォームを十分に利用した携帯向けアプリをまだ打ち出せていない。現在の市場に最も欠けているのは5G端末ではなく、5Gネットワークに適応したキラーアプリだといえる。

よって5Gネットワークが未成熟で、5Gチップの開発が遅れているという主観的条件、客観的条件の制約の中、アップルはこれまでの経験を踏まえ、5Gベースバンドチップの開発を強化するだけでなく、正真正銘の5G端末向けアプリケーションを開発し、5Gの革新的優位性を発揮するにはどうしたらよいかということをより深く考えている。

一方で、アップルが目下の5G端末争奪戦を見過ごすこともあり得ないとみられる。報道によると、アップルは17年にすでに5G機能(プレ5G)に対応したiPhone(アイフォーン)の試作機を打ち出す準備を始めていた。現在の状況から考えて、アップルのプレ5G端末は5Gネットワークが十分に成熟していない中で行ったテストだったといえる。

筆者の見方では、5G端末の発売の遅れはアップルの発展に一定の影響は与えるが、「始発列車」に乗り遅れても、致命的な打撃にはならない。アップルは5G時代にも革命的な携帯アプリを生み出して、非常に大きな成功を収めることができるだろう。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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