米国が対峙する中国は、1970年代の日本とは違う―独専門家

Record China    2019年5月21日(火) 14時40分

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独ドイチェ・ヴェレのウェブサイトは16日、中国問題の専門家であるFrank Sieren氏による文章を掲載した。資料写真。

独ドイチェ・ヴェレのウェブサイトは16日、中国問題の専門家であるFrank Sieren氏による文章を掲載した。18日付で中国メディア・参考消息網が伝えた。

同氏は「トランプ大統領はまたしても、自分の望み通りに世界を変えた」と指摘。「トランプ大統領は13日に(中国が報復措置を打ち出したのを受けて)『米中は本来“優秀な”合意に達することができるはずだった』と発言したが、前回米国が中国からの輸入品に対する関税引き上げを行って以来、米中という世界最大の二つの経済体が今回の貿易交渉で突破口を見つけられる可能性はもともとそれほど大きくなかった」と論じた。

米国の貿易保護主義への報復として、現段階で中国は6月から600億ドル(約6兆円)相当の米国商品に関税を課す見込みだ。同氏は、「トランプ大統領は『これも全ては計画の内』としており、『米国と中国の関係はまさにわれわれが求めている状態にある』と述べた。さらに、ルイジアナ州へ移動する前には、『われわれは現在、中国との間には多少のいざこざがある。彼らが合意に達したいと言うなら、それは絶対に可能である』と発言した」と伝えた。

そして、「米国の、保護主義をもって相手国の保護主義に対抗し、その上で再び相手国に譲歩させるというやり方は、決して目新しいものでない」と指摘。「1970~80年代には、ニクソン大統領やレーガン大統領が日本を相手に関税を振りかざしていた。一方で日本企業は高関税から得られる資金を元手に輸出の勢いを伸ばし、反対に米国を押さえつけてしまった」とした。

そして、「10年間で日本の米国に対する貿易黒字額は当時の1000億ドルに達し、日米間では貿易戦争の状態が恒常化したが、それほど大きな影響は出なかった。というのも、当時の日本の地位は全体として(今日の中国よりも)ずっと弱かったのだ。現在の米国の中国への依存度は当時の日本への依存度をはるかに上回るのに加えて、中国の政治における地理的優位性も日本とは大きく異なる」と指摘した。

続いて、「中国はまさに『一帯一路』を掲げて世界中の新たな市場を開拓している上、世界最大規模の外貨貯蓄を有している。中国は経済的に依存状態に陥らないよう最新の注意を払っている。同時に、多額の借金を抱えている米国にとっての最大の債権者である。貿易戦争においてこのことは見過ごせないツールであり、トランプ大統領が毎週一歩ずつ歩を進めているのに対し、中国はもう何年も目を向けてきた」と指摘し、「つまり、事態は決してトランプ大統領が言うほど単純ではないということだ」と述べた。

また、「中国と米国はどちらもグローバル経済と密接に融合しており、国際分業においては価格を決定するのはグローバル経済だ」と指摘。「米国は昨年、中国から5兆400億ドル(約595兆円)相当の商品を輸入したが、トランプ大統領は米国が引き上げた関税を払ったのは中国人であって、米国が数百億ドル分の収益を得たのだと彼の確固たる支持者層に信じさせたいと願っている。しかし、当然のことながら中国商品にかけられた関税はまず米国の輸入業者によって支払われ、輸入業者はその分のコストをユーザー、つまり米国の製造業者と消費者から回収するのだ。とりわけ農民やテクノロジー企業はその関税措置の不利益を被っており、トランプ大統領は農民に補償をすると約束して彼らをなだめなくてはならない」と指摘した。

同氏は最後に、「現在の中国は、かつての日本のように停滞し、米国を再起させる可能性は限りなく小さい。トランプ大統領は同時進行でヨーロッパとも対立している。無駄に使える時間がない中、彼は最良の状況下で、中国に譲歩させたカードを使ってすぐさまヨーロッパに圧力を掛けたいと願っている。このギャンブルのような戦略からも、米国がどれほどの苦境に立たされているかということを表しているだろう」とまとめた。(翻訳・編集/岩谷)

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