「韓国軍のベトナム人虐殺」を扱った映画、そこに込められた思いに韓国ネットは複雑?

Record China    2020年2月28日(金) 19時50分

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28日、韓国・中央日報は、同国内で公開が始まったドキュメンタリー映画「記憶の戦争」のイギル・ボラ監督にインタビューし、記事を掲載した。写真はベトナム・ホーチミンにある戦争証跡博物館。

2020年2月28日、韓国・中央日報は、27日から同国内で公開が始まったドキュメンタリー映画「記憶の戦争」のイギル・ボラ監督(29)にインタビューし、記事を掲載した。イギル監督が、制作のきっかけや、作品に込めた思いを語った。

同映画は、韓国軍によるベトナム人虐殺を扱った作品。ベトナム戦争は1955年に勃発し、韓国は64年に米国の同盟国として参戦。73年までに32万5000人がベトナムに渡ったという。イギル監督は、ベトナム戦争で将校として派遣された参戦軍人の孫娘にあたる。映画では、韓国軍による民間人虐殺の生存者たちにカメラを向け証言を収めている。映画は2年前に釜山国際映画祭で初めて公開され、「政治的な問題を扱うという大胆さと同時にエレガントなアプローチを見せてくれた」と評価を受けたという。

イギル監督はこの映画を撮影することになったきっかけについて、「幼い頃、祖父がベトナム戦争に参戦したという話を聞いた。私にとって家にある勲章と表彰状がベトナム戦争の全てだった。私が20代前半のときに祖父が亡くなり、その後、ベトナム戦争での韓国軍による民間人虐殺という、祖父が誇りに思っていたベトナム戦争とは相反する記憶があることを知った。生まれて初めて、これは何なのか調べてみたいと思った」と話したという。

イギル監督はベトナムに行き、民間人虐殺で家族を亡くした生存者たちに会った。「参戦国から来た参戦軍人の孫娘という罪悪感」にさいなまれたといい、生存者の一人、グエン・ティ・タンさんから温かいご飯を炊いてもらったことを「ご飯をひとさじ食べて、心にとてつもなく大きな負い目を抱えた気分になった」と振り返ったという。

映画では、聴覚障害がある生存者も当時の記憶を手話で語っている。イギル監督は「両親がろう者なので、言語の外にいる人たちに自然と関心が行く。今回の映画の主人公を女性、視覚障害者、聴覚障害者としたのは、彼らの方法で虐殺を記憶したとき、(既存の歴史と)どのように異なるのかに興味が沸いた」と話した。さらに「ベトナムに行ったとき一番多く言われたのが『軍隊に行ったことがない女性のあなたが、戦争について何が分かるの?』だった。皮肉なことに、戦争で最も多く真っ先に死ぬのは女性と障害者、子どもだ。だからその人たちの話を聞かなければならなかった」と主人公設定の狙いを明かしたという。

映画にはベトナム戦争参戦軍人も登場する。イギル監督は「ベトナム民間人虐殺について真相究明が正確に行われず、全ての参戦軍人が加害者だという雰囲気が作られている。だから悔しいし、そうではないと言いたくてこの映画を作ったのだと撮影しながら再確認した」と語ったという。

インタビュー記事を読んだ韓国のネットユーザーからは、「学校でこのような歴史を教わっていないので分からない。私たちが知らない過去が、誰かの胸を痛めているんだね」「戦争の特殊性を完全に排除して虐殺された人たちの立場だけをとらえるのは矛盾している」「もっと客観的な視点で切り込む映画だといいのに。残念だ」「この映画は、釜山国際映画祭で評価を受けた作品の一つ。映画を見てからコメントすべき」などといった声が上がっている。

また、「過去の歴史の過ちを謝罪してこそ、両国の関係は発展する」「私たちはベトナム人の被害者に生涯にわたって謝罪しなければならない」「悲劇的なことであったと思うけれど、戦争という状況も勘案しなければ」「現在の基準や視点で判断すると全てを誤る」などと、当時の虐殺についてのコメントも寄せられている。(翻訳・編集/関)

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