本来の姿が露呈、日本の「ごみ処理神話」崩壊について考える―中国人専門家

Record China    2019年5月24日(金) 8時20分

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中国メディア・環球時報は23日、復旦大学環境経済センター長の李志青(リー・ジーチン)氏による「日本のごみ処理神話崩壊について考える」という文章を掲載した。資料写真。

中国メディア・環球時報は23日、復旦大学環境経済センター長の李志青(リー・ジーチン)氏による「日本のごみ処理神話崩壊について考える」という文章を掲載した。

日本の環境省が2月に発表した、「都道府県や政令指定都市など122自治体のうち3割超の39自治体で、昨年7月の調査時と比べ業者のごみ保管量が増加したり、法令の基準値を超えたりした」という調査結果を受け、同氏は「ごみをきちんと分別してリサイクルすることで有名な日本でさえこのような苦境に陥っている」とし、「中国が2017年に海外からのごみの輸入を禁止して以来、かつてのごみ輸出国の環境問題の『本来の姿』が次々に明るみに出ている」と指摘した。

続いて、「以前、われわれはヨーロッパや米国、日本における、環境と経済のバランスの取れた状態は、そういった国の技術や制度にある種の『先進的な』ところがあるがゆえに実現しているのだと思っていた。例えば、分別やリサイクル技術によってごみの減少、再資源化を可能にしたり、また消費者にごみの処理費用を負担させることで、行動の変化をうながしたりするといったことだ。しかし、ごみ輸出国の『本来の姿』を通して、彼らの国の美しい環境の背景には、ごみ輸入の巨大な市場としての中国の存在があったことが明らかになった。だとすれば、彼らが堅持してきた成長理念は、世界規模の持続可能な開発という目標を解決する道しるべになりはしないだろうか?」と述べた。

そして、「技術と制度といったレベルでごみ問題やそこから派生する環境問題を解決しようというのは、理論と実践のどちらの経験にも合致するだろう。理論上、ごみが環境問題を引き起こしたというのは本質的に見ると、技術と制度の欠陥により、経済発展が環境保護との『不均衡』状態に陥り、生産者と消費者の行動を歪めさせたということにほかならない。実践という観点から見れば、われわれはすでに先進技術(ごみを有効に再利用する技術)や厳格な規制(中国の一部で施行されている、ごみを分別することでポイントがたまる制度など)が採用されているのを見ることができ、これらは環境と生活の両方に高い質をもたらしている。長期間にわたって、われわれは技術と制度の両面からごみ問題と環境問題について理解、解決しようと努めており、国外や国内の一部の都市で実施されている厳格かつ強制力の強いごみの分別制度は、技術と制度による最も良いアプローチの例だ」と指摘した。

しかし、同氏は「この技術と制度によるアプローチによってごみ問題が完全に解決されたということは全くない」と指摘。「第一に、技術と制度によってごみ問題を解決するには多大なコストがかかる。リサイクルを例に挙げると、一見それは技術と制度の体系下において非常に理想的な手段に思えるが、実際のところ、国際社会がこれほど長い間推し進めているにも関わらず、良い内部リサイクルシステムの構築は遅々として成功していない。世界を見渡しても、リサイクル産業と経済において政府の補償や外部への依存から脱した国はまだどこにもない。これは、技術と制度によってごみ処理のコストを下げることができても、経済的にはまた違うレベルで代償が発生するということを示している」とした。

続いて、「技術と制度からごみ問題を解決しようとすると、最も手強い『敵』に直面してしまう。それは『成長』だ」とし、「数十年にわたって世界経済が成長している反面、ごみ問題は深刻化してきた。技術と制度によって減らすことのできるごみの量が、経済成長のもたらすごみの増加に追いついていないことが表面的な原因で、この現象は急速に発展する都市や街ならどこでも見受けられる。その根底にあるのは、部分的な技術と制度によってごみ問題が直面する苦境を変えようとする努力が、既存の成長モデルの巨大な慣性の前には完全に打ち消されてしまうということなのだ」とした。

同氏は、「効率のために成長モデルを優先することは間違いだろうか?人類の成長の歴史を見れば、決して間違いではない。効率性を持たない集団はいずれも淘汰されてきた。しかし、効率を究極の目標とする成長モデルの下では、個人は『群盲象を評す』という言葉の通り、ある一部分を見るばかりで、その全体が分からなくなる。効率の良い生産、消費など、効率に重きを置いた市場行動が積み重なることで、個人が自身の福祉や利益を最大化し、全体に脅威を及ぼす変化を見落とすという結果につながるのである」とし、ごみ問題についても、「個人は最良の技術を用い、最も厳格な制度に従うが、技術や制度は個による福祉の最大化への追求を止めることができず、ひいては多くの場合、個人の技術や制度への服従がかえってより多くの消費や生産につながる。筆者はヨーロッパや米国、日本で暮らした経験から、究極のごみ処理システムを追求する環境においても、消費の規模や、消費が環境に与える影響は決して明らかに小さくはならないことに気付いた」と論じた。

最後に、「中国のごみ輸入禁止はいわゆる『世界的なごみ論争』を引き起こしたが、その本質は、中国がグローバル貿易の過程において大量の隠れた環境コストを引き受け、ヨーロッパや米国、日本といった先進国の抱える成長モデルの欠陥や弊害を客観的に覆い隠してしまったというところにある。われわれは、人類は運命共同体であるべきで、同時に人と自然が共存できる成長モデルを実現しなければならないと考える。それこそが、人間社会が持続可能な発展と文明の進歩を続けるために、必ず通らなければならない道なのである」とした。(翻訳・編集/岩谷)

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