中国はなぜJH-7B戦闘爆撃機を放棄したか…「原型機の欠陥改善に費用かかりすぎ成果も出せず」―中国メディア

Record China    2019年5月8日(水) 23時50分

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中国メディアの新浪網は、中国がJH-7B戦闘爆撃機(写真)の開発が放棄された理由を論じる記事を発表した。原型機のJH-7の欠陥を改善しようとしたが、費用が膨らみ続けた一方で、成果を出せなかったからと紹介した。

中国メディアの新浪網は2019年5月7日付で「中国の殲轟-7B(JH-7B)戦闘爆撃機はなぜ放棄されたのか。開発コストが膨らみ続けたが欠陥を根絶できなかった」と題する記事を発表した。JH-7Bは1994年に運用が始まったJH-7の改良タイプで、2013年には初飛行したとされている。

記事は、JH-7の使用目的について、対地攻撃を重視する点などで、英国と西ドイツ(当時)、イタリアが共同開発したトーネードIDSに極めて似ていると紹介。トーネードIDSの初飛行は1974年で、この3カ国とサウジアラビアの空軍が運用中だ。生産機数は1000機近くだ。F-15戦闘機の1200機超と比べても、さほど遜色はなく、成功した機体と言えるだろう。

記事は、トーネードIDSについてまず、開発当時までの空気力学研究の最新成果を取り入れており、細かい技術的配慮は現在も色あせていないと、高く評価。主翼に3段式の前縁フラップと4段指揮の後縁フラップを設けたことなどで、失速特性を改善させたことは「最も注目に値する」「危険な超低空飛行にとって最も重要」と論じた。さらに、操縦性の向上にも触れ、「地形にそった低空飛行時から高速飛行時まで飛行状態は頻繁かつ激烈に変化するが、それでも極めて高い安全性と任務遂行への信頼性を保持している」と改めて高く評価した。

一方、JH-7の開発が始まったのは約20年前だった。JH-7の用途はトーネードIDSと同様であり、しばしば比較されたが、JH-7の主翼には前縁フラップがなく、後縁フラップも非常に単純なもので、中低空飛行時の性能は「とても平凡」だったと評した。記事は、当時の中国の航空工業の実力には大きな限界があったと指摘し、複雑な設計をしたのでは製造が不可能だったと思われるとして、JH-7の設計が保守的だったことは理解できると論じた。

記事は、中国でJH-7を改良したJH-7Bの開発が始まったのは2010年ごろと紹介。それまでにはJH-7開発時に取り残された課題も一部は解決されていたという。また、既存機の大幅改修により生み出された機体には米国のF-4Eがあり、中国にもJ-7Eの経験があったと説明した。

記事は、低空飛行時に発揮されるトーネードIDS優秀性は、電子制御に負う部分が大きい紹介。基本的な方式は、完全デジタル化されたフライ・バイ・ワイヤ方式などにより、機体が失速しないよう、飛行状態を「制限」することという。JH-7Bでも同様の方法が試みられたが、当初設計による空力特性がネックとなり、電子制御による改善は限定的であり、やはり失速を起こしやすい機体だったという。

記事によると、JH-7Bは失速問題の解決のために補助的な安全システムを追加していくうちに、開発費用が上昇し続けていった。それでも、低空飛行時の欠陥を根本的に取り除くことはできなかった。逆に、変更前の機体が備えていた、使用コストが低く、補修も容易という長所が消えていったという。

そして、J-16戦闘機が成熟していくにともない、JH-7Bの存在感はさらに低下し、結局は放棄されることになったという。

記事は、JH-7Bの改良について、操縦系統は従来のままにして、主翼の設計の変更により限定的ではあっても低空飛行時の性能を改善していれば、J-16との「ハイ・ロー・ミックス」の運用法により、性能は劣るが低コストで使える機体として生き残れたかもしれないと主張した。(翻訳・編集/如月隼人

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