【CRI時評】関税の「ムチ」は、在中外資企業に対する脅しにならない

CRI online    2019年5月23日(木) 20時35分

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 米国では最近になり、中国からの輸入品に追加関税を課した影響で、一部企業が中国にあった生産拠点をベトナムやその他のアジアの国に移し、米国企業の一部は生産拠点を米国に戻すとの見方が出た。これらの論調は明らかに、市場経済の法則と常識に反している。 改めて言うまでも無く、中国経済は現在...

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 米国では最近になり、中国からの輸入品に追加関税を課した影響で、一部企業が中国にあった生産拠点をベトナムやその他のアジアの国に移し、米国企業の一部は生産拠点を米国に戻すとの見方が出た。これらの論調は明らかに、市場経済の法則と常識に反している。

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 改めて言うまでも無く、中国経済は現在質重視の発展フェーズへと転換を行なっており、世界の産業チェーンとバリューチェーンにおける中国の地位も徐々に向上を遂げつつある。その過程において、繊維、服飾や靴、帽子などのミドルエンド、ローエンドの製造業が中国から移転する動きは、世界における産業移転の法則性に合致するものであり、市場経済の常態にほかならない。何より、それを米国の対中追加関税によるものとする論理は成り立たない。米国が産業の移転と追加関税を結びつけて強弁するのは、関税という「ムチ」で在中外資企業が撤退を余儀なくされて中国が衰えると言い立てたいに過ぎない。

 ところが日本貿易振興機構JETRO)の最近の発表では、日本企業の輸出、投資、越境EC戦略の対象としては中国市場がいずれもトップだった。さらに、今年1-4月の外資による対中投資は前年同期比6.4%増だった。うち、米国企業による対中投資は24.3%もの伸びを示した。在中米国商工会議所が発表した最新の2019年版「中国における米国企業白書」によると、取材を受けた米国企業のうち98%もの企業が、「中国市場の開拓を継続したい」との考えを示した。

  米国が関税を引き上げ続けているのに、なぜ「メード・イン・USA」を米国に戻すことができないのか。それは、米国の対中投資が主に、通信設備、コンピューターと電子設備、化学原料と化学製品といったハイエンド製造業に集中しているからだ。これらの産業分野では、熟練労働者の存在が極めて重要だ。中国は世界で唯一の、すべての工業部門を備えた国であり、企業は整備されたサプライチェーン、産業チェーンを利用できるだけでなく、大量の熟練技術者が存在することが、米国企業のコストを大幅に引き下げている。例えばアップル社の場合、全世界にあるサプライヤー工場の800カ所のうち、約半数が中国にある。ゴールドマン・サックスの2018年の研究リポートによれば、製造と組み立てをすべて米国国内に移した場合、アップル社の生産コストは37%上昇するという。

 それ以外に、中国は14億の人口を持つ巨大市場であり、消費がすでに中国の経済成長をけん引する最も重要な力になっている。現在、米国資本企業の中国での年間売上高は約7000億ドルであり、利益は500億ドルを超えている。中国をいったん離れてしまえば、全世界のどの市場が米国資本企業に、中国と同じように豊かな利益をもたらしてくれるのだろう。

 最も重要なことは、中国がこの1年あまりに渡って既定のテンポで開放の拡大を進めてきたことだ。このことは米国企業を大いに安心させている。エクソンモービルが投資した大型独資石油化学プロジェクト建設、上海でのテスラ初の海外工場の正式着工に続き、最近では、「メード・イン・USA」の老舗企業であるフォード自動車が、年末には中国で高級車「リンカーン」の生産を始めると発表した。

 振り返って米国を見れば、ホワイトハウスの政策決定層は自国民と企業の利益を顧みず、独断専行で追加関税を断行し、市場の不安定さや不確実性を極めて大きく膨らませてしまった。昨年以来、米国企業の間では「出国ブーム」が発生した。産業チェーンを他国に移転することで、中国およびその他の市場の需要によりよく対応しようというものだ。

 米国は関税の「ムチ」を振るったが、そのような脅しをかけても中国で発展を続ける外資企業を押しとどめることはできない。逆に、「メード・イン・USA」を国外に追いやることになり、米国の産業空洞化の危機をますます深刻にするだけだ。このような完全に対照的な光景を作り出してしまったのは、「極端な利己主義」を信奉する米国の政策決定層にほかならない。(CRI論説員)

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