来年の台湾総統選、民進、国民両党の候補者選び混沌、“台風の目”は「台湾のトランプ」鴻海の郭台銘会長

Record China    2019年5月4日(土) 17時0分

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来年の台湾総統選で民進、国民両党の候補者選びが混沌としてきた。再選を目指す民進党の蔡英文総統は出馬に黄色信号がともり、国民党では「台湾のトランプ」といわれる鴻海グループの郭台銘会長が“台風の目”になっている。写真は郭台銘氏(左から2番目)。

2020年1月に投票が行われる台湾総統選で、政権与党の民進党と野党・国民党の候補者選びの行方が混沌(こんとん)としてきた。再選を目指す蔡英文総統は出馬自体に黄色信号がともり、国民党では「台湾のトランプ」ともいわれる鴻海精密工業の郭台銘会長が“台風の目”になっている。

台湾総統には1996年の初めての直接選挙で李登輝氏(国民党)が就任。その後、2000年当選の陳水扁(民進党)、08年当選の馬英九(国民党)両氏とも2期8年を務めた。16年選挙で選ばれた蔡総統も再選出馬が当然視されていたが、昨年(2018年)11月の統一地方選で民進党が惨敗して蔡氏は党主席を辞任。支持率も30%前後に低迷し、党内から候補辞退を求める声が上がった。

4月末に行われる予定だった党内の予備選挙には、蔡氏と頼清徳・前行政院長(首相)の2人が出馬した。民進党内の主流派は現職の蔡氏をそのまま総統候補に、頼氏を副総統候補に据えることをベストシナリオとして調整を続けているが、頼氏は各種世論調査の支持率で蔡氏をリードしていることなどから、一歩も譲らない。

同党は5月1日の幹部会議で、一本化に向けた調整の期限を22日までとし、不発に終わった場合は党内予備選を通じ、6月5日に公認候補を決定する案を提示した。両氏の正面衝突が現実味を帯びてきた。

一方、政権奪回をうかがう国民党では朱立倫・前新北市長や王金平・前立法院長(国会議長)が名乗りを上げている。出馬が取り沙汰されていた韓国瑜・高雄市長は市長に就任してまだ約4カ月が経過したばかりで、「市民の負託を受けている」との理由を述べ、4月30日に出馬見送りを表明した。韓氏については根強い人気を背景に参戦の可能性がなおくすぶっている。

こうした中、国民党内で有力候補として急浮上したのが鴻海トップの郭会長だ。日本のシャープを買収したことでも知られる鴻海グループの売上高は15兆円ともいわれる。米誌フォーブスの最新調査によると、郭氏の個人資産は73億ドル(約8170億円)と台湾トップで、全世界でも257位だ。

経営者としての辣腕(らつわん)で知られる郭氏の出馬理由は、低迷する経済の立て直しと独立志向の民進党政権下で悪化した大陸との関係改善とされるが、国民党の正式候補になった場合に問われそうなのは中国との距離感だ。鴻海グループは多くの生産拠点を大陸に置いているからだ。

それを意識してか郭氏は1日、米ホワイトハウスでトランプ大統領と面会した。台湾・中央通訊社によると、郭氏は自身が総統になったあかつきにはトラブルメーカーではなくピースメーカー(平和の創造者)を志すと強調。台湾の総統がワシントンを訪問できない原因は中国にあるとした上で、台湾に生存圏を与えるべきと北京当局に伝える考えを示したという。(編集/日向)

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