中国メディアが「安全な汚職」の手口を紹介=金額に上限、困窮している人からは取らない、成功報酬

Record China    2019年3月29日(金) 15時10分

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中国メディアの澎湃新聞は、これまでに摘発された「汚職官僚」の供述をまとめ、彼らが採用していた「安全な腐敗のための原則」を紹介した。写真は建設中の上海中心大廈。最上部分は地上635メートルだが、砂地に建てられたため「砂上の楼閣」などと評判になった。

中国メディアの澎湃新聞は2019年3月28日付で、これまでに摘発した「汚職官僚」の供述をまとめ、彼らが採用していた「安全な腐敗のための原則」を紹介した。記事は最後の部分で、どのような「原則」を設けたとしても砂上の楼閣、倒壊するのは必定と論じた。

なお、紹介された「汚職官僚」はいずれも、地位がそれほど高くなかった者だ。習近平政権下の腐敗撲滅では、「虎(大物)もハエ(小物)も叩く」というスローガンが打ち出されたが、記事が紹介したのは「ハエ」のケースと考えてよい。

江蘇省塩城市内で「街道弁事処」の副主任を務めていた人物は不動産開発業者や個人経営の商店主から金銭を受け取り便宜を図ったが、「3万元(約490万円)以上は受け取らない」を原則にしていたという。金額が少なければ、大丈夫だろうと考えていたという。同人物に対しては、懲役3年5カ月などの刑が言い渡された。

同じ江蘇省内で病院の副院長を務めていた人物は、「金持ちからは受け取り、貧困な人からは受け取らない」という方法を用いていた。医療について便宜を図っていたわけだが、貧困な人からは最初から受け取らないか、無理に押し付けられても返却したという。同人物については「貧乏人を救う義侠」というよい評判もあったという。しかしやはり、懲役5年6カ月などの刑を言い渡された。

海南省内で、小さな行政区画である「鎮」の共産党委員会書記をしていた人物は、2009年から18年までの10年間で、累計500万元(約8700万円)を受け取り、工事関係者に便宜を図るなどしていた。同人物は「現金しか受け取らない」方法を採用していた。口座振り込みなどで証拠を残さないためで、周辺に腐敗撲滅キャンペーンの手が伸びると、ただちに返却していたという。同人物には懲役8年などの刑が言い渡された。

河北省石家庄市交通局の元副局長は、工事関係業者から金銭を受け取っていた。その際の原則は、便宜を図ることで業者側に利益が確実に出ると思われる場合だけ、受け取っていたという。「経営状況が悪く、どうしても便宜を図ってほしい」といったタイプの業者からも受け取らなかった。記事ははっきり書いていないが、便宜を図ってもその業者が立ち直れなかった場合の「あと腐れ」を恐れたとも推察できる。同元副局長は、懲役20年の刑を言い渡された。

黒龍江省・慶安県の共産党副書記だった人物は人民元42万元と米ドル1万ドル(計約800万円)を費やすことで「官位を購入」し、131人に「官位売却」をしていた。受け取った金銭は累計約219万元(3600万円)に及んだ。同人物は金銭を受け取る際、「依頼に成功せねば受け取らない」「よく知る相手でなければ受け取らない」「同時に複数の相手からは受け取らない」ことを原則にしていた。

その他にも、「売官」をしていた人物には「金銭の支払いを自分からは言い出さない(相手に“忖度”させる)」「相手が支払わなくても催促しない」「金額を値切らない」などの原則を設けていた者もいるという。いずれも「売官行為をしている」と評判になったり、トラブルになったことが原因で露呈することがないようにする工夫と考えられる。

記事は、どのような「原則」を設けても結局は砂地の上に楼閣を築くのと同じで、もっともらしい外観をしていても倒壊するのは必定と論じた。(翻訳・編集/如月隼人

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