「うさんくさすぎる」中国のノーベル文学賞作家を勝手に宣伝に使った企業に、賠償金3300万円の支払い命じる判決―中国

Record China    2019年6月9日(日) 18時0分

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中国メディア・中国青年報は6日、中国のノーベル文学賞作家の莫言氏がある調理器具製造会社を名誉毀損で訴え、高額の賠償金を手にすることになったと報じた。写真は莫言氏。

中国メディア・中国青年報は6日、中国のノーベル文学賞作家の莫言(モー・イエン)氏がある調理器具製造会社を名誉毀損(きそん)で訴え、高額の賠償金を手にすることになったと報じた。

記事によると、昨年12月、ネット上に莫言氏の名を使った宣伝文句を掲げる商品が大量に出現した。それらは深セン玉瓷科技有限公司によるもので、同社が中国の動画サイト・騰訊視頻にアップロードした宣伝動画では、「莫言先生はご家庭でわが社の純陶器健康鍋をお使いになられてから、当社を非常に高く評価なさっております。わが社の創始者兼取締役とは『戦友』と呼び合う仲で、ご自宅に招いて文学や陶器についてお話なされたりもします」とうたわれたほか、「莫言先生はこうおっしゃりました。玉瓷科技の健康鍋を使えば、料理の味は見違えるほど変わる。健康で体のためになる。もう、ガンを引き起こすような他の金属製鍋には戻れない。この鍋が全世界で売られて、全人類の健康と幸せにつながりますように、と」というナレーションまで流れたという。また、動画には莫言氏と同社の取締役のツーショット写真や、莫言氏が取締役に贈ったという書も映し出された。

中国メディア・方圓は、「莫言氏はノーベル文学賞受賞後、国際的な高級文具ブランドや有名ホテルなどから宣伝依頼を数多く受けていたが、どれも一貫して断ってきた」と指摘。今回の件について莫言氏が明かした真相によると、莫言氏は以前、顔見知りだった同社の社員に「妻の保険料を取締役の男性に肩代わりしてもらっているから、自分の代わりに取締役のために一筆書いてくれないか」と頼まれ、善意からそれに応じて書を贈ったという。また、ツーショットの写真はその数日後に取締役が莫言氏の元を訪れた時に撮られたもので、「戦友」という言葉は、莫言氏と取締役の男がどちらも人民解放軍出身であることを指して発せられたのだという。

記事は、詐欺行為により、同社に数十万元(1元は約16円)の投資をした江西省の高齢者が大損をし、莫言氏の親族のところまで怒りをぶつけに来たほか、宣伝動画の中の「他の金属製鍋がガンを引き起こす」という箇所に憤慨したある調理器具メーカーが莫言氏に直接抗議しにくる事態になったという。莫言氏の弁護士は「同氏が訴えを起こすのはノーベル文学賞受賞後初めてだが、恩を仇で返された本人は本当に我慢ならなかったのだ」とし、「この行為は同氏の氏名権と肖像権を深刻に侵害している」と指摘した。

今年2月27日から始まった裁判は、3カ月間を経て5月30日に終結。記事によると、広東省深セン市宝安区人民法院は、一審判決で「本人の許可を得ずに勝手に名前を使い商業的な宣伝を行ったことは、莫言氏の氏名権や肖像権の侵害にあたる」とし、同社に対して莫言氏に関する内容の削除や新聞への謝罪文の掲載、財産的損害と精神的損害に対しそれぞれ200万元(約3200万円)と10万元(約160万円)の賠償金の支払いを命じた。弁護士によると、計210万元(約3360万円)は著名人の人格権侵害の事例に課せられた賠償金の中でも史上最高額だという。

問題の宣伝動画はすでに削除されたというが、記事によると、中国のネットからは「映像はうさんくさすぎた。莫言氏がノーベル賞を受賞した時の映像まで使用されていた」という指摘が出たという。ほかにも、「なんて汚い手口だ!」「有名人にだって人権はある」「莫言氏の権利保護を支持する!」「こういう宣伝行為は厳重に処罰すべき」「こんなにホラが吹けるなんてすごいよ」などといった声が上がった。(翻訳・編集/岩谷)

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