【CRI時評】工業のグレードアップで試される各国の知恵

CRI online    2019年4月3日(水) 22時0分

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  ドイツ・ハノーバーで開催中のハノーバーメッセは世界でも最大規模の工業見本市だ。同メッセは世界の工業技術発展の「風向計」であり、国際工業貿易分野の「旗艦イベント」と見なされている。ドイツは2011年のハノーバーメッセで「インダストリー4.0」の概念を発表し、来るべき「第4次産業...

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  ドイツ・ハノーバーで開催中のハノーバーメッセは世界でも最大規模の工業見本市だ。同メッセは世界の工業技術発展の「風向計」であり、国際工業貿易分野の「旗艦イベント」と見なされている。ドイツは2011年のハノーバーメッセで「インダストリー4.0」の概念を発表し、来るべき「第4次産業革命」の到来に備えて製造業の変革に力を入れはじめた。このことは、ドイツ経済の発展に新たな活力を注入することになった。

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 今年のハノーバーメッセからは、ドイツの「インダストリー4.0」がまさに概念から実践に、真の工業生産に向けて前進していることが見て取れる。メッセの責任者であるケクラー氏は、「インダストリー4.0の核心部分は人工知能(AI)だ。『Integrated Industry – Industrial Intelligence(統合された産業-産業インテリジェンス)』の主題の下での人工知能、第5世代移動通信技術(5G)、クラウド・コンピューティングの応用などが、今年のメッセのキーワードだ」と説明した。

 ハノーバーメッセは工業イノベーション分野で世界最大の交流プラットフォームであり、今年は出展者の6割が海外からだった。中国からは約1300社が出展し、出展面積は2万平方メートルに達した。中国からの出展は再び、ホスト国であるドイツに次ぐ規模になった。中国企業のファーウェイ(華為 Huawei)は、IoT(モノのインターネット)、クラウド・コンピューティング、ビッグ・データ、機械学習、人工知能などソリューション関連を一体化した技術に重点を置いた。ハイアールなど多くの中国企業は、インダストリアル・インターネットのプラットフォーム、ファクトリー・オートメーション、伝統的エネルギーと新エネルギー、工業ロボット、工業用部品、工業用省エネ照明などで、自らが知的財産権を持つイノベーションの成果を出展した。中国企業の出展はメッセでの「一大見どころ」となった。

 ハノーバーメッセはある意味で、製造業の盛り返しについてのドイツの緊迫した状況を反映している。ドイツで4月1日に発表された数値によれば、工業生産は下降しており、輸出は停滞する傾向にある。政府は2019年の経済成長予想を前年よりも1.5ポイント低い1%に下方修正した。経済協力開発機構(OECD)の予測はさらに悲観的で、2019年のドイツの経済成長率をわずか0.7%としている。ドイツではGDPに占める製造業の割合が先進国中で最も高く、4分の1程度に上っている。したがって、製造業の振興や科学技術のイノベーションを推進することは、単にドイツの未来に関わるだけでなく、さらに重要な現実的意味を持っている。

 このような背景があり、外部との協力はドイツの製造業にとって重要な選択事項になった。中独協力を例とすれば、中国は3年間連続で、ドイツにとって世界最大の貿易パートナーの地位を保った。ドイツ企業の対中投資は現在、欧州諸国で最も多い334億ドルだ。過去1年間だけでもドイツの対中投資は実行ベースで140%近く増加した。中独工業都市連盟は発足後3年を経て、加入する両国の都市が当初の11都市から43都市にまで増加した。

 今回のハノーバーメッセの期間中、両国の企業関係者は中独スマート製造協力フォーラムで、技術に優れたドイツ企業と巨大な中国市場は製造業の産業チェーンに必要な条件を完備しており、絶え間なく増強される自主研究開発の力と、絶え間なく向上するビジネス環境は、両国の投資協力に大きな伸びしろを提供するとの考えを示した。

 ドイツのメルケル首相はハノーバーメッセの会場でドイツ企業に向け、勇気をもってイノベーションに取り組み、環境への適応と自らを変革することで競争力を維持するよう呼びかけた。また、メルケル首相はドイツでの5G建設について、「単純な定義方式」で特定のサプライヤーを排除する方式に反対し、ファーウェイを巡る争議の問題に欧州は一致した態度で向き合わねばならないと述べた。

 第4次産業革命の扉は徐々に開かれつつある。科学技術に導かれる産業のグレードアップの潮流を押し留めることはできない。チャンスとは、少しでも気を緩めれば過ぎ去ってしまうものだ。「飛翔」するか「翼をもぎ取られるか」、これは各国が政策を実施する際に、考えねばならない問題だ。(CRI論説員 王姗姗)

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