全世界のスマートシティーの半数、500カ所が中国に=ただし「ちっともスマートでない」例が続出

Record China    2019年5月7日(火) 23時50分

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全世界でスマートシティーの建設に取り組んでいる都市の半数に相当する500カ所が中国に集中している。ただし、実情は「スマート」でない場合も多いという。写真は深セン市で開催されたAIoT+スマートシティーサミットのイメージ図。

中国メディアの中国新聞社は2019年5月4日付で、スマートシティーの建設に取り組んでいる都市は全世界で1000カ所あり、その半数の500カ所が中国に集中していると紹介する記事を発表した。ただし、実情は「スマート」でない場合も多いという。

記事は、米会計事務所で調査結果の発表などもしばしば行っているデロイトのまとめとして、全世界でスマートシティ建設に取り組んでいる都市は「先進国の老舗である欧州では90カ所、米国はわずか40カ所、中国の隣国である日本と韓国は合計してもたった15カ所」と紹介。

中国では、都市にさまざまなランクを設けている。「格付け」として最も上なのが「省」と同格の中央直轄市で、省の下に置かれるのが地級市、地級市の下に置かれるのは県級市だ。それとは別に、地級市ではあるが、省に準じる扱いを受ける都市として副省級市がある。中央直轄市は全国で4カ所、副省級市は15カ所だ。

記事によると、中央直轄市と副省級市はすべてスマートシティーの建設に取り組んでおり、地級市は76%、県級市は32%が取り組んでいる。スマートシティーを目指す都市は増え続けているという。

また、14年におけるスマートシティー関連市場の規模は7600億元(約12兆5500億円。19年5月5日現在の為替レートによる。以下、同じ)だったが、16年には1兆元(約16兆5100億円)を突破し、17年には6兆元(約99兆500億円)に達した。22年には25兆元(約412兆7300億円)に達すると見込まれているという。

スマートシティーの基本的な考えとはAT(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの新技術や官民データの活用などをエネルギー利用や生活インフラの管理に用いることで、生活の質や都市の運用やサービスを向上させることだ。日本では環境負荷の低減が強調されることがある。中国では住人の声を行政に生かすシステムづくりが重視されることが多い。

スマートシティーは中国語で「智慧城市」と訳されている。「スマート」の中国語訳が「智慧」で、「城市」は「都市」の意だ。記事は「智慧城市に“智慧”がない現象が普遍的に存在する」と指摘。例えば、中国では多くのスマートシティーが、「マンホールの蓋がない」「ごみが積み上げられている」「道路が冠水している」など、住民から寄せられた身の回りの問題を受けつけ、当局側による処理の全過程を透明化するなど、市民参加型の行政サービスの実現を謳っている。

ところが実際には、住民からの解決の要望の実現率が極めて低い場合がある。IT技術を活用したと言っても、いずれかの段階では「人を介する」ことが必要になるが、担当者が別の仕事との兼任であるなどで、手が回らないことが原因だという。

記事は、政府がスマートシティー化を「強引」に進めようとしてもよい効果は出にくい。その背景には都市管理の複雑な問題があり、一挙に解決することが難しいことがあると論じた。結果として、当局が実施したスマートシティー化を庶民が実感することは少ない。中国スマートシティ発展センターの単志広主任は、「市民の感覚を調査して、市民が満足を実感しているかどうかという観点から、スマートシティー建設の健全な発展を促進してほしい」と述べたという。

また、スマートシティーの建設には、各種データを集積していわゆるビッグデータを構築することが不可欠だが、データの収集と使用の合法性についても問題がある。

専門家からは、「データ統合の重点は、どのように利用するかであり、データをどのように資産化するかだ。その中核になるのは明確なビジネスモデルの構築だ」という指摘があるという。記事は、国内外の経験によれば、スマートシティー・プロジェクトが失敗する場合の多くの原因は、スマートシティーのシステムが創造する価値が少なすぎ、維持のために必要な費用と資源が多すぎることと指摘した。(翻訳・編集/如月隼人

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