日本の対韓輸出規制=3つの原因、3つの決め手、3つの影響―中国メディア

Record China    2019年7月8日(月) 17時10分

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中国メディア・中国網は8日、日本政府の対韓輸出規制について、その原因と発動の決め手、さらには今後の影響について考察した文章を掲載した。写真はソウル。

中国メディア・中国網(チャイナネット)は8日、日本政府の対韓輸出規制について、その原因と発動の決め手、さらには今後の影響について考察した文章を掲載した。筆者は外交学院国際関係研究院の周永生(ジョウ・ヨンション)教授。

文章はまず、「日本政府は4日、韓国への半導体材料の輸出に規制を設ける措置を発動した。これに対し、韓国政府は主に、関連する材料や部品、設備への大規模投資を通して代替品の実現を模索し、日本の制裁がもたらす生産危機を緩和するという対策を講じるだろう」と指摘。そして、日本政府が半導体材料の輸出規制を発動した原因として三つを挙げた。

一つ目に挙げられたのが、「慰安婦問題と元徴用工問題」。文章は、「韓国側は、朴槿恵(パク・クネ)政権が日本と結んだ慰安婦問題に関する日韓合意は屈辱的であり必ず撤廃されなければいけないと捉えており、元徴用工問題についても、韓国の最高裁判所は以前の合意を翻して日本の企業に賠償を命じる判決を下した。日本側は、韓国はすでに合意に達した協議をほごにすることで日本の利益を損害しており、これには報復措置を採らなければいけないと捉えている」と説明した。

二つ目は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の執る対日強硬路線」。文章は、「日本と協調路線を取っていた朴前大統領と異なり、文大統領は慰安婦問題や竹島問題、韓国海軍によるレーダー照射問題などに関して日本と真っ向から対立する政策を実行している。このことは日韓関係を急速に冷え込ませ、対立をエスカレートさせた」とした。

三つ目は「韓国の北朝鮮への歩み寄り」。文章は、「文大統領は南北関係を大幅に緩和し、南北間の対立をなくすべきだと主張している。一方、安倍政権は韓国に、北朝鮮に政治的圧力をかけたり、軍事封鎖、経済制裁などを行ったりすることを求めている。安倍政権からすれば、文大統領の朝鮮半島政策と核兵器政策には批判すべきところがある」とした。

続いて、文章は安倍政権が今回の対韓輸出規制に踏み切る決め手となった三つの内的要因を挙げた。

一つ目の要因は「G20の閉幕」。文章は、「韓国に対して半導体材料関連の制裁を行うことはすでに半年間も準備されていたが、20カ国・地域(G20)首脳会談を順調に開催するために発表されてこなかった。G20の閉幕とともに日本は懸念するものがなくなり、すぐさま韓国への制裁を発表したのだ」と指摘した。

二つ目は「7月下旬の参議院選挙」。文章は、「安倍政権は選挙に向けて韓国に対する強硬姿勢をアピールし、有権者の支持を勝ち取らなければならない。多くの日本人は韓国に対して悪い印象を持っており、安倍首相がこのような強行政策を打ち出せば、自民党が選挙でより多くの票を集めることに利する」と説明した。

三つ目は「安倍首相の外交での失敗」。文章は、「日本人の目には、安倍首相はここ半年の間に外交で深刻な壁にぶち当たったように映っている。ロシアとの外交で進展がないほか、韓国との関係は改善する見込みがない。G20でも、安倍首相の外交的成果にはそれほど実質的な内容が伴っていなかった。それ故、米国の対外強行政策をまねて韓国に対して経済的な報復措置を取れば、安倍政権は外交に業績を残せ、国民の支持の内在的な動機となる可能性があるのだ」とした。

最後に、文章は「日本が韓国にとった今回のような制裁は、多方面に長期的な影響をもたらす可能性があり、それはマイナスの影響である恐れが強い」と述べ、考えられる三つの影響を紹介した。

一つ目は「韓国の自立」。文章は、「日本の制裁は確かに韓国の半導体製造業に比較的深刻な衝撃や打撃を与えるが、それでも韓国の半導体製造業の有利な位置を揺り動かすことはできず、関連製品の製造を断ち切ることもできない。90%を日本からの輸入に依存していた半導体材料を、韓国は全世界からかき集めることもできるし、自ら資金や技術を投入して生産を拡大することもできる。そのため、日本のこのような政策は長期的に見ると韓国を日本との経済的な関係から切り離し、日本製品への依存を軽減させることにつながる。これにより、日本企業は長期的な損失を受けるだろう」とした。

二つ目は「日韓関係の悪化」。文章は、「今回のような制裁は、韓国政府と国民に、日本に対する強い警戒心を抱かせる。韓国が日本の経済政策からの脱却を実現すれば、政治的にも心理的にも日本との距離が生まれる。韓国と日本の政治的関係が長期的に落ち込めば、米国の北東アジアにおける安全・利益も損なわれ、北朝鮮の核問題にまつわる政策や北東アジア地域の安全政策はさらに複雑になる」と指摘した。

三つ目は「日中韓自由貿易協定の頓挫」。文章は、「日韓関係の悪化は北東アジア地域の日中韓自由貿易協定の推進も困難にする。3カ国間での自由貿易協定は、政治的、経済的に良好な環境の下で初めて協議を促進でき、合意の効果を高めることができる。日韓関係が長期にわたってこう着し、対立し、解決の展望が見えないのなら、短期的に合意に達することは難しくなるだろう。これは北東アジア地域の経済協力に長期的な損害を及ぼす」と述べた。

文章は、「グローバル化の波が高まると同時に地域経済協力も絶えず刷新され、経済的な結びつきが日を重ねるごとに緊密になっている世界情勢において、経済制裁は短期間であれば強者に利益をもたらすかもしれない。しかし、もし両者が対立する道を選べば、最終的には両者ともに損害を被ることになる。日韓の摩擦は、地域経済にどのような影響をもたらすだろうか。今後も注目される」と結んだ。(翻訳・編集/岩谷)

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