全人代2019が閉幕 “人類運命共同体”への一歩が見えた

Record China    2019年3月16日(土) 18時30分

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北京の人民大会堂内にある万人大礼堂で15日午前、第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議の閉幕会議が行われました。それに続き、3階のゴールデンホールで李克強総理の記者会見が実施されたことで、今回の両会議の全日程が終了しました。

北京の人民大会堂内にある万人大礼堂で15日午前、第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議の閉幕会議が行われました。それに続き、3階のゴールデンホールで李克強総理の記者会見が実施されたことで、今回の両会議の全日程が終了しました。

 期間中に全人代代表らが提出した「議案」の数は、昨年より166件増えて計491件となり、そのうち、立法に関する議案が487件(残りは監督管理に関するもの)だったそうです。また、代表から挙がった「意見」と「指摘」は約8000件に上り、その内容は三大堅塁攻略戦(貧困脱却、重大リスク防止、汚染対策)の実施から、農村部の居住環境整備、医療・教育改革まで、幅広い分野に及びました。

 注目の成果にフォーカスすると、まずは「外商投資法」の可決です。同法は、草案が2018年12月下旬に開かれた第13期全人代常務委員会の第7回会議で初めて審議にかけられたもので、その後ブラッシュアップを重ねて、今回の可決に至りました。

 外国企業の対中投資や中国での活動に対する規範と保障について、中国ではこれまで、「中外合資経営企業法」「外資企業法」「中外合作経営企業法」の「外資三法」が運用されてきました。その設立は、改革開放政策の実施初期、約40年前に遡ります。

 外資導入の分野における40年ぶりの一大改革とも言える「外商投資法」の可決によって、外資企業による投資の促進と、その合法的な権益の保護、法治化・国際化されたビジネス環境の整備が進められていきます。2020年1月1日の正式な発効に向けて、各国各企業の動向に注目が集まることでしょう。

 なお、「外商投資法」について海外メディアで取沙汰されていた「知的財産権保護」「技術移転の強制の禁止」そして法案の提出から承認までが「異例の3カ月」であるといった点については、第13期全人代第2回会議副秘書長兼憲法法律委員会主任委員の李飛氏が、我々のインタビューの中で答えてくれました。

 もう一つのキーワードとして頻出したのが、「広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)」でした。世界的に知られるニューヨーク、サンフランシスコ、東京などの各湾に比肩する一流のベイエリアを、「1つの国家に2つの社会制度、3つの関税区、3種類の通貨、3種類の法律体系」という特殊な環境下で、全く新しいモデルとして作り上げていくものです。その計画綱要はすでに2月に発表されましたが、その発展の方向性、特に外商投資法との連結については、今回の全人代の中でも議論の中心の一つとなりました。

 全人代は基本的に国内政策が話し合われる場なのですが、ここまで振り返って分かる通り、今回は結果的に対外的な繋がりに密接に関わる内容が豊富な会議でした。また、代表が提出したそれぞれの「議案」「意見」「指摘」も、2018年に40周年を迎えた改革開放政策の仕上げ、あるいは発展と言えるようなものが目立ち、二言目には「さらなる開放」と、その先の対外協力を視野に入れたものも少なくありませんでした。

 取材を通して出会った外国人記者からは「一帯一路」構想に注目しているとの声が多く聞こえてきました。それはもちろん、彼らが「一帯一路」関連国家から来ているからなのですが、各々が口にする「ワンベルト・ワンロード」という言葉には強い期待が込められていました。

 実は、全人代の1期5回(年一回)の全国会議のうち、2~4回目は「平年(ピンニェン)」と呼ばれ、期の初めと終わりの会議ほどは注目されないと言われることがあります。実際に、去年の第13期全人代第1回会議は、憲法修正、政府人事、そして国務院機構改革(この一環で中国国際放送局(CRI)も中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ)として再編されました)と、注目のトピックが目白押しでした。

 ​では、果たして今回の全人代が注目の薄いものであったかと言うと、そうは思えません。改革開放40周年からの新たなスタートに際して、「外商投資法」「広東・香港・マカオグレーターベイエリア」そして「一帯一路」といった対外的な指向性の強い言葉が、代表からも記者からも度々聞こえてきた今回の全人代。それらを結び付けるのは、2018年に中華人民共和国憲法に新たに盛り込まれた「人類運命共同体」というキーワードではないでしょうか。

 会期中、この「人類運命共同体」という言葉自体を見聞きする機会は多くはありませんでした。しかし、8日の全人代外相記者会見では、王毅国務委員兼外交部長が印象的に使っていました。

 「中国政府は自国の発展のためによりよい外部環境を作り出すと同時に、全世界に目を向け、世界を心に抱き、各国とともに『人類の運命共同体』を構築していく。また、相互尊重、公平正義、協力共栄の新型の国際関係と、恒久的に平和で、遍く安全で、共に栄え、開放的かつ包摂的な、清潔で美しい世界を作り上げることを中国の外交の方向性と全体目標に据えていく」

 この言葉の通りならば、今回の全人代はまさに中国が理想とする「人類運命共同体」の実現に向けて踏み出した着実な一歩であったと、そう評価される日も遠くないでしょう。(提供/CRI・文責:梅田 謙)

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