<羅針盤>頑張れ!新入社員、若者が仕事にまい進し、社会貢献できる環境づくりを―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2019年4月14日(日) 9時10分

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4月は入社の季節。街角でもスーツを着込んだ社会人1年生をよく見かける。長い社会人生に踏み出すフレッシュマンに「頑張れよ」と声をかけたくなる。

4月は入社の季節。街角でもスーツを着込んだ社会人1年生をよく見かける。長い社会人生に踏み出すフレッシュマンに「頑張れよ」と声をかけたくなる。

大学生へのアンケート調査によると、常にキャッチしようと心掛けている情報はテレビ番組、スポーツ、ファッション。小遣いの使途も上位から、飲食代、ファッション、デートで、習い事も含めた教養は6位。娯楽が10位。何に関心を持っているかでも、交友関係、異性関係、自分のライフスタイルといった個人的なものへの関心度が高く、世界のことや日本社会への関心度が極端に低いという。このような結果が出ているのは、たぶん偏差値教育で疲れきって大学に入り、大学生活が、社会人になる前の息抜きの世界になっているからではなかろうか。

新入社員がせっかく社会人として一歩を踏み出したのに、2〜3カ月で「こんなはずではなかった」と会社を辞めるケースも後を絶たないようだ。本人にとっても企業にとっても不幸なことである。日本的な終身雇用を基本とする日本的経営が崩壊し、「転職社会」「非正規雇用」が当たり前になった昨今、「石の上にも3年」という忍耐を説く格言は死語になったのであろうか。就職試験前に、企業で体験入社する「インターン制」の活用により、ミスマッチを防ぐことができるだろう。

もちろん、大半はいったん企業に入ると、企業の研修プログラムのって見事に企業人に染まっていく。彼らの柔軟性と順応性のなせる技なのであろう。しかし、企業社会からさらに大きく、国家や国際社会に対しての意識となると残念ながら非常に希薄である。

過去を反省し、ただ単に資金援助、技術協力で世界に貢献するだけでなく、世界の範となりうる新しい日本の国造りは、彼ら若者に期待せざるを得ない。それだけに、国民の幅広い参加の下、若者が生き生きと仕事にまい進し、国と国際社会に貢献できるような環境づくりが、これからの課題であろう。

日本経済新聞社と就職情報サイトのマイナビが実施した、2020年3月卒業予定の大学生・大学院生の就職希望企業調査結果によると、人気ランキングでは文系ではJTBグループ、理系ではソニーが首位だった。就職活動が早期化するなか航空や食品など消費者に身近な企業やインターンシップを積極的に実施する企業などが上位に入ったという。

手前みそになるが、このランキングでオムロンが10位とベストテンに入った。電機ではソニー、富士通に継ぐ3位で、前年の18位から躍進した。オムロンは、多くのユーザーのご愛顧をいただいたことに加え、よき後継者と有能な社員に恵まれた。全社員が創業者・立石一真の理念を正しく継承してくれ、ガバナンスの効いたCSR(企業の社会的責任)にも積極的に取り組む会社という評価を得て、成長し続けてくれており、大変うれしく思う。

<羅針盤篇38>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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